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応援歌を歌うとき

ものごころついた時にはサッカーが好きで、Manchester Unitedのユニフォームを着てベッカムを応援していた。イギリスの庶民なら、1つのチームを一生応援するものなのだ。弱くても、強くても、関係ない。そのチームが人生だ。

父はというと、サッカーはもちろん好きなのだけど、高校生の時にラガーマンだったからか、ラグビーが好きだ。父がSix Naitionsを見ている横で、私はルールはちゃんとはわからないけれど、とりあえずイングランドを応援していた。

2015年ラグビーワールドカップ、鮮烈な記憶を残した日本対南アフリカの試合。サッカーを好んで見ていると、強豪チームが中堅チームにころっと負けてしまうことはありがちだ。でも、ラグビーは違う。3桁差という驚異的な負け方だってする。奇跡のように、でも実力で、日本が南アフリカに勝った時、父は泣いていたと、母から連絡がきた。

2018年に結婚したとき、父へのメッセージカードに書いたのは「一緒にラグビーW杯行こうね」だった。2019年に初めてティア1以外の国で開催されるラグビーW杯が近付いていた。

チケットは2試合分、家族総出で確保した。両方ともプール戦。日本戦はすべて落選。とれたのは、ニュージーランド対南アフリカ、イングランド対フランス。

ニュージーランド対南アフリカは最高だった。トイレに並んで、ニュージーランド人と南アフリカ人と、列の進みの遅さと試合の展開について話した。問題はイングランド対フランスだった。台風が迫っていた。開催されるのか、されないのか、毎日ドキドキしていた。イングランドが見たかった。Swing Low Sweet Chariotが歌いたかった。

開催されなかったのは、結果としてよかった。私は運営の判断を支持する。というのも、長野県千曲川付近に住む私にとって、この台風はただの台風ではなくなってしまった。私自身には大きな被害は無かったが、市内を車で走らせた時の衝撃は忘れない。

台風直後行われた日本対スコットランド戦。開催の裏に、どれほどの尽力があったのかは、各メディアに詳しい。実家に避難して、テレビで日本代表を見た時、どれほど嬉しく、頼もしかったか。勝利に歓喜したか。

日本戦でカントリー・ロードを歌った。イングランド戦では父とユニフォームを着て、Swing low Sweet Chariotを歌った。決勝では泣いた。最高の2ヶ月間だった。

もうすぐ、日本ラグビーメンバーズクラブの更新月になる。日本がティア1になった。日本のラグビーは次のスタートを切った。でも次のW杯はフランスか、遠いな。トップリーグも、次のシーズンどうなるだろう。それでも、私は更新する。応援歌は圧されている時に歌うものだ。そして、ラグビーは人生だ。

#応援したいスポーツ

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