見出し画像

「この社会主義グルメがすごい! 食べて応援! 2020年春の陣編② 受け継がれたソ連直伝の味! 『モンパルナス』のピロシキ」

画像1

トロイカ(以下ト)「はじめましての同志ははじめまして! お久しぶりの同志はお久しぶり! ファシストの同志はシベリア送り! ソ連が生まれ変わったトロイカじゃ!」

画像2

オッシー(以下オ)「どうも、東ドイツことドイツ民主共和国の生まれ変わり、オッシーです。お久しぶりです」

ト「というわけで、『この社会主義グルメがすごい! 食べて応援! 2020年春の陣編』、第二段じゃ!」

オ「本企画は、同人誌と商業で展開している内田弘樹原作・河内和泉著の『この社会主義グルメがすごい!』シリーズのWEB版というべきものです」

■サークル「プロイェクト・オスト」Boothショップ(同人版通販中)

ト「前回は『新京』のベトコンラーメンじゃったわけじゃが、記事を読んでさっそく食べに行ってくれた方々が散見されて、大変に嬉しかったぞ!」

オ「ちなみに『新京』伏見店の公式アカウントでは、このようなツイートも。まだまだ状況は厳しい模様……皆様、食べに行きましょう!」

オ「今回の主役は、兵庫県尼崎市の喫茶店『モンパルナス』のピロシキじゃ!」

画像3

オ「おわっ! 今回もいきなり大迫力ですね!」

ト「まずはお店の来歴から! 『モンパルナス』は兵庫県の阪神尼崎駅構内にある喫茶店じゃ。ピロシキで有名じゃが、他にもベーカリーも兼ねていて、もちろん店内で飲食が可能じゃ! 実は昨年の5月、作者も取材の下見で訪れておる! 下はその時の写真じゃ!」

画像4

画像5

画像6

オ「いい感じですね~!」

ト「うむ! そしてこのモンパルナスのピロシキ、実はソ連直伝という、正真正銘の社会主義グルメなのじゃ!」

オ「いきなりトチ狂った話をしはじめましたねこのロリババアは。最近ののじゃロリブームに乗り遅れたのがそんなにイヤでしたか」

ト「なんかすごいいじられようじゃが待て待て! ワシは嘘は言っておらん」

オ「ホントですかぁ?」

ト「何しろこの『モンパルナス』、かつて『モスクワの味』をキャッチフレーズに関西でチェーン展開し、ソ連から直接指導を受けていたロシア菓子の名店『パルナス製菓』の創業者の弟さんが設立した店なのじゃ。そして『モンパルナス』のピロシキは『パルナス』のピロシキを受け継いだものじゃから、ソ連直伝といっても間違いではない」

オ「……マジすか」

ト「うむ。これについては、後程詳しく紹介する『パルナス復刻委員会』の公式twitterアカウントが、往時の貴重な資料を公開しておる」

(※上のツイートについては、『パルナス復刻委員会』からツイートの誤記が報告されています。15万人/日→1万5千人/日)

オ「本当だ二枚目にピロシキが1個40円って書いてある! 安ッ! っていうか大阪万博のソ連館でレストラン『モスクワ』を経営、ロシアからコック多数を招く!? やばい本当だ! 本当に日本とソ連の絆的なグルメだ!」

ト「そしてこれが、同じく『パルナス復刻委員会』から提供を受けた、ソ連から『パルナス』の指導に来たオージィナさんの姿と、彼女の作った『オージィナケーキ』の数々を映した激レアな写真じゃ!」

画像15

「パルナス製菓」で技術指導中のオージィナさん(写真提供:パルナス復刻委員会

画像16

オージィナさんの作ったケーキ(写真提供:パルナス復刻委員会

画像17

こちらもオージィナさんの作ったケーキ(提供:パルナス復刻委員会

オ「なんとぉぉぉ! というか、最後の写真、明らかにソ連海軍というか潜水艦というか原潜モチーフですよね!? 原潜モチーフのケーキとかなかなか見られるものじゃないですよ!?」

ト「ソ連といえば原潜、原潜といえばソ連じゃからのう(ドヤァ)」

オ「強い……(素直に感動している)」

オ「『パルナス復刻委員会からのありがたい情報提供によると、オージィナさんはモスクワで従業員2000名を抱える旧ソ連最大の国営菓子メーカー『国立ボリシェビーク製菓工場』の主任技術者で、昭和40年代に二度、大阪府豊中市にあったパルナス本社工場に技術指導で来日されたそうじゃ」

画像18

かつて大阪豊中にあったパルナス社屋(写真提供:パルナス復刻委員会

ト「オージィナさんの来日を受け、『パルナス』は社内向け記録映画『ようこそオージナさん」を製作したということじゃ。オージィナさんのケーキ装飾はまことに見事で、『ケーキが咲いて」いるようだったということ! 彼女のケーキを称えて作られたのが、パルナスの『オージナケーキの歌』だそうじゃ!」

オ「これは本当にソ連との見事なコラボレーションですね……。あと、わざわざ映画を撮ったり歌を作ったり、今のエンタメコンテンツのメディア展開を感じさせるものがあります」

ト「ふっふっふ……どうじゃ、パルナス』と『モンパルナス』のすごさがわかったじゃろう」

オ「わかりました。おみそれいたしました」

ト「うむ、分かればよろしい」

オ「のじゃロリブームに乗り遅れた哀れなあなたを救うため、『永久娘』の公式twitterアカウントにあなたのことを紹介しようと思っていたのですが」

ト「単純に先方に迷惑だし需要ゼロじゃからやめい」


ト「『パルナス』は1947年に創業し、大阪を中心に多数の店舗をそろえていたが、90年代以降は需要の落ち込みなどにより事業の縮小を開始。2002年に会社を解散した。なお、解散まで常に黒字・無借金経営を維持したそうで、最終的に消滅したとはいえ、かなりの優良企業だったといえる」


オ「それもまたすごい! 『パルナス』のはるか以前にだいたいを投げっぱなしジャーマンで消えたどっかの社会主義の総本山とは違います!」

ト「投げっぱなしジャーマンだったのは貴様もじゃろ!」

オ「私は国民の合意にのっとり西ドイツと『統合』した身なので」

ト「ぐぬぬ……!」

オ「で、今はこのピロシキが、『モンパルナス』の主力商品なのですね」

ト「(気を取り直して)うむ! そして『モンパルナス』は冷凍ピロシキの通販も展開しておった(通販専用サイト)。必然的に今回のコロナショックでは、この通販が『モンパルナス』の強い武器となったようじゃ。わしも通販で購入してみた! こんな感じじゃ!」

画像7

画像8

ト「冷凍ピロシキは6個、12個、24個セットがあり、全てを通常のピロシキかカレーピロシキ、あるいは半々にするかで選択できる。わしが購入したのは12個入りで、通常とカレーが半々のセットじゃな」

オ「心遣いあふれるお手紙まで……本当に感謝ですね。味はどうでしたか?」

ト「美味かったにきまっておろう! さすがにロシアで食べられている現場のピロシキとは違うが、それはそれ、これはこれじゃ! 日本人に食べやすい味と適度な大きさで、大変に素晴らしい! 通常のピロシキは卵と玉ねぎ、ひき肉が絶妙な量でブレンドしてあって、いくつ食べても食べ飽きん!」

画像9

オ「さすが『パルナス』の系譜……日本人を知り尽くしていますね」

ト「なお、『モンパルナス』店舗には、こんな資料もあった! 自宅で食べるときの参考にするがよい!」

画像10

オ「おおお! マヨにピザチーズ! 絶対に美味くてヤバいやつです!」

ト「なお、『モンパルナス』で美味しいものは、実はピロシキだけじゃない」

オ「と、いうと?」

画像11

(写真提供:パルナス復刻委員会

ト「このロシアンドーナツは、ピロシキと同様、『パルナス製菓』から受け継がれたロシアの味だそうじゃ! 砂糖ジャキジャキでもっちりとした食感! 戦前の神戸でロシア人たちが作っていたといわれておる!」

オ「うっ! めっちゃおいしそう!」

画像12

(写真提供:パルナス復刻委員会

ト「この高菜サラダパンは、『パルナス』系列に偏ったメニューから脱却するために、『モンパルナス』が独自に生み出した商品じゃ! 胡椒が効いた高菜とパンが絶妙なハーモニーを奏でる一品じゃ!」

オ「うっ! もう次の昼ご飯にこれ食べたくなってきた!」

ト「そんなわけで、『モンパルナス』のピロシキは大いに『推し』じゃ! みんな、通販で頼んだり尼崎の店頭や関西圏の百貨店催事場で購入したりで、ぜひとも楽しんでみてくれ!」

オ「正直、『モンパルナス』の現状はどうなのですか?」

ト「今も頑張っておるようじゃ! ただ、公式HPにあるとおり、2020年6月の段階でも厳しい状況が続いておるようだから、やはり引き続いての支援が必要のようじゃ」

画像13

「モンパルナス」公式HPより。2020年6月24日閲覧)

オ「なるほど。やはりコロナショックの影響は大きいですね……)

ト「とはいえ、これでも一度、『モンパルナス』は救われておるのじゃ」

オ「……?」

ト「2020年4月、コロナショックによる自粛の広がりにより、『モンパルナス』の経営は一度危機的状況に陥ったんじゃ。しかし、これを見た『パルナス復刻委員会』がtwitterで『モンパルナス』のピロシキを宣伝して支援を要望。見事に2000RT以上をたたき出し、ピロシキの通販需要の拡大に大貢献。これにより、『モンパルナス』は危機をいったんは乗り越えたのじゃ!」

オ「なんですかその奇跡! すごいじゃないですか!」

ト「うむ……。『パルナス復刻委員会』の名を持つアカウントが、『モンパルナス』の経営を立て直した……まさに奇跡じゃ! 事の次第は産経新聞のネットニュースでも紹介されておる!」

オ「本当にすごい……!」

ト「うむ……。このなりゆきを知った時、わしは人間も捨てたものではないと思ったくらいじゃ」

オ「その人間に社会主義【わたしたち】は捨てられたんですけどね」

ト「いい話をしておるんだから黙っとれい!」

オ「まさに救世主……。ところで、先ほどから名前が頻出している、その『パルナス復刻委員会』とは?」

ト「関西を中心に活動している、『パルナス』を愛するものたちの組織じゃ。2017年から『こころばかりのパルナス展』を各地で開き、『パルナス』の思い出や魅力を公開したり、残された謎を追っているそうじゃ! 『とあるパルナス店のジオラマ』や、『パルちゃんぬいぐるみ』を展示したり、商標登録済のオリジナルグッズを販売したりもしておる! もちろん、『モンパルナス」のテイクアウト商品も販売(※不定期)じゃ!」

オ「これは面白そう! 行ってみたい……けど、現状でイベントはどんなもんなのですかね……?」

ト「とりあえず、7月5日に大阪で開催されるイベント『中之島うたかたレトロ市』に参加するそうじゃ。感染対策を万全にしたうえで、みなで参加したいものじゃな!」

オ「しかし、これだけの奇跡を起こして、なお支援が必要……やはり、上重ねの宣伝は大事なのですね」

ト「わしもそう思った! というわけで、『モンパルナス』とピロシキをよろしくなのじゃ! わしはソ連時代のモスクワ直伝の味が、日本で末永く楽しめることを祈りたい!」

オ「永久娘は生きているから愛でられるものですからね!」

ト「そうじゃな!(「永久娘」ネタ、どれだけの人が分かるんじゃ……?)」

オ「本当に永遠にお空の星になった東ドイツやソ連のようにはならないように……(泣いてる)」

ト「そうじゃな……(泣いてる)」

(今回は取材協力・資料提供で、パルナス復刻委員会様の大きな助力を得ました。ここに感謝の意を表します。ありがとうございました!)


画像14



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?