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マリノスに勝ったから、ラーメン屋にいった話

 ルヴァンカップ、横浜Fマリノス戦に勝ったので青梅街道ぞい、梅里あたりのラーメン屋まで出ばってみた。はじめてのお店だった。らーめん処くろ助。丸ノ内線の南阿佐ヶ谷駅・新高円寺駅のあいだにあった。

 ぼくは醤油ラーメンをたのんだ。麺は歯ごたえのあるストレート麺。まるみのある風味の鶏油がういていて、ちょっとあまい。一度某有名ラーメン店でブリの照り焼きみたいな、甘味でべったりとしたラーメンをくわされてさんざんな想いをしたこともあるが、これはほどよいあまさ。おだしをあまさがつつんでいるかんじがとてもスキ。日がおちてもまだ33度というおもくるしい暑さのなか、出ばった甲斐はあった。

醤油ラーメン、たぶん800円ぐらい

 サンフレッチェが勝ったからなにかをする、ぼくみたいにたべにいく、お酒がスキなヒトはお酒のむ。サッカーファンにとってはふつうのことだとおもうが、これをもってうかれているという声がある。いわくカップ戦は2試合、気をぬくなということらしい。「まだ180分のうちの90分がおわっただけだ」と"いかにも"なことをぬかす。これはとてもよくない。

 勝ってカブトの緒をしめなおすのは選手やスタッフの仕事、もうすっかりまかせてしまえばいいのだ。せっかくマリノスに3-1で勝ったのだからこちらはすなおにうかれていればいい。マリノスはメンバー10人かえてきた? それがどうした。この日のメンバーもJ1でふつうにスタメンはるような連中ばかり、はじることはない。

 だいたいこちらがどれだけ集中していても、選手たちがピリっとしてなけりゃ意味はないし、せっかく選手たちが集中しているのにこちらがピリっとしていないなんてこともしょっちゅう。われわれのあいだには、かかわりなんかない。そこでわざわざ意味づけして自分のふるまいをしばるのは、趣味ならとめやしないが、ムリしてサポーターぶるのならおすすめしない。健康にわるい。ラーメンのスープをのみほすようなもん。各自の自己責任。

 勝ったらもうとにかく、くう・のむ。ラーメンの塩分やアルコールをこれでもかと摂取しながら、バカみたいなツラをしてゲームや選手のプレーをふりかえってさわぐ。それくらいがちょうどいい。

 ぼくも、くろ助のラーメンをたべながらこの日の松本泰志さんのことをふりかえった。フリーキックまえ、ゴルフの芝目をよむみたいにしゃがみこんだ野津田のガクさんもたいへん尊かったが、今回ぼくは泰志さんのプレーをいちばんにふりかえりたかった。理由はわからない。おでこの髪ゴムがめだつからだろうか。

 14分33秒、足ひらいて速いパスを自分の真正面にピタっととめたシーン。あれはもう手品のたぐい。47分05秒、マイナスのクロスのカット。あぶなかった。あそこのスペースをうめるのが習慣づいてるっぽいのがいい。66分22秒。吉尾選手のすきをついての左インサイド。相手をよく見てる……。

 麺をすすりながらだと、ふりかえるのもはかどるはかどる。ただ気がつくと、おもいかえす泰志さんのプレーのひとつひとつから、くろ助の醤油ラーメンの味がするようになってしまった。左右によくはしる泰志さんをおもいだすと、またくろ助のラーメンをたべたくなる。つぎはつけ麺、限定麺もたべてみたい。あ、今日からざるらーめんやってます。

 あしたの鹿島アントラーズ戦に勝った……あとはきびしいか。でも翌日にはまたいってみよう、そうおもっている。


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