いっぱい文句言う、厄介ゲームオタクだもの【超探偵事件簿レインコード感想】

『超探偵事件簿レインコード』
かの名作『ダンガンロンパ』シリーズを手がけたスタッフが再結集した完全新作ということで、9割の期待・1割の不安を抱いて予約購入した。

何が不安だったのかというと、シリーズ最終作『ニューダンガンロンパV3』でまあまあのやらかしをしてしまったのと、お話やキャラやBGMはいいけれどアクション要素が全然面白くないシリーズだから。

とはいえ、私自身はV3にそこまで文句はありません。
あー、やっちゃったなーとは思ったけど、こういうデスゲームもの作ってるのだって心を持つ人間だから、キャラクターの死を待ち望むようなユーザーに文句言って全てをめちゃくちゃにしたくなるものなんじゃないですかね。『うみねこの鳴く頃に』だってそんな感じになっちゃったし。
じゃあ最初からデスゲームものなんて作るなよって話だけど……。

それより心配なのは『レインコード』が推理アクションと銘打ってる点だよ。
大丈夫なの? またあの面倒なスケボーやヒッチハイクやらされない?

結果……

全然大丈夫じゃなかった。



先に言います。
シナリオは好きだし、キャラクターも好きだし、BGMも最高です。
その愛だけでは覆せなかったストレスの捌け口が、この記事です。



ここから先、システム面(ゲーム設計)の文句を言う。
本気の文句だから、無理な人は引き返してください。










ゲームとしては何もかも時代遅れ

原作者の小高さんが、インタビューやTwitterで自信満々に振る舞っている(そういうキャラ作りかもしれないけど)のを見るたび、「それは本気で言っているのか?」と、怒りでも煽りでもなく疑問でいっぱいだった。

レインコードは「ゲーム」としては時代遅れもいいところ。
近年まれに見るほどのロード地獄だけじゃない。
たまに「Switch以外でも発売されていれば……」という意見を見かけるけれど、そういう問題じゃないんだという文句を、ここから先はいっぱい言う。

※ロード遅い=Switchのスペックの問題  もよく槍玉に上がる話題だけど、任天堂・サードパーティー問わず快適なゲームがたくさん発売されている以上、単純に技術力不足か、納期ギリギリで最適化する暇もなかったメーカーだけがロード地獄に陥っているんだと思う。


ざっと思いつく限りだと、

・移動速度の遅さ
・マップの見づらさ
・UIの使いづらさ
・ファストトラベルできないシーンが多すぎて、まともに機能していない
・任意の場所でセーブができない
・あまつさえゲーム内で「チェックポイント」が勝手に指定されて、手動セーブをロードすると少し前の地点に戻される
・新しくセーブする際、空白のセーブスロットではなく1番上のスロットを選択した状態になっている(上書きの危険が高まる)
・ボタン入力のレスポンスの悪さ(頻出するQTEでは致命的)(そもそもQTEを頻出さすな)
・早送りが全然早送りじゃない
・ボイスを聞くまで文字送りできないシーンが多い
・集めた解鍵を好きな時に確認できない
・推理デスマッチの視認性の悪さ

このくらいある。
正直まだまだあるけど、キリがないのでやめる。

PSP時代あたりのゲーム性をまだ引きずってるの? とビックリするくらい進歩がない。
グラフィックを豪華にして、ムービーシーン多くして、フルボイスにしたら最新のゲームだと勘違いしているとしか思えない。
『ダンガンロンパ』の時点で操作性に難アリだったのに、何も改善されていないどころか煩雑さが悪化している。

謎迷宮のアクションの何が楽しいのか、自分にはさっぱりわからなかった。
演出は凝っているしボイスの掛け合いも楽しい、でもそれを除いたら?
せっかく超探偵たちがバディになっているのに、探偵能力を活かすような仕掛けや展開があるわけでもなし。
あるのは無意味なQTEとロードロードロード……。

こんなことなら謎迷宮パートは無いほうがいい。
移動パートもなくていい。
往年のADVよろしく行きたい場所、会いたい人を選択肢で選ばせて、会話とムービーだけでいい。

小高さんが自信満々なのは、たぶんシナリオやキャラクターなんだと思う。
でも操作性の悪さ、ロードの多さ・長さは誰の目にも明らかなのに、それを無視するような言動には正直失望した。
発売から2ヶ月が経ったけど、いまだに改善パッチが配信されない、アナウンスすらないことにもガッカリする。



「ゲーム」部分が全力で足を引っ張っているゲーム

というのが『超探偵事件簿レインコード』というゲームへの率直な印象だ。

「シナリオとキャラクターが良ければ他は目をつむる」は、プレイヤーだけが持っていい考え(心の慰め)であって、制作側までそんな意識でいるのはやめてくれ。

さらに言うとシナリオやキャラは個人の好みなので、『レインコード』の話が面白くなかったプレイヤーも当然いると思う。
そんな人たちには「話は好みじゃなかった、でもゲームとしては面白いよね」という逃げ道すら残されていない。
優しい人なら「操作性は悪いけど試みは面白いよね……」と、ギリギリな褒めをひねり出してくれるかもしれないけど、そういう人は次は買わない。少なくとも予約買いは絶対しない。

プレイヤーの自由な操作を、意味もなく制限するゲームを「ゲーム」として出すことに何の意味があるんだろう?
面白い話や魅力的なキャラクターを楽しみたいなら、映画でもアニメでも小説でも漫画でもいい。
ゲーム作品であるなら、ゲームとしての面白さ・快適さをないがしろにしないでほしかった。



シナリオやキャラは棘がなくなってて好き

『レインコード』への主な文句はゲーム性・システム面であって、シナリオやキャラクターはよかった。

設定自体は既存作品のつぎはぎで隠す気もあんまりなさそうなので、「ホムンクルス」というワード、マコトが登場したあたりからだいたいのオチが読めてしまうのが残念。

主人公ユーマと死に神ちゃんのボーイミーツガール、探偵たちの冒険活劇として見れば良作。
『ダンガンロンパ』から通して一番好きになった主人公は今作のユーマだし、ヒロイン死に神ちゃんの可愛さは天井知らず。
終盤からの王道胸熱展開、ラストシーンの美しさ、爆裂カッコいいエンドロール曲は、爽やかなハードボイルド作品を見終えたような充足感があった。

絆や成長を重視した物語は、露悪的だった『ダンガンロンパ』と良い意味で真逆の作風になっていて、新たな客層を取り込めそうな力強さを感じた。

だからこそゲーム部分がアレだったのが本当に残念。
新規プレイヤーのためにも、せめてロード短縮パッチくらいは配布してほしい。



まとめ

いっぱい文句を言ってきましたが、続編が出たら予約買いします。

こういうヤツがいるからメーカーがつけあがる?
知ってるんだよそんなことは。
こういうヤツが大勢いるうちに、こういうヤツを増やしてお金稼いで面白い新作を出し続けていってほしいんですよ、こっちは。

続編が出るなら、どうかゲーム部分を見直し、洗練させてほしいです。

このギミックには意味があるのか? ゲームのコンセプトと関連づいているか? ゲーム性と操作性は噛み合っているか? ジャンルに適したUIか?

そういうのをちゃんとしてほしいです。 
厄介ゲームオタクはそれだけを願っています。


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