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生活クラフトSLG+RPG『きみのまちサンドロック(My Time at Sandrock)』のストーリーの良さを語る

こんにちは。

2023年11月3日に発売したオープンワールド生活ゲーム『きみのまちサンドロック』に生活を破壊されたゲームオタクです。

今回は『きみのまちサンドロック』Switch版・Xbox版両方購入し、約400時間溶かした(今現在も溶かし続けている)オタクの目から見たストーリーの良さについて語ります。

「生活ゲーム好きだけどストーリーは? 恋愛要素は? 6000円近く払う価値ある?」と迷っている人の背中を蹴り飛ばせれば幸いです。

思い余って長文になってしまったので、必要な情報だけ知りたい人は目次から適宜ジャンプしてください。

(1)はゲーム概要を簡単に知りたい人向け
(2)(3)は詳しく内容を知りたい、書いてる人の長文感想も読んでくれる優しい人向け ※後半ネタバレ有り
(4)は恋愛要素の詳細を知りたい人向け



(1)どういうゲームなの?

※Switch版を始めたばかりの頃のpost。
面白さに狂いながらもできるだけ冷静におすすめ点・注意点を挙げているので、見ていただけると嬉しいです。
この時はまだ「ストーリーは薄めだよ~」とか呑気に言っていますが、それが盛大なフラグだと気づくのは半月後です。

砂漠の町・サンドロックを舞台にした生活クラフトSLG+RPG。

◆ざっくり概要

『ルーンファクトリー』
『ドラクエビルダーズ2』
『アトリエシリーズ』
『Stardew Valley』

などなど、本作に類似するゲームは色々挙げられます。
『牧場物語』の系譜だと勘違いされがちですが、牧場要素はほぼありません。(農園は作れるけどメインではない)

依頼受注(住民との交流・恋愛)

フィールド探索(素材採取・戦闘)

自宅に戻ってクラフト

依頼完了


というのが基本的なゲームの流れです。
手触りとしては『ドラクエビルダーズ2』に一番近いと感じました。
まちづくり・ものづくりをテーマにしたストーリー、中盤からシリアスかつ熱い展開を見せるところもビルダーズ2っぽい。

本作は生活SLGの側面もあるけれど、ストーリー性の強いクラフトゲームと捉えたほうがいいでしょう。


◆対応機種

対応機種はSteam・Xbox・PS5・Switch。

基本的にはハイエンドPC向けに作られているので、CSやロースペックのPCだと画質等が少々見劣りします。
Switch版も発売当初は不安定なところがありましたが、こまめにアップデートが重ねられて現在はだいぶ動作が安定しました。

スペックきつくてもSwitch移植して携帯機でも楽しんでもらうぞ、ライト層にも届けるぞというメーカーのガッツこそを買いたい。
実際、携帯機との相性抜群のゲーム性です。持っているならSteam Deckが一番良いのかも。

(※本記事で使用する画像はXbox SeriesS版)


◆翻訳の質

開発は中国に拠点を置く「Pathea Games」(販売はDMM GAMES)
中国内では珍しく、運営型オンラインゲームではなく買い切りゲームに力を入れているメーカーさんです。

『きみのまちサンドロック』の作中ボイスは中国語・英語のみ。
字幕は日本語も対応しており、翻訳は優秀だと思います。

本作は科学や生物学的知識に基づいた会話が多く発生するのですが、それらをわかりやすく説明し、かつ話しているキャラクターの個性もちゃんと表現している。

一部サブクエストなどでぎこちないセリフはあるものの、メインストーリー、キャラクター個別イベントなど、外してはいけないところはぬかりなく整えてきたという印象です。


※AUTOMATONに開発者インタビューが掲載されています。
日本発売への熱意が感じられる良記事なのでぜひ。
https://automaton-media.com/articles/interviewsjp/20231025-269360/




(2)どんなストーリーなの?

サンドロックで最初に出会う、同じくビルダーのミアン。デカい日本語がシュールなプラカードを持ってプレイヤーを出迎えてくれる。

資源が枯渇し、わずかばかりのオアシスを擁する砂漠の町サンドロック。
派遣された新米ビルダーとなり、個性的な住人たちと力を合わせて町を復興させ、再び緑をよみがえらせよう!


というのが、おおまかなあらすじ。
これだけ聞くとまるで『牧場物語』かのような、心温まるほのぼのスローライフを思い浮かべますよね。

基本的にはそうです。
残虐な描写や露悪的な表現はありませんし、デザイン含めてコミカルな雰囲気で統一されています。

生活ゲームではおなじみ、季節ごとのイベントも開催される。

でも、『きみのまち』シリーズには少し珍しい設定がある。
それは文明崩壊後の世界を描いた遠未来SFだということです。



◆明るいポストアポカリプス

高度に発展しすぎた科学技術によって文明が廃れ、太陽光が差し込まなくなった「旧世界」。

地下に逃れた人間の一人が作り上げた機械が暗雲を払い、再び地上に光がもたらされる。
その人こそ初代「ビルダー」であり、後世にまで語り継がれる救世主となった。

それから300年後──の世界が『きみのまちサンドロック』の舞台です。

旧世界の遺物を再利用した農園。

明るくポップな『風の谷のナウシカ』と考えていればわかりやすいと思います。

旧世界の遺物を利用しているので文明レベルは低くないけど、人口が少ないので発展度合いが低い、という感じ。

「魔法」という概念は存在しません。
ロボットとかジェットパックとか喋る動物(突然変異種)とかビーム砲とか真空刃とかは出る。だってSFだもん。

とにかくこの、古き良き空想科学のワクワク感がすごい。

高度なAIを搭載した旧世界の遺物……だけど今は作業場のお手伝いをしてくれる可愛いロボ。

クラフトできるアイテムや建材もSFガジェット的でどんどん作りたくなるし、それらがサンドロックのウエスタンな雰囲気と絶妙にマッチしているのを見るのも楽しい。

トンデモ科学かと思いきや、ゴリゴリに設定が作り込まれていることにも驚き。

天才にして奇才のチーホン局長。濃厚なガノタ臭を隠せてないけど、普段はちゃんとクレバーな人です。

サンドロックに研究所を構えるチーホン局長のクソ長い蘊蓄セリフは、科学的・数学的知識がなければ絶対書けない。(そしてこれを翻訳した人はマジでお疲れさまです)

それだけに留まらず【緑化】が目的である以上、農学や生物学の知識も必要になってくる。
さらにストーリーが進むと地政学、宗教学、哲学の領域にまで……。



◆熱く泥臭い人間ドラマ

こんなふうに言うと「なんか小難しくてつまんなそ笑」とか思う愚かなるヒューマンがいるかもしれません。
私もそうなので、別に恥ずかしいことじゃないです。

本作のストーリーの真髄は、作り込まれた空想科学の上で繰り広げられる人間ドラマにあります。

この世界には、不思議な魔法や上位存在なんて都合の良いファンタジーは存在しない。
あるのは「人間のチカラ」だけ。

人間の知性と知識、経験、そして情熱を武器に、厳しい現実に立ち向かう成長物語なのです。





(3)三部構成のストーリー

冗長になりますが、『きみのまちサンドロック』のストーリーをざっくり三部に分けて説明します。

◆序盤:過酷な過去と現実

サンドロックは過酷な環境の町です。
ゴールドラッシュならぬ遺物ラッシュに湧いたのも今は昔。
遺物発掘作業で木々は枯れ、オアシスは干上がり、わずかに残った住民たちが細々と暮らしています。

フィールド全体を覆い尽くす砂嵐。基本的には出歩かず家で過ごすのが安全。

特に恐ろしいのが、町を定期的に襲う砂嵐。
ゲームシステム的にも砂嵐中での活動は極めて困難で、視界が悪くまともに歩けない、所持中のアイテムが吹っ飛ばされる、作業場のマシンの稼働に支障をきたす等のデメリットが存在します。
(これを防ぐには早めに砂防壁を自宅に備え付けよう)

サンドロックの人々は、日々を明るく過ごしながらも心のどこかで「この町はもう長くない」と感じている。

ゲーム序盤、町の最年長であり墓守のような老人モートと出会うイベントが発生します。
そのイベントを進めていくと、サンドロックとモートじいちゃん自身の、あまりにも切ない過去が断片的に見えてくる。

若く情熱に溢れていたあの頃……
砂漠にだって負けずに生きていけると信じていた……
けれど遺物ラッシュの栄華は一瞬で、後に残されたのは傷つき廃れた町だけ……
何度も何度も襲いくる砂嵐は、水を、作物を、人々の命をも奪っていった……

サンドロックを救う手立てを見つけるため砂漠へ旅立ち、ついに帰ってこなかった妻を思い、じいちゃんは言う。

「泳ぐ勇気のある者だけが溺れるのだろう」

ウッ……(´;ω;`)

この町はもう長くない。
でも、もしかしたら、何か手段が見つかるかもしれない。
かすかな希望をくすぶらせ続けてきた住民たちの前に現れたのが、誰あろう新米ビルダー(プレイヤー)なのです。

髪の長さ、瞳の大きさ等々細かくキャラメイク可能。私は別にショタコンとかじゃないけど可愛い系の男の子を作った。別にショタコンとかじゃないけど。
聖人君子のように振る舞うも、尖りまくったロックなキャラを貫くのも選択肢次第。

こいつは我ながら努力家で、すごい速度で腕を上げ、難しい建築を易々とこなし、戦闘面でもべらぼうに優秀ときています。(プレイヤーのスキルとか選択にもよるけど)

ビルダーの無双スキルでなんとかなるようです! とか言われたら興醒めですが、そこは安心してください。
ビルダーの働きぶりを見て「俺たちも……」と目に光を取り戻した住民たちによって、復興計画が進んでいきます。

厳しい生活の中でも豊かな心を忘れないサンドロックの人々。作中では、素朴だけど胸を打つ挿入歌がいくつか聴ける。

というかサンドロック民って、過酷な環境で生活できるだけあって実はめちゃくちゃ有能だし逞しい。
こいつらなら絶対大丈夫だろという安心感がすごい。

序盤の山場である【砂漠の植樹】【有害ガス除去】のイベントを通じて、自信と団結力が芽生えていくさまは胸が熱くなります。



◆中盤:裏切りと国家間の対立

※※※!!!!ここからネタバレ!!!!※※※





『きみのまちサンドロック』には、ゲーム最序盤から話題にのぼる悪役がいます。

指名手配中の盗賊ローガン。

彼はオープニングムービーにも登場している重要人物で、本作を象徴するキャラクター、もう一人の主人公と言っても過言ではない存在です。

かつては優しく正義感の強いサンドロックの住民だった彼は、父親の死をきっかけに町を恨むようになり、略奪や破壊活動を行う悪党に成り果てた……とされていますが、見てわかる通りイケメンなのでブラフです。
この顔でただの悪党は無理がある。

ローガンとは何度かイベント戦闘が起きる。制限時間内に倒し切ることは難しいので、死なないことを目的に凌ぐのが安全。

結論から言うとローガンの父を死に至らしめ、罪を着せてローガンを追いやった人物が町にいます。

一連の騒動の陰に敵性国家<デュボス帝国>が絡んでいることを掴んだローガンは、盗賊のように振る舞うことで<自由都市同盟>(サンドロックが所属する連合みたいなもの)管理当局の注意を町に向けさせようとしたのです。

ローガンを追跡し、彼の真意を知るにつれ、裏切り者たちの存在も明るみになります。
そしてさらに、彼らが実は帝国のスパイだったことが判明。
必死の抵抗も虚しく、サンドロックは帝国軍に制圧されてしまう。

ほのぼのクラフトゲームで戦術指南を受けることになるとは……。

住民を装っていた敵国のスパイと、同じく身元を隠し町に潜入していた自国の工作員。
ローガンと共闘するサンドロック奪還戦。
なぜこの町が狙われたのか? 隠されていた遺物の正体とは?
まさかの逆襲に出たサンドロッカー不屈のド根性。
そして、父の仇を討ち、過去にけじめをつけたローガンと住民たちの和解……。

とにかく熱く盛り上がる展開が目白押し!!

もちろん単なる勧善懲悪では終わらない。
帝国には帝国の、同盟には同盟の大義名分・政治的駆け引きが存在し、国家間の決着がつくことはありません。

サンドロックへの侵攻も、帝国は「命令無視したスパイが勝手にやった」とトカゲの尻尾切りしつつ謝罪し、同盟も多数の帝国スパイの引き渡しと国境付近の軍縮という条件を呑ませて手を引く等、睨み合いながらも均衡を保とうとする動きが生々しい……。

国の末端である兵士や民間人の心には、相手を憎む気持ち、罪悪感やいたわりの気持ち両方ともある。
個人同士ならば通じ合えると知りながら、「国民」としての立場で行動せざるを得ないもどかしさ。

全面戦争はなんとか回避できた。
平和が一日でも長く続くよう祈りながら、サンドロックの人々は元の生活に戻っていく。(一時的とはいえ戦場になったのに、サンドロックは地方自治体に過ぎないためそうすることしかできない)

この、戦争の「どうにもできなさ」の描写が抜群に上手い。

争いをことさら悲壮的に描くのではなく、どうしようもなく起こるもの、なくすのはとても難しいものであることを淡々と受け入れているキャラクターの心の距離感がリアル。

そんな非情な世の中でも当然のように「生活する」人々の強さ、尊さもまた垣間見える素晴らしいストーリーでした。


ゲーム内の新聞や本は読まなくても問題ないけど、読めば世界観がめちゃくちゃ作り込まれているのがわかる。




◆終盤:再生と出発

そして物語は再び、当初の目的【緑化】に立ち返る。

砂漠に植林するモビル……もといモバイルスーツ。

隠されていた遺物とはスペースシャトルで、ここにある宇宙で活動するためのなんかすごい装置で水を生成できるようになったサンドロック。

いよいよ本格的にデカめの砂防林を作って砂嵐を防ごう! と試みたはいいものの、なぜか一度目のようにうまくいかない。
この時の住民が、冷静に事態を受け止めていたのがとても印象的でした。

「これまでもみんなで何とかしてきた、今回も知恵を出し合って解決しよう」と、サクサク切り替えて各々すべきことに取り掛かる。
ゲーム当初とは明らかに肝のすわり方が違う。

自分には何ができるのか?
誰かのため、自分自身のために何を成し遂げたいのか?


希望と絶望を抱えながらくすぶっていた住人たちが、真剣に考えて答えを出した時、努力がついに実を結ぶ。

緑を取り戻したサンドロックに、かつての寂れた面影は無い。
<自由都市同盟>のサミット開催をもってメインストーリーは完結します。

このラストシーンの美しさ、力強さは筆舌に尽くしがたい。

変わらず自分の仕事をこなすサンドロックの人々。
苦しみながらも守り抜いた故郷を見渡すローガン。
そして、本作で最も成長し、真にリーダーとして立ち続けたトルーディ町長のセリフで締め括られる。

あまりにも良いセリフなので抜粋しました。

「たくさんのことがまだ重くのしかかってるわね…
でも…変わったのよ。その重みがあって、なぜか安心するようにも思う。

それはたぶん…
その重みをかついでいけるから」

『きみのまちサンドロック』より引用


「重みをかついでいける」という表現の“妙(みょう)”よ。


乗り越えていける、ではなく、かついでいける。
その重みがあるからこそ生きていける。
自信と誇り、覚悟に満ちた言葉と共に、物語は幕を閉じる。
そしてこれからも、サンドロックの日々は続いていくのでしょう。



◆社会人に響くストーリー

『きみのまちサンドロック』は社会派SFです。
そして、厳しい社会の中で生きる人にこそ響くストーリーです。

環境破壊、紛争、復興など、難しい問題を扱いながら説教臭くないのは、キャラクターたちがみんな「社会人」だからです。
子どもも働き手も老人も悪役すらも、自分にできること・自分がしたいことを考えて主体的に動き、良きにつけ悪しきにつけ必ずついてくる結果を受け止める。

「自分自身の考えや行動に責任を持つことが、社会で生きるということだ」と、言葉ではなく態度で示してくれるからです。

それぞれの仕事でベストを尽くし、時に別分野の人たちと協力し、衝突し、なんとか意見をすり合わせてカタチにしていく。
我々と何も変わりません。
だから共感できるし、自分事のように捉えてしまうし、気づけば熱い涙が頬を濡らしているのです。

情熱だけでは何も成し遂げられない。
だけど何かを成し遂げるためには、情熱を絶やしてはならない。


そんなことを改めて思わせてくれる大傑作でした。





(4)恋愛要素について

攻略可能キャラは21人。うち男性12人、女性9人。前作『ポルティア』に引き続き同性婚可能。

超王道涙腺直撃胸熱お仕事ストーリーである本編に反し、恋愛方面は限りなく倫理観ゆるめです。

※一部のイベントしか発生させていないので、自分が観測した範囲ではこうだった程度に書いています。
正しいフラグや条件を知りたい方は攻略wikiなどを頼ってください。


【有る要素】

・同性婚
・逆告白、逆プロポーズ(特定キャラのみ)
・妊娠出産または養子縁組
・浮気(男女問わず)
・修羅場(男女問わず)
・特別な関係のステップアップ


【無い要素】
・主人公のポジション(攻め受け)選択
シンプルに恋愛相手が女性ならリードする側、男性ならリードされる側で固定されます。


【基本的な流れ】
クエスト受注や贈り物などでキャラクターの好感度を上げる

個別イベントで「ハートマーク」のついた選択肢を選ぶ

恋愛イベント発生

選択によって関係が変化


主人公を追ってやってきた幼なじみのニア。ミアンと並ぶ二大ヒロイン(主観)で、とても可愛い。

狙った相手の攻略はさほど難しくないです。
ただし(おそらくほとんどのキャラが)メインストーリーの進行状況に合わせて恋愛イベントも発生するので、爆速で好感度上げて告白アイテム渡せばいいというわけではありません。

「平等にキャラとの好感度上げてイベントだけ見て、一通り出揃ってから誰にするか決めよ(^-^)☆」などという甘い考えは捨ててください。

好感度上げる→イベント発生する→付き合うか否かの選択を迫られる
この流れはセミオートだと覚悟しましょう。
当然、逆告白してくる相手なら問答無用のオート進行です。

しかし、付き合ったとしても実はまだ「お試し期間」なのです。
他に気になる人がいれば言い寄ってもいいし、男女問わず二股三股四股五股かけてもいい。
ただしデート(浮気現場)を別の恋人に見られた場合、当然二人の仲に亀裂が入る。
陰キャの非モテにはちょっと何言ってるかわからないですが、そういう仕組みの世界です。

町一番の美丈夫、ドクター・ファン。口下手なところが母性をくすぐる♥のは当然彼がイケメンだからであって、凡夫なら「コミュ障」の一言で片付けられそうな性格。

八方美人の結果浮気しまくるか、全ての恋愛フラグを折ってたった一人を追い求めるか

システム的には浮気プレイを推奨しているのでしょう。
なにせクリアまで100時間以上かかるゲームです。
恋愛イベント消化を後回しにできない仕様上、浮気をしまくった上で相手を選んで結婚するという極悪プレイが効率的です。

そして恋愛描写は(これもキャラによって異なりますが)けっこうストレート。キスシーンも普通にある。
そもそもハートマーク付き選択肢がかなり熱烈で、このあたりも日本のゲームではあまり見ない内容です。

清廉さ、初々しさが美徳とされる日本のオタク恋愛観とは異なり「あなたにめちゃくちゃ下心があります」とアピールすることが大事らしい。

……と色々言いましたが、私自身はSwitch版でもXbox版でもローガン以外のフラグを全部へし折り、ローガンと一途にお付き合いして結ばれた激重タイプの主人公なので、あまり参考にならず申し訳ない。

ヤリチンになるもヤンデレになるもプレイヤー次第ですが、恋愛イベント数は多く、それぞれに気合の入った内容です。

不美人タイプでも、内面を知っていくとその魅力に気づかされる。
特に教会の牧師ミゲル牧師見習いのバージェスは、物語中盤に大きな転機が訪れるキャラクターで、かなり心が揺さぶられました。

恋愛対象に限らずサンドロックの住民は、知れば知るほど大好きになっていく奴ばかりです。
鼻持ちならないシティボーイやPTAの権化みたいな人妻、牧場を営む口うるさい厄介おじさんなど、一見すると辟易してしまうような人物もいます。
だけどそんな性格だからこそ、人一倍繊細だったり、驚くほどひたむきで愛情深かったりするのです。

「実はこういうギャップのあるキャラ」というより「全部ひっくるめてその人」という描かれ方がとてもよかった。



(5)まとめ

「生活ゲーム好きだけどストーリーは? 恋愛要素は? 6000円近く払う価値ある?」

この問いに対する私の答えは、

ストーリーは真摯なお仕事モノで最高に良い! 
SF好きならさらに楽しさ倍増!

恋愛要素は表現がストレート! 
同性婚可能なぶん攻略人数もかなり多い!

6000円近く払う価値だぁ~?
あるに決まってるだろ!!!!!!!!!!!!!!!!!!


……と言いたいところだけど、シリーズ完全初見の方にはハードルが高いお値段かもしれません。
なので、セールで4000~3000円くらいになったあたりで購入してみるのをオススメします。

『ポルティア』の登場人物ミントも友情出演。前作の攻略キャラなので、本作では攻略できない。

もしくは前作『きみのまちポルティア』を遊んでみるとか。
『ポルティア』は2024年3月現在Game Passに入っているのでサブスクで遊べますし、Switch等その他ハードでもセールなら500円前後で買えます。

ストーリー的にも2作は同じ時間軸で展開されているので、ポルティアのあの事件の裏でサンドロックは……というように各所でリンクしている。
前作キャラクターの登場や「ポルティアの凄腕ビルダー(前作プレイヤー・サンドロック主人公と異なり普通に喋る)」の話題が出る等、ちょっとしたファンサービスが嬉しい。

ゲーム自体は当然『サンドロック』の方が様々な面で優れていますが、基礎部分は『ポルティア』と同じなので、雰囲気は掴めるかと思います。

そしてこのシリーズの虜になった者は、新情報を血眼で追うことになるし、どうせ次回作は予約購入するし、DLCも買うし、なんなら携帯機と据え置き両バージョン買うことになるので安心して身をゆだねてください。


この境地に堕ちる……いえ、きみのまちユーザーが一人でも増えることを願って、記事を終わりにします。

それじゃオタクには3周目の素材集めとお金稼ぎとマシン増設と遺物発掘作業が待ってるんで、これにて失敬……。

ちゃんと寝ようね(戒め)

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