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アメリカで人気の日本のアニメはどこが人気なのか考えてみました

『鬼滅の刃』を見ました。映画はまだなのですけど。
ストーリーはもちろんのこと、映像も音楽も構成もすごい!人気が出た理由がよくわかるーなどと考えながらも、とにかく惹きつけられました。もう終わっちゃうの?もっと見たいーと思ってしまうくらいあっという間でした。

『鬼滅の刃』はアメリカでも人気です。
でも、「男だったらがんばり抜くんだ」とか、「長男だから我慢できるけど、次男だったら無理」とか、正確には覚えていないのですがそんなセリフは非常に日本的。そもそも、家族の絆なんてアメリカ人には理解できないでしょう。どこが人気なのだろう?と気になりました。

息子には、日本語や日本文化に親しんでもらおうと、以前から日本のアニメを見せています。
小学校2年生の頃だったか。『NARUTO』にはまってからは、Youtubeでアニメ関連の動画を見つけ、Roblox(オンラインゲーム)でアニメ関連のゲームを見つけ、それらで見つけたキャラクターに興味を持って調べ...といったことを繰り返しているうちに、最近では様々なアニメに詳しくなっています。
Youtubeのアニメ関連の動画は、海外の人たちがどんなアニメをどんな風に興味を持って見ているのかを知る手がかりになります。そんな動画を山ほど見ている(いいことだとは言えませんがね…)息子に、人気の理由は何だと思うか、とりあえず聞いてみました。

まずは「クラスの友達で『鬼滅の刃』見てる子はいるの?」と聞くと。
「Rated-Rでしょ。見てる子、ほとんどいないと思うよ」と即答。

なんとー。そうでした。そうですよ。人や鬼が死んだり殺されたりする場面、血が飛び散り、首は飛び、なんともグロテスク。これはこっちの人たちが絶対子供に見せたがらない表現だ!
母がうっかりだから子供はしっかりするなーなどと思いつつ、「あなたは大丈夫なの?」と聞いてみると、「ま、善逸とか、Funnyなところに注目して見てるから大丈夫だよ。アニメだってわかってるし」と。息子よありがとう。

日本では小学生の憧れの人ランキングに『鬼滅の刃』の登場人物の名前がずらっと並んだというニュースを見ました。
小さなお子さんもみなさん見たのですかね?大丈夫だったでしょうか?なんてことが少し心配になりました。

さて、本題。「どこが人気なんだと思う?」と問うと、
「やっぱり技がかっこいいところだと思うよ。あとはFunnyなところ」との意見。

なるほどー。

かつて『ドラえもん』や『妖怪ウォッチ』もアメリカに進出しようとして、いまいち人気を博すことができなかったのはご存知でしょうか。
なぜか?
一つは主人公が弱いということ。ヒーローでない主人公は理解できないようで。
もう一つは、日本の小学生の日常生活が理解できない、共感できないということがあったそうです。子供たちだけで通学したり、公園での遊びも、シチュエーションそのものが理解できないのだそうです。

では、人気のあるアニメというのはどんなものでしょう。
息子の通う学校でティシャツなどを着ている子を見かけるのは、まず圧倒的に『ドラゴンボール』と『ポケモン』。そして『NARUTO』。次に『僕のヒーローアカデミア』です。
これらは英語吹き替えで放送されているので、わざわざ日本のアニメを見るという意欲がなくても子供たちの目に触れることができるものたちです。
初めて息子の友達から「shadow clone jutsu!」と言われた時には、「影分身の術」ですか。そう来ますかーとびっくりしたものです。

そこから年齢層も上がり日本のアニメファンになってくると、『ONE PIECE』『進撃の巨人』『鬼滅の刃』『ジョジョの奇妙な冒険』『Fairy Tail』などが挙がってきます。

例えば『NARUTO』。
ナルトよりもサスケが好きな人が多いような印象を受けます。日本の子供たちにはどうでしょうか?
Youtubeには、ナルトが苦しかった幼少期を乗り越えて仲間を増やし助けてもらってここまで来たといったことを振り返るシーンを茶化して笑うような動画がたくさんあります。私だったら号泣する場面です。
それは、情緒的な部分はどうでもよくて、いちいち人を泣かせてるんじゃないよくらいの感じで受け止められているということを表しています。そんなところよりも、技がどれだけかっこいいか、どれだけかっこよく戦えるかというところが注目されているのです。
だから、ドジでかっこ悪いナルトよりもクールでかっこいいサスケの方がいいということになるわけです。私には、ナルトは努力の人、サスケはわがまま坊主に見えますけど。

『鬼滅の刃』でも、家族の絆だとか、鬼になってしまった人の抱えているものや、それに寄り添おうとする炭治郎の姿だとか、日本人の心にぐっと刺さる部分というのは実はどうでもいいという人が多いと思われます。
そんなことよりも、「水の呼吸」や「雷の呼吸」などの技のかっこよさ、鬼との闘いのかっこよさが注目されているのです。プラス、善逸などのおかしな振る舞い。ここも注目されています。

つまり人気の秘訣は、
・現実の日常生活と大きくかけ離れた内容であること
・描かれている技が大きくてかっこよいこと
・そこにおもしろおかしなシーンが混ざっていること

そのあたりが大きなポイントであると思われます。

加えて、忍者人気は不動です。また、日本刀を使って戦うというのもアニメファンたちの心を刺激するようです。

もう一つ、息子が「おもしろいよ」と教えてくれた動画には、日本人は穏やかで礼儀正しい人たちなのに、アニメは残虐で激しい戦いが繰り広げられるものが多いとの分析がありました。
確かにそうですね。息子曰く、『鬼滅の刃』だけでなく、『進撃の巨人』も『ジョジョの奇妙な冒険』も子供に見せちゃいけないヤツだそうで。血が出過ぎなのだそうです。
それを言うならこちらの方々は、『The Avengers』など、逆に息子は「怖くて見られない」なんて言う激しいアクションシーンが繰り広げられるようなものも、結構小さな頃から子供に見せています。気にするポイントが違うのだなというのを実感したりします。

最後に、悲しいお知らせを書き添えます。
日本人の英語は、英語としては受け入れられてはいないようです。
「お前はもう死んでいる」「心臓を捧げよう」「無駄無駄無駄」といった印象的なセリフは、そのまま日本語で覚えて言う人が多くいます。
それと同様に「ザ・ワールド」もそのまま言われています。が、「Za Warudo」と表記されているのです。「The World」ではないのです...。訳では「The World」とありますけど。

現実問題として、息子もよくアニメの主題歌を鼻歌で歌っていますが、英語の歌詞はほとんど英語として聞き取ってはいません。彼の場合、私の日本語英語も聞き慣れているはずなのに。日本語の語彙数自体が少ないので、自分の知らない日本語を歌っているとでも思っているようです。

そんな息子にとって、他のアニメファンたちと違って自分は日本語でもある程度理解できるのだというところは誇らしいポイントにもなっているようです。
そんなことでも親ばかな私にとってはありがたいことです。
これからも日本のアニメが多くの人に受け入れられて楽しんでもらえると、いろいろうれしいなと期待しています。

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