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『わたしの全てのわたしたち』評・代官山 蔦屋書店・文学コンシェルジュの間室道子(「ハーバーの美容手帖」2021年5月号《HABA CALTURE 「一歩踏み出す勇気をくれる本」》より)

「ハーバーの美容手帖」2021年5月号《HABA CALTURE 「一歩踏み出す勇気をくれる本」》の企画に、結合双生児の珠玉の青春小説『わたしの全てのわたしたち』(サラ・クロッサン・著 最果タヒ/金原瑞人・訳)を代官山 蔦屋書店・文学コンシェルジュの間室道子さんの評で掲載いただきました。

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化粧品HABAの会員様のみに配布される本誌ですが、とても素敵な書評だったのでぜひハーパーコリンズ・ジャパンのSNSシェアさせていただきたい旨をHABA研究所の制作部ご担当者さまと執筆者の間室道子さんにお伝えをしたところ、ご快諾いただき、こちらに転載をさせて頂いたという経緯です。この場を借りて、本当にありがとうございました。

書評、以下よりご覧いただけます。是非ごください📖

結合双生児として生まれたティッピとグレースの物語。
『わたしの全てのわたしたち』
サラ・クロッサン・著 最果タヒ/金原瑞人・訳
(ハーパーコリンズ・ジャパン)


好奇の目で見られることが分かっていて、それでも外の世界へ——本書はそんな勇気のある姉妹の物語です。主人公は腰から下がつながった結合双生児、物おじしないティッピと、内向的なグレース。
家庭教師を呼ぶための支援金が尽き、16歳で生まれて初めて学校に通うことになった2人は、初日にショッキングピンクの髪をした女の子、ヤスミンと出会います。そして彼女が紹介してくれたジョン。
家で彼のくるみ色の瞳を思いながら、グレースは「会ったばかりだ」「ジョンがいることだけで高校を好きになるのは危険」と自分に言い聞かせるも、最後にこう吐露します。
「このままじゃ、生きることさえきみに、委ねてしまいそう」。誰かに惹かれていく怖れと甘美が交錯する切ないシーン。在宅学習では得られなかった友情と初恋が姉妹を成長させていくのが読みどころです。
 本書の原題は『ONE』。この言葉を思う時、読者に見えるものは物語の最初と最後でまったく違うでしょう。一篇の詩のように深く、あざやかに、心に染み入る傑作です。

ブックコンシェルジュ
間室道子さん

代官山 蔦屋書店・文学コンシェルジュ。さまざまなメディアでおすすめ本を紹介する「元祖カリスマ書店員」。「婦人画報」、朝日新聞デジタルほかで書評連載多数。文庫解説に湊かなえ『母性』(新潮文庫)ほかがある。

(「ハーバーの美容手帖」2021年5月号より)
*特別に許可を頂き掲載をしたものです。転載はご遠慮ください。

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