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「KATインターン×ヒマラボ成果発表会」を振り返る その1

福岡で組織開発支援の会社を経営している池田治彦です。
今回は2019年2月13日に開催した「KATインターン×ヒマラボ成果発表会」について振り返り記事を書きます。
時々、当日使用したスライドを挟みます。

KAT(キャット)インターンとは

KATは福岡大学の学生を中心に構成されている、企業主催の長期インターンです。2016年11月に2名からスタートして、今では1~4年生13名がKATメンバーとして所属しています。
目的は「社会に対して成果を出す」で、主にスモールビジネス向けにウェブサイト制作を手掛けています。活動頻度はそんなに高くなく、月1~2回程度リアルで集まって、後はリモートで各自進捗といったサイクルを回してきました。なのでオフィス活動はなく、ミーティングも大学の教室を借りてやっています。
これまでに11のサイト制作を手掛け、メンバーの頑張りにより、ありがたいことにご好評いただいています。とりあえず制作例を2つ(カフェとレストラン)ご紹介。

KAT(キャット)という名前は、1年以上活動している3~4年生メンバーからネーミング案を募り、まとめて決めました。
だいたいこんな意味が込められています。

先にご紹介したウェブサイトですが、基本的に僕は口出しをあれこれしていません。僕はたまたまもらった案件をチームに割り振り、メンバーのセルフマネジメントに一任して、お客さまとのやり取りから企画、制作、納品確認まで全てメンバーにしてもらいます。お客さまとのやり取り内容や、チーム内のやり取りの中身も僕は一切見ません。
もちろん、見た目やデザイン面の細かい所で僕がアドバイスや修正指示をすることはありますが、基本は自由に進めてもらいます。上でご紹介した2つのサイトも99%がメンバー自身の手によります。

僕は企業相手の組織開発支援が本業で、たまたま学生の時からITに詳しかったのが理由でウェブについてインターンをやってみようと思っただけですし、僕の信念上「他人の管理なんてまっぴらごめん」「自分で考えて、行動して、失敗も成功も経験して、その成果を共有するこそが最上の学習」と思っていますので「セルフマネジメント」が最適ということです(と、簡単に言ってますが、最初からそうしようと考えていたわけではなく、僕自身が色々と考え、勉強した結果そうなったということです)。

もちろん、100%何でもかんでも上手く行くとは限りません。落とし穴がたくさんあって、解決できないこともあったり、お客さまとのやり取りがうまく進まなかったり、色々あります(ぐるぐる回ることがあるので「K」に「カニ」が入ってるんですね)。それでも、数ヵ月とか半年とか取り組んでいると少しずつメンバーみんな学習して、納品までつなげます。
納品完了すると、僕からお客さまに請求して対価をいただきます。「すごくよくしてもらったから」と請求額より多く支払うお客さまもいらっしゃいました。
いただいた対価は、一部を飲み会用などにプールしてメンバーに分配します。この時の分配方法についても、僕は一切何も言いません。チーム内で話し合って、各自の取り分を決めてもらいます。チームは2~3人からなりますが、それぞれ役割があって、お互いに誰がどれだけ貢献したかをわかっているので、評価は自分たちで決めてもらうのが一番だと思っています。だいたいは均等割になりますが、時々「いや自分あんまりがんばってないんで」とか言って他の人に譲るシーンも見受けられます。

ついでに言うと、長期にわたり活動するわけですが企業がよくやる半年とか一年に一度の考課はありません。そういうのは大体がバイアスの固まりと時間のムダに終わりがちなので、日常のLINEでのやり取りの中で都度コメントを出し、日報代わりに書いてもらっているブログにLINEでコメントを残すことにしています。メンバーにとっては、ブログに活動内容を書き残すことが何よりの財産になるようです。

KATのロゴ

メンバーの中で「デザインが好き」という学生も結構いるので、KATのロゴを作ろうと思ってコンペ形式にしました。ちなみに、一定期間以上参加したデザイン志向のメンバーにはイラレ・フォトショが使えるように経済的な支援をしています(福利厚生)。
コンペに参加したメンバーから案が集まり、決定したのがこれ。

1年生の男の子が作ったロゴがみんなの投票で選ばれました。尻尾の先にある葉っぱは、2番目に選ばれていた案をくっつけてもらいました。

KAT×ヒマラボ成果発表会

そんなこんなで2年半続いてきて、初期メンバーの4年生がもうすぐ卒業、3年生は就活あるし、ちょうどいい機会になると思い成果発表会を開くことにしました。

ヒマラボは、僕が大変お世話になっている福岡大学商学部の森田泰暢先生が立ち上げられた「社会人と学生混成の研究的活動コミュニティ」です。
詳しくはこちらを↓↓
「ヒマラボ」という社会人・学生混成の研究的コミュニティを立ち上げた
http://domino613.hateblo.jp/entry/20180404/1522847163

僕がヒマラボ研究員であることもあり、共同で発表しました。
ちなみに同じ研究員である福岡大学商学部阿部君がブログ記事を書いてくれています。
KATインターン×ヒマラボ成果発表会(2019/2/13)
http://chitabea.hateblo.jp/entry/2019/02/14/141607

「体験型謎解きゲームにおける問題の分類と製作について」

http://chitabea.hateblo.jp/entry/2019/02/25/132525

メンバーの発表について

発表はまずKATメンバーがお客さま単位のチーム発表×5、個人発表×6で行ってもらい、後半にヒマラボ発表でした。
ここでは個人発表をもとに印象的だったスライドを取り上げつつ、振り返りを行いたいです。発表内容については、僕の事前の関与はありません。ちなみに、KATではお互いをニックネームで呼び合うため(メンバーは僕のことを池田さんと呼びます)、実際のニックネームを用いながら進めます。

もっちゃん

まずは、もっちゃんですね。絵が得意ということで、イラレ・フォトショ環境を整え、本を与えたところ毎日むさぼるように研鑽を重ね、練習で作ったものを夜な夜なLINEで送って来ることを繰り返していました。
「自称コミュ障」らしく、お客さまの所に行ってもうまく話せないので必死に目を見るとかうなずくとかして、コミュニケーションを促進する役割を果たそうとしていたそうです。全然コミュ障じゃないけどね。

それから、自分の好きなようにイラレを使い、作品群をちゃんとまとめてる。

スキルをひたすら磨き、実際のサイト制作ではロゴを作ったり、ビジュアル面の強化だったり、存分に力を発揮したと思います。成果発表会のチラシ(貼ってるのは途中段階)も作ってもらいました。

僕からすると、もっちゃんの一番の強みは「粘り強さ」「根性ある」だと思います。僕はメンバーに任せてるとは言え、ビジネス上まずいことや、仕事の進め方で詰めが甘いことなどは容赦なく指摘します。その辺は案件によって様々で、何も言わずに完了するパターンもあるし、うまく行かずに言うパターンもあります。なのでもっちゃんは、うまく行かなかったときに、僕から色々と言われたときは「正直、やめたかった」と思っていたそうです。
いずれにしても、もっちゃんの、自分やお客さまに誠意をもって向き合おうとする姿勢にはとても好感が持てました。あと、ブログがめっちゃ面白いんですね。文才ある。天才かよ。でも、さらすと「しんどい」とか言いそうなのでやめておきます。

グッチ

次に3年生唯一の男の子、グッチ。まさか発表日の前日に他メンバーに自分の発表スライドを作らせるとは思っていなかった。

新しいチャレンジで自分の強みをつかんだり、仕事を通じて自分の事を理解していくとか、そういうの大事だと思うんですよね。やってみないと分からない事ばかりなので。

この辺は実際にお客さま相手に仕事しないと辿り着かない境地ですね。
僕は仕事を進める上で重要な考え方やポイントを時々紹介して、メンバーが取り組んでいることに活かしてもらっていますが、商学部の学生が多いので事あるごとに、こちら側と相手側の「コスト」について考えてね、と言っています。お金もそうですが、時間とかも。

グッチは最終的にやや哲学的な問いに入り込みました(朝井リョウ『何者』をやや彷彿とさせます)が、そんな深刻な感じではなく、「あ、自分てこんな感じなんだな」と傾向をつかむことで、将来的なイメージにつなげやすくなり、自分なりの課題を明確にできる結果になったようです。
グッチは「自分はモテるんでダテメガネしてるんです」とか平気で言うタイプのナルシストで、これまでも紆余曲折あって色々闇を抱えててそれが邪魔してたり、周りからするとつかみにくい所もあるかなと思います。が、自己開示することでその辺はすぐに払拭できるのと、自分なりに考えてるし、仕事面で頼りにされている部分もあるので十分やっていけると思っています。

すみちゃん

続いてすみちゃん。印象的だったのは、「対価についてものすごく考えさせられた」ということ。「自分の報酬を自分たちで決める」ことについて書きましたが、給料とか報酬とかってなんだろうと自分なりに考えたわけですね。大学生はバイトして時給もらって、が普通なので、時間をお金に替えている側面が強い。けど、KATでは仕事への対価としてお金をもらうので(お豆はやってませんよ(笑))、仕事やお金に対する考え方を深堀りするきっかけになったのでしょう。

今後について書いてるわけですが、僕としては逃げていいと思うし、あたまの中真っ白になるのは場数を踏めば何とかなるんじゃないかな。それよりもすみちゃんの魅力が他にもたくさんあるので、自分を引き上げ、卑下せずに臨んでほしいなと思いました。チーム発表ではすみちゃんが取り入れたスケジュール管理の手法が大変秀逸で、マネジメント力高いなと思いました。というか、根底にある人間観みたいなところがいいのかな。それに気付くのはまだ先でいいけど。

らいちゃん

「基本の大事さ」がKATを通じて伝われば、もうこのインターンの存在意義は90%くらい発揮されたと思います。よくぞ言った。

こう言ってもらえればもう思い残すことは何もない感じですね。学生のうちに企画書書いたり、実際にお客さんとのやり取りを通じて経験したことなど、KATでこそ出来ることがあって、色々と拾うものがあったということだと思います。
らいちゃんはスライドの作りからもわかるようにあっさりめ、サバサバタイプなので、案件や顧客が少し多めのどんどん仕事を進めるような職種が合うだろうなと思ってます。その半面、「はじめてhtmlでコードを書いてブラウザに表示されたときは感動した!」みたいな感性の瑞々しさがあって、感動とかエモいこととかずっと大切にしてほしいなと思います。

あやぽん

「将来絶対いいお母さんになる」と羨望のまなざしで見られるあやぽん。お客さまの社長とのメールのやり取りについて、「メール=爆弾=自分の手元に持ったままだとヤバイ」という気持ちで臨んでいたそうです。
ブログへのアウトプットが記録になり、記憶につながり、思い出すことにもつながるということですね。KATはアウトプット重視のインターン(な気がしている)。

「チャレンジ(Challenge)からチェンジ(Change)へ」というテーマでの発表でしたが、チームプレーとかお客さまへの貢献とか、この辺りはあやぽんの強みが存分に発揮されたと思います。他メンバーから弱みに対する言及もあって納得してた感じ。何も言うことなし。そのままがんばれ。

ぽむ

KAT最古参・大御所のぽむさん。
彼女についてはブログを読めばもうそれでいいんじゃないかと。
女子大学生が日々奮闘したりしなかったりするやつ。
http://pompom0809.hatenablog.com/
ぜひアクセスして「最新記事一覧」にご注目ください。

2年半前に初期メンバーとしてKATに参加したぽむさん。色々な所で書いたり言ったりしてますが、とにかく成長ぶりがすごかった。2年半も仕事通じて付き合ってると色々な変化があって、間近で見てた感じですね。
彼女は個人プレーとチームプレーの両方を経験し、彼女なりにメリット・デメリット学んだと思います。スキルも磨いてるし、自称コミュ障のコミュニケーション能力めっちゃ高いタイプで、その辺のサラリーマンよりよほど仕事出来ると思います(「私が育てました」と写真付きで売り出したい(ドヤァ))。
スライドは「答えが無い」ことを表したものらしく、的確な言葉紡ぐよなぁと感心。KATはまさしくラビリンス。

これは当日のスライドではなく、KAT新メンバー向けにプレゼンしてもらったものです。長くやってきた人だからこそ語れることがある。

ぽむさんのプライベートのことも色々知ってる(別に知りたいとか言ってないのに全部しゃべってくる)距離感なので、僕の前でもあえて言ってる感じですね。
4月からは鎌倉にある面白法人で働き始めるので、今後益々の活躍への期待とこれまでの感謝を表して、はなむけに卒業証書&表彰状(とみんなからの色紙とプレゼント)を送りました。
いやー、さびしくなるな(しみじみ)。

振り返りその1 まとめ

これまで紹介したメンバーのスライドは全部簡潔でしたが、もちろん口頭で具体的な補足があり、質問してもちゃんと中身のある答えが返ってくるという感じで、ほんとみんなよく頑張ったんだなと思いました。
発表時間も、タイマーかけませんでしたがきっちり時間通りで、よく準備して練習したあとが伺えました。

チームに任せてみて、結果的には僕が1人で作るよりも、はるかに良いものをメンバーは作ってくれました。僕の根本には、「一人の力には限界がある」、そして、「だからこそ組織の力を信じている」という思いがあります。それが一端でもKATで体現できたのではないかと思います。

翌日、メンバーみんなに送ったメッセージをもって「振り返りその1」は終了。

「その2」へ続く

みんな本当にお疲れ様でした。とても良い発表ばかりでやって良かったと思ってます。
俺が細かいことを言ったわけではないのに、みんな自分なりに考えて、試行錯誤して、取り組んだことがわかって「あ、俺のやり方って間違ってなかったかも」と思えました。ありがとう。
それに、最初に出会った頃のみんなとはもう全然違うみんなになっていて感慨深かったです。
今後の活躍も楽しみにしてます。



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