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訪れた『必然の敗戦』と現実を踏まえた考察

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試合情報

天皇杯2回戦 東京ヴェルディvs法政大学 @味の素フィールド西が丘
18:30KO

前半0-0/後半0-2 合計0-2

〈得点者〉
【東京ヴェルディ】なし
【法政大学】松澤(57分)、橋本(79分)

スターティングメンバーと基本フォーメーションはこちら↓
(※法政大学のサイドバックの選手が左右逆であることと、右のCBは宮部選手ではなく2番の森岡選手でした。図差し替えの時間がないため、これを訂正とさせていただき、お詫び申し上げます。)

想像容易い内容と結果

プレビューをこの試合の前夜に投稿させていただいた。

https://note.mu/haru10_soccer/n/nb17a23317cb5

このプレビューを書いたときは初めて書いたこともあり、ヴェルディの良い攻撃の絵が浮かばないし、法政が有利になりそうだななんて思いながら、初めて書くから想像力が足りないのかもと思って書いていた。
ただその24時間後に待ち受けるは想像通りの内容と結果。悔しくもなんともなく、悲しくも過ぎる時間。ただちゃんと考えてみると、必然だったんだなと思わされた。まあ、この辺りは最後の方の考察で書き連ねようと思います。
ヴェルディのスタメンは大方予想通り。近藤が左HV、内田がCB、左WBが梶川と少し意外な配置だった。
一方法政大学のメンバーは直近のアミノバイタルカップから大幅に変更。しかし、戦術の浸透度はとてつもないものを見せてくれた。
それではいつも通り攻撃と守備に分けて振り返りたいと思う。一つオススメしておくと、上にリンクを張っておいたプレビューもほぼ実際に起きたことなので、メンバーは違うが読んでもらえると嬉しく思う。

攻撃

ヴェルディは戦前の予想通りに攻撃時は4-1-5、前進して3-2-5の形だった。

法政大学は4-4-2で前からプレス。基本的に中央圧縮してから、サイド誘導でスペースを消しボール奪取するものだ。基本的に相手2トップの脇から前進していきたいため、WBは高い位置を取りたいところではあったが、なかなか相手のマークを剥がせない上、ビルドアップ能力に欠ける近藤などが少し足を引っ張ってしまい、WBやCHの位置が下がってしまう。それにより全体の重心が下がっていき、全くもって前進できないようになってしまった。これはリーグ戦でも課題なので当たり前の展開だった。
また法政大学はバックラインが最初に持っている段階ではSHがヴェルディWBにマークにつき、サイドチェンジをキャンセルさせて強制的にボールを繋がせていた。そこからサイドに追い込めば逆サイドSHも圧縮して2CH脇を消し効果的な守備を見せていた。かなりオーガナイズされており、さすがの守備だなと感じた。

後半は4-4-2へと変更。

右サイドは3選手のローテーションからマークのズレを作ろうと動き、左はヴァウメルソンが少しインサイド気味になり変化をつけようとしていた。ただそれも虚しく、パステンポが一向に変わらないヴェルディにはそのポジションチェンジもチェンジしてから時間が少し経ってパスが来るため、相手もマークをはっきりさせており、全く無効果だとしか言いようのないムービングだった。工夫したのは良いが、やはりいつものパステンポが仇となり、こちらも機能しなかった。

攻撃に関しては何も出来なかったシュート2本も納得であるとともに、当たり前だなとも思わされた。

守備

ヴェルディは前から行くのを数分でやめ、下図のような5-4-1セット守備に変更した。

法政大学の攻撃手段としては、プレビューでも触れたようにWBとHVをロックしてその裏に走り込む形。2つ目は法政の2CHがヴェルディの2CHの前に守備基準点を作っておき、その裏のトップ下の選手にライン間でスペースを与え平山がチャンスメイクしたり松澤がポストプレーをするパターン。3つ目としては次に紹介するヴェルディのネガティブトランジションを狙うパターンだ。
もっともヴェルディが苦戦していたのが、2つ目のライン間でのプレーと松澤のポストプレーである。前述通り2CHは守備の基準点があるためそこからはなかなか離れない。法政の監督が「4と16の間!!」とコーチングしていたのを考えると、間違いなく狙い通りにやられたところである。直接そこから失点はしなかったものの、かなり法政大学が戦術をしっかりと遂行してゲームを運んでいた。
またヴェルディが誤算だったのはあまりにも守備をしなかったことだ。前線からの守備がなく、制限されないため、1トップ2シャドーから後ろの選手は予測しなければならないことが多く、苦しんでいたようにも思えた。

また3-4-2-1のネガティブトランジションでは、2OHの戻りが遅く、2CHの脇を空けてそこを使われたりと、守備意識の低さを露呈し、弱点となってしまっていた。

そして次は2失点を生んだ4-4-2のネガティブトランジションだ。下図がその図である。

前半は3バックだったため、ネガティブトランジションでも3vs2と数的優位を確保し、ある程度は凌げていた。
しかし、4バックになってからは様相が変わる。2CBになったことでネガティブトランジションで2v2の数的同数が発生してしまった上、スピードに劣る2人の組み合わせはかなり不安が大きかった。1失点目はカウンターから逆サイドに展開され、クロスをファーで合わせられて失点。人数もかかっていたし、クロスへの入り方も巧みで、ヴェルディは数的には足りていたものの、ポジショニングで負けてしまいドフリーでヘディングを流し込まれた。
2失点目は内田が振り切られ、グラウンダークロスから橋本のゴールだったが、これもネガトラの設計がされていないからであった。ボールに寄りプレーすることが多かったヴェルディの2CH。寄ることで周りにスペースを作ってしまい、相手にスピードに乗らせる時間を与えてしまっていた。この状況からでは相手選手との距離が遠く守備強度も高められず、そこからやられたのはもはや案の定としか言えなかった。

守備をまとめるなら法政大学の攻撃に手も足も出なかった。ライン間の選手は抑えきれず、カウンターもやられてしまう。プレビュー通りの展開になってしまったのは悲しかった。

考察

では、今のチームの状態を鑑みながら少し振り返りたいと思う。ヴェルディは6月第2週のヴァンフォーレ戦から3-4-2-1を採用した。この変更の意図は、4-1-4-1の際に生じてしまった守備面での課題を解消し、失点を減らすことである。事実そこからは3試合連続でクリーンシートを成し遂げた。

しかし、守備構造の欠陥を機にシステム変更を余儀なくされたため、攻撃の再構築が必要になってしまった。ヴェルディのバックライン(特にCB)の選手はビルドアップ能力に乏しい。今までは2CB+1CHの組み合わせで前進できたが、これからは3CB+1CHの組み合わせとなり、人数がかかる上に中盤が残り1枚となるため補助に何人か降りてきてしまう。そこが今の問題で、ビルドアップにコストがかかりすぎる故に、攻撃で選手間の距離が悪くなり、ヴェルディの攻撃の要であるWBが孤立することが多くなってしまった。またそれを避けるために逆サイドのOHがサポートに来るとPA内の人数が減るという悪循環である。

この攻撃の課題が解決できないまま、天皇杯に挑むことになり、当然2日間でサブ組の方が修正できるわけもなく、サイド誘導に引っかかりボールロストを立て続けに起こしてしまった。

ネガティブトランジションに関しても、2CHの構成だと、ボールに寄ってしまう癖がある選手たちの周辺はスペースだらけで、CBの選手はカウンターを正面から受けやすい。特にスピードのある選手には法政大学戦の2失点目のようにちぎられてしまう。これも攻撃設計のミスでネガティブトランジションへ繋がっていない攻撃なのである。

最終的に何が言いたいかというと、リーグ戦に出ているメンバーが、個の部分でなんとかしている現状があるのに、サブ組にはできるはずもなく、法政大学戦の敗戦は必然だったということだ。もちろん法政大学は素晴らしかった。4-4-2でコンパクトなサッカーを見せ、全てを狙い通りに遂行させたのだ。正直ヴェルディにとって相手も悪かった。

ただリーグ戦メンバーで修正してくる可能性はあるので、天皇杯のメンバーとは一緒に考えるつもりはない。組み合わせが普段やっているメンバーではないので。リーグ戦組は戦術理解度がある程度あることに期待し、ホワイトの攻撃の構築に注目したい。

まとめ

まとめとしては法政大学が120%の出来でプレーをして、当然の勝利を得たというところだろう。完全に蹂躙されてしまった。ヴェルディの為す術も全て対応され、ヴェルディは弱点を常に突かれて負けた。完敗だろう。
ここで落ち込んでも、リーグ戦のメンバーに期待するしかない。これからも試合はくる。また勝利することを信じて、応援していきたい。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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