良くも悪くも受動的。主導権を自らつかめなかった試合。【町田ゼルビア戦レビュー】

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試合情報

J2リーグ第2節 東京ヴェルディvsFC町田ゼルビア @味の素スタジアム 18:00K.O. 前半0-1/後半1-0
〈得点者〉
【東京V】
(90+2分、PK)藤本
【町田】
(3分)平戸
〈交代〉
【東京V】
(HT)井出→藤本、小池→山下
(78分)井上→河野
(88分)藤田→クレビーニョ
【町田】
(83分)吉尾→中島
(90分)深津→酒井
(90+2分)高江→李

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ついに再開…も主導権は握れず

ついにJ2リーグも再開。オープニングゲームの1試合となったこの試合は藤本キャプテンの劇的復帰PK弾で1-1の結果となった。開幕戦からの成長も期待された中での試合となった。スタメンとしては大久保やレアンドロが外れ、また3バックでのスタートになった。プレビューでもビルドアップは3バックを予想していたが、そもそも可変のコストをなくしての3バックスタートとなった。町田は予想通りのメンバー。
今回のレビューではヴェルディの守備のシーンは少なかったので、攻撃にフォーカスして振り返っていきたいと思う。では振り返っていこう。

想定外の失点と町田の守備プラン変更

ヴェルディは前半3分、小池と若狭のマーク受け渡しの認識のずれから平戸にゴラッソを決められてしまい、まさかの追う展開となる。町田は予想通り4-4-2を形成してからのプレッシング。前半の中盤までは少し前からのプレッシングを織り交ぜる、もしくはライン間をオープンにしている。その時間帯のヴェルディの前進はこのような形となる。例として挙げるシーンの時間は8:20。

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この時間帯、非常に潮音が輝いていたのを覚えている人も多いのではないだろうか。タイトルにも書いたが、ここは良い意味での受動性がでた。相手を見てのプレーが良くできていた。この時間帯は町田の積極的なプレスがちらほらあり、それをうまくいなせていた。具体的に町田が中盤のラインが乱れたりライン間をオープンにするところからスタートする。そこから中盤ラインを超える楔を入れての攻撃である。他に類似するシーンとしては12:00、13:18などが挙げられる。町田が前の意識を強めに持っていた時間帯に固まっていることもわかっていただけるだろう。

しかしこの後は町田が守備の指向を少し変更。2CFにヴェルディの3-2のビルドアップ隊をすべて担当するような形に変更。また4-4ブロックはライン間を遮断し、ヴェルディのHVにボールを持たせて時間を稼ぎ、CFのプレスする時間を作っていた。そこからは少しずつ失速していく。ここからは受動性の悪い面が出てしまう。相手が動かないとヴェルディは上手く動けないのである。その中で見せたい形は先日投稿したプレビューでも紹介した、SHの位置を基準とした攻撃。特に町田SBがヴェルディのIHとWGを同時に見る状態を作るパターンだ。そこを対策されればサイドチェンジからの攻撃となる。しかしそれは2つの些細な理由から成り立つシーンは少なかった。うまくいったシーンはいくつか(16:06、36:30)あったが、再現性には欠ける部分があったし、正直大量に同じようなシーンは作れたと考えている。その些細な理由についてGIFで説明したい。

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まず1つ目の原因。ゼルビアの守備が中盤ラインを越させないことをメインにしてきたことでHVの選手が持つことが多くなった。先ほど述べた、町田のSBvsヴェルディのIH+WGの形を作るには、なるべく高い位置(=SBに近い位置)でWGがボールを受けられるように、早くボールを離しWGに預けることが必須となる。しかし今節は楔の意識が高すぎたのか、相手に乗せられるようにHVがボールを持ちすぎてしまい、CFのプレスを受け体が外向きになり、町田のSHはWGへのパスコースを切りやすい状態になる。そこで角度を作るためにWGが下りるしかなく、SHに対応され戻してしまうシーンが多かった。ここの些細な理由としてはHVの判断の遅さが挙げられる。前々から言われている判断の遅さ、正確に言えば臨機応変さがここに含まれているのかなと感じた。
次のGIFは2つ目の原因について。

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2つ目の理由はIHのHVに対するサポートの下りる高さの問題。基本的にヴェルディのHVの選手はボールを持つ時間が増える。しかしゼルビアはライン間を消すため、IHの選手は下りてのサポートを選択することが増えた。しかし優平を主として、下りすぎてしまうシーンがいくつかあった。下りすぎてしまうと何が良くないのか。それはGIFにもあるようにWGのプレイヤーがボールを受けても孤立してしまう点にある。ボールをもらった後、並行より高い位置の高さにサポートがなく、個での打開を余儀なくされていた。しかしこの試合ではサイドでの質的優位を確保できなかったため、サポートが必要だったのだが、下りすぎることの弊害でHVからWGへのパスコースはできるが、3人目としてIHが関われない問題も起きていたということである。ちなみにこの問題は後半に何度か出てくる。ちなみに並行の高さのサポートができたのは16:06、36:30、66:00などのシーンになる。この形がこの試合、監督も声に出していたSH引き出しの狙いだろう。

そして前半で最もうまくいった攻撃を紹介しておこう。37:10のシーン。それが下のGIF。

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まずプレビューで触れていたIHの裏抜けでWGをフリーにするという動き。さらに奈良輪への対応をSHがした時点での素早いサイドチェンジ。先ほどフリーになった小池へサイドチェンジが通る。落として若狭が受けて、町田SBがIHとWGの2枚を見る形を作る。WGに引き付けられたSBが空けたスペースでボールを受けた優平が前を向き、町田がスライドによって広がったCH周辺のスペースを生かしてワンツー。そして井出がボールを受けてシュートという流れとなった。町田攻略に必要な要素が多く詰まった攻撃となっており、非常に印象的なシーンとなった。このくらい翻弄できるシーンが多くあればと思ったが、先ほど説明したような些細な理由で再現性が出るほどまでは届かなかった。

町田の守備の特徴とかみ合わないヴェルディ

ヴェルディはハーフタイムにメンバーチェンジ。下の図にような並びになる。

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後半、町田はさらに守備へ舵を切る。町田の左右の守備の違いを少し触れておこう。まず町田左サイドから。

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町田左サイドはジョン・チュングンが少し低めを取りライン間を消すことと、WGへの対応を優先。前にはいかずに時間をかけさせて詰まらせるのが主となる。ヴェルディ右サイドは寛也がライン間であまり動かずに受けるような感じになる。しかし先ほども言ったがジョン・チュングンはライン間を消し低めにポジションを取るので思い通りにプレーできた時間は少なかった。次の図は右サイド。

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右サイドは吉尾がすこし高めを取っていく守備。攻撃を遅らせるが受け身にはなりすぎず、ライン間は少し広めになるような形。恐らくだがこれらの特徴により、後半は左サイド偏重の攻撃になったと考えられる。WGへのパスコースや端戸へのコースが空き、左サイドでのチャンスが多かったのも皆さん覚えているだろう。

この時のIHは優平。こちらはライン間が広いもののブロック外まで動いてしまうためなかなか前進できず。運悪く選手の特徴が悪い方向にはまってしまった。しかし端戸が優平の空けたスペースを感知するようになってからは少しずつ変わってくる。優平がブロック外に下り、4-2-4のような形。町田SHの意識を向けさせることに成功する。それが下のGIF。

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そして端戸が優平のもともと居た位置に流れてきて、町田のSBに端戸と奈良輪の2択を突き付けることができた。その流れがうまくできたのは73:20、76:30。端戸がポストプレーを続けたのが実っていたシーンでもあった。
その後、4-1-2-3に変更し、攻撃時は優平が下りての4-2-4のような形にしてボールを持つも結局ライン間の人数不足が露呈し攻めきれず。恐らくは右サイドでボールを持つもサイドを変えるが、そこには端戸が間に合わないという構図から詰まりやすくなったのではと考える。端戸のスライドが間に合えばチャンスもあったが、継続は難しかった。潮音が偽フリーマンにいればライン間にいたかなとも感じた。最後はPKで追いつくも、個人に関連する課題が多く露呈し、敗戦に近い引き分けとなった。ただポジションを守る意識などは以前より良くなっていたので、ポジティブなポイントでもあった。

潮音が前半は輝き、後半は消えた理由

前半、前を向いて楔を何本も入れていくことで攻撃をけん引した潮音。しかし後半はその輝きを失っていた。その理由は何故なのかを簡単に触れておく。まず前半のことはレビューで触れたように、相手をいなすプレーが多かった。それはつまり相手が来るのを交わしているということになる。それはタイトルにもあるように受動的な動き。また偽のフリーマンとしての働き故、前線のスペースの察知も良いものがあった。ここは潮音の良いところであり、前半はそこを活かせたということになる。ちなみに前半は相手の体力的余裕や戦略により、前にプレスするシーンが多かったとも紹介した。
では後半を思い出してみよう。守備への舵を切ったと紹介した。つまり、相手が来なくなってからはシンプルに手放すシーンが増えてしまい、輝きを失ってしまったということになる。いなす機会が無いし、ライン間もスペースがない。ただし、正確に言えば消えたというより、試合において消えざるを得ないという状況だった。もっと言えば輝くポジションが変わったともいえる。それは相手が守備の指向を変えたことがその主な原因と推測できる。
また主導権を握れなかったともタイトルで書いたが、町田のプラン通りにプレーしてしまったのではと筆者は感じた。リトリートされてからの戦い方はまだまだかなと。些細な部分の修正があれば、ある程度は良くなると思うので期待しておきたい。

良かったところいろいろ

他に良かった点で言えば、3-2ビルドアップにすることによるネガトラの部分。相手のカウンターを最初の1本以外はそこまでのピンチにはさせず、ほとんどがシャットアウトできていた。もちろん町田2CF以外は守備に押し下げられるので、止めやすい一面もあったとは思うが、それにしても止めれるようになっていたとは思う。ここは藤田の危機管理能力や3CBの能力の高さが出たと考える。
他に言えばコメントで言っていた、ハーフウェイラインをプレーの基準にしているのは見ていて感じたので、やりたいことは少しずつ表現もできているのかなと。潮音のポジショニングもハーフウェイラインを越えてからはライン間やIHの空けたスペースに入る動きも出来ていたこと、HVの選手はハーフウェイラインを越えるところまでのドライブやポジショニングを意識できていた。ただ、それに忠実になりすぎたのか相手が前から来ないときにはそれをやっても意味がないシーンもあり、選手自身で臨機応変に対応してほしいなと感じる部分もあった。
平などの積極的なサイドチェンジも非常に印象に残っている。もちろん精度が伴わなければならないのは百も承知だが、見えていることが大事でもある。あとはサイドチェンジを受けるWG周辺の状況をうまく作ることなど、も伴えば良くなってくるのではないのだろうか。
端戸も良かったと感じた。ポストプレーを主としながらも、裏抜けも忘れずにチャンスメイクを徹底して行っていた。彼のフィジカルコンディションの良さなのかIHのいなくなったエリアにサポートに行くことが多く、ワンツーでのシーンを覚えている人も多いだろう。ただ少し疑問なのが、このタスクを同じようにこなせる人が他にいるのかという点。そこに関しては今後も見守っていきたい。

まとめ

今回のレビューいかがだっただろうか。正直筆者はこじつけに近くなってしまった部分もあるような気がしているので、読みながら疑問を持たれた方もいるかもしれないが、筆者の意見も参考までにということで。
試合に関して言えば、良くなった部分も課題になった部分もあり、まあ見守ろうというぐらいの気分にはなれたかなという感想。また過密日程の中で同じようにできるのかも気になるので、いろいろ見ていきたいかなと。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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