最大のキーはファーストディフェンス【FC琉球戦プレビュー】
※今節より局面解説の画像に一部GIFを使用しています。それにより画像の左上に画像の順番を表す、ナンバリング用の数字を記載しているので、どこが最初の画像なのか分からない場合は左上の数字を参照していただきたく思います。それではプレビューをお楽しみください。
至上命題は連敗脱出
今節を3連敗で迎えるヴェルディ。個人的にもさすがに勝ってもらわないと困る。しかし離脱者多発でなかなかフルメンバーが揃わない状況。その中でも若狭の縦パスやクレビーニョのタスク変更で前進のフェーズには変化をつけながら、悪戦苦闘している。琉球の守備はヴェルディと似ており、そこまで球際の強度は高くないので勝つチャンスは十分にあるだろう。しかしそれはヴェルディも同じなので、ボールを握り相手に握らせないことが重要になる。
そして以下が予想のスターティングメンバーだ。
予想スターティングメンバーと基本フォーメーションはこちら↓
ヴェルディの方はあんまり参考にならないが、怪我人が戻らなかった仮定のスタメンである。基本的にWGの内1枚は守備時にCF化するのでカンをWG予想。大宮戦で見せたパライバのCFを予想した。
一方琉球は前節勝利しているため、スタメンはそのまま。チームの心臓は上里。ここへどれだけ守備できるかはかなり大きなファクトになるだろう。
それでは「FC琉球について」、「攻撃」、「守備」の3部構成で琉球戦の展望をしたい。
FC琉球について
FC琉球は10勝10分15敗勝ち点40で15位のチーム。直近5試合で2勝3分と5戦負けなしをキープしている。前節はアビスパ福岡に90分でセットプレーから得点し1-0での勝利を収めている。序盤戦から選手の引き抜きが多発し、少し勝ち点のペースは落ちているものの、また復調したというイメージだ。
それでは1試合平均のスタッツを見ていこう。
(Football labより引用)
具体的にピックアップするデータは以下の3つ。
・パス数→509.6本(リーグ4位)
・ボール支配率→52.4%(リーグ6位)
・30mライン侵入回数→41.7回(リーグ3位)
これはFC琉球というチームの特徴をよく表しているのではないだろうか。まず最初の2つ。パス数とボール支配率だ。ヴェルディはパス数が2位、ボール支配率は3位でそれに匹敵する数値を出しているのが琉球である。つまり互いにボールを持ちたい展開となる。しかし、両チームともボール奪取ポイントを明確にした守備を採用していないため、パスミスでのボールロストが最も恐れられる事象になると予測できる。
また3つ目の30mライン侵入回数が3位というのはかなり脅威になる数字だ。特にヴェルディは前からのプレスはオーガナイズしていないため、押し込まれやすい。この試合でも容易に押し込まれる時間帯がほぼ確実に発生すると言っても過言ではない。だからこそこのプレビューのタイトルである「最大のキーはファーストディフェンス」に繋がるのである。隙を見せると一気に前進されるので、守備のオーガナイズがどこまで進んでいるのかは重要になってくるだろう。
それでは攻撃のトピックに移っていこう。
攻撃
このプレビューでは前節同様3バックでのビルドアップを想定して書いていくので、ご理解いただきたい。
まず琉球の守備だ。基本的には4-4-2から人を基準とした守備を展開してくる。ファーストディフェンスは下図のように予想される。
まずCFがヴェルディのHVにボールが入ったところで、アンカーをカバーシャドウしながらプレス。サイドへの誘導をメインとする。ボールと逆のCHはヴェルディのアンカーに出てくるシーンもあると思われる。基本的には縦パスを遮断してくると思うが、この攻撃というトピックの冒頭で「琉球は人を基準に守備をする」という事を書いた。なのでヴェルディが狙える形は、前節同様クレビーニョとHVをビルドアップの出口にする事である。まずHVが出口になるパターンのGIF。
前節と同じく若狭を出口に設定したが、今節は逆サイドでも可能になると考える。相手をサイドに密集させてからIHへの楔を打つことで、前進する。これは相手のSHにクレビーニョという守備基準点を用意し、判断を迷わせるというものだ。
そして下のGIFがクレビーニョを出口とするパターン。
これもHV出口に近い現象だが、相手のSHが前にプレスした場合の想定である。この前進を実現させた場合、クレビーニョには広大なスペースを与えられることになるので、かなり幅のある攻撃を期待できるのではないだろうか。
そして相手を押し込んだ後の攻撃について次は触れていきたい。基本的に押し込んだ後は2-3-5。琉球は逆サイド大外のWGに対して恐らくSHをマークに下げてくるので、サイドチェンジは難しいと考えられる。そこで琉球の人を基準とした守備を逆手にとってできるのが前節は寄せが早く成功しなかった、チャンネルランでPA脇への抜け出しだ。それが下のGIFである。
琉球はSB裏のスペースにCBがカバーをする為にスライドをしないことがあるので、2列目からの飛び出しが効果的になる。深くまで前進したのち、グラウンダークロスまで持っていくことができれば、大きな武器になるだろう。最低でも押し込むことでバイタルエリアの守備を薄くできるので、マイナスクロスや最近多いミドルシュートも十分効果的だろう。
守備
まずはFC琉球のビルドアップに関してだ。次のGIFを見てほしい。
順番としてはCBボール保持からSBは高さを変え、SHはレーンチェンジ。中盤中央の3枚は旋回し2-1-6-1の形に変形し、そこから位置を変えながら攻撃をする形だ。ヴェルディのディフェンス強度を考えると、この形をチョイスしてくる可能性が高い。
それでは琉球の攻撃パターンに触れていく。まず触れたいのIH化したSHが下りて、一気にスピードアップしゴールは向かうパターンに触れていきたい。下のGIFをみてほしい。
このように琉球は中央突破をメインにした攻撃を展開する。センターレーン付近の数的優位と距離の近さのアドバンテージを活かし、レイオフや裏への抜け出しから素早くゴールに迫ってくる。またヴェルディの守備の泣き所である2トップ脇&SH前方のスペースに琉球CBがドライブしてくると、ライン間の選手の下りる距離が減り、より近い選手間隔で中央突破を実現させられる。また縦パスに関しては下りたSHだけでなく、上里やCBなどどこからでも狙ってくるので、常にディフェンスラインはライン間にボールが入った時の事を想定し対応しなければならないだろう。
では中央突破を警戒した時、またヴェルディは過剰にコンパクトな4-4-2ブロックを敷くことになる可能性があるだろう。そこから3つの攻撃パターンが考えられる。1つはCBやCHから逆SBへのサイドチェンジ(画像は割愛させていただきます)。そして2つ目が次のGIFで紹介する、SBが下りてから空いたスペースにSHが流れるパターンだ。
このように、前節対戦した岡山と同様のパターンを繰り出してくる。ただ違う点としてはこちらのSBの裏をランニングの目的地にはしていないので、マークをハッキリさせていればそんなに怖い攻撃にはならないだろう。しかし琉球は押し込んだ際のボールロストに関して、バックパスを相手がチョイスするとそのまま前プレに移行する傾向があるのでボール奪取後のプレーもかなり大事になる。
そして最後の3つ目が一番警戒したい攻撃。SBがアウトサイドレーン高い位置で受けた場合だ。これが一番選択肢が多い。GIFを見ていただきたい。
まずSBがボールを受けてから最初の選択肢はライン間の選手への斜めのパス。SHやOH、CFの選手にパスを出せる。またシンプルに裏への抜け出しもあるが、琉球はオフサイド数が少ない(リーグ21位)、つまり抜け出しはそこまで積極的にこないと考えられるので、そこまで強い警戒はいらないとは思うが、万が一ボールを受けたSBをフリーにさせてしまうとかなり危険な選択肢となる。また裏抜けをしてくるとしても、オフサイド数の少なさを鑑みると、最終ラインから少し下がった位置からの駆け引きになると思うので、抜け出す選手とは距離があり対応しやすいと考えられる。しかし裏抜けと足元の2択をヴェルディのディフェンダーは突きつけられることにはなるので、冷静な対応が必要になる。
またライン間での中央突破にはかなりこだわりがあるようなので、そこでの守備基準の明確化は必要だろう。少しでも対応が遅くなるとライン間で好き放題プレーされてしまう。ここは球際や正確な対応が求められる。
そして守備で重要なのがファーストディフェンスとこのプレビューでは明記している。今シーズンで攻撃に最も関与し、パスの多い人物は上里である。つまりここへの厳しいチェックが無ければ自由に攻撃させるといっても過言ではない。岡山戦ではゾーン2で相手を自由にしすぎたために、ゾーン2でのボール奪取は5回にとどまった。この部分の改善は確実に必要になる。
またファーストディフェンスの利点として2-1-6-1の6の内側の選手(SH、IH、OH、上がったCH)とSBを下げさせる効果もある。特に小野が下がって受けた際にプレッシャーに行きたい。その理由は、小野がフリーだったり前を向いた状態でのプレーは流石の技術を見せるが、後ろ向きだったり、寄せが早い相手に対しては簡単にボールロストをするシーンが福岡戦で目立っていた。ここをボール奪取ポイントにしたいところだが、無闇に行くと簡単に剥がされると思うので、そこはファーストディフェンスでしっかり制限をして、小野へパスが出ることを予測し自由にさせない必要がある。ただし、風間(希)がスタメンだとそれは叶わないかもしれないが。笑
まとめ
プレビューいかがだっただろうか。今回から新要素としてGIFを採用した。動きの可視化という意味では良いが、説明を理解する時間がないのがネックなのでどうにか解決していきたい。
また肝心の試合内容は永井サッカーの真骨頂である、ボールの支配がかなり重要になる。というか、この試合で勝てなければ、またサッカーの完成はかなり遠ざかると言えるいわば試金石の試合と言っても過言ではない。かなり気を配ってみたい試合である。
台風により家でのDAZN観戦が増えるとは思うが、ぜひ俯瞰で見る良い機会なので、このプレビューをぜひ参考にしていただいて試合を見るのも良いのではないかなと思う(プレビューの予想当たらなかったらごめんなさい笑)。ではまた次の記事でお会いしましょう。
また以下のような取り組みを始めたので、記事が面白かったと思った方は是非投げ銭の方よろしくお願い致します。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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