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インド南部の定食にサンフレッチェをおもう

 ミールスがスキだ。ミールスっていうのはインド南部にルーツがあるいわゆる定食。菜食中心のお惣菜とごはんがセットになっている。

とら屋食堂のランチミールス1200円。左のドーナツ以外おかわり自由!

 こんな感じ。いかにもなおじさん画角でお恥ずかしいかぎり。こちらは、東京は西荻窪ってところにある"とら屋食堂"のお昼のミールス。まんなかのパリパリのおせんべい的なものとやまぶき色のソースの下にごはんがあります。お店のnoteがあるのでくわしくはこちらへ。

 上の写真で、銀の小皿に入ってるのがお惣菜。スパイスやらなんやらで味つけられてるんだけど、これがまた1品1品だけだと味がぼんやりしてたり、すっぱすぎたり……。じつをいうとあんまりピンとこない。ただ地味ながらもいろんな味はある。ここがポイント。

 ミールスは、それらを容赦なくごはんにぶっかけ、ぐちゃぐちゃにまぜて食べる。すると、そのいろんな種類の味がクチのなかで大渋滞をおこし、いったんカオス(ラングニック派がすき好んで生み出してたあれだ)が生まれる。やがてそのカオス、混沌が、クチのなかで混然一体となったのか、整然とならべなおされたのかはぼくの稚拙な舌では判断つかないが、なぜかいい具合の味わいになっていく。いろんな色のタイルをしきつめて、ためしに遠くからながめてみたらいいデザインになってました、みたいな。なんだか得した気分になる。いやホントに妙においしくなるんだこれが。

 ぼくは自分のスキなチームが、そんなミールスのようなチームであればいいなと常々かんがえてるごめんなさいウソつきました、常々ではないです、行きつけのお店でミールスをいただくたびにかんがえてる。ミールスのお惣菜のように、圧倒的ではないけれどいろんなカラーとクセのあるキャラクターがまざりあって、化学反応をおこして、なにか毛色のちがうあたらしい集合体へとうまわれかわる、そんなチームであってほしいなあと。そう、お惣菜をお米とぐちゃぐちゃにまぜながら願っている。

 具体的にどんなか。たとえば森島司さんと野上さんと茶島さんをぐるぐるまぜると、右サイドでおいしくローテーションするボール保持になる、みたいな。チーム全体の話ではないけど、そんなイメージ。選手同士がいい関係をつくっておもしろプレーをしてほしいなと。

 で最終的にぼくは、そんなミールス状態になったチームを横目に、単品のお惣菜に愛をそそぎたい。チームはほっといても化学反応おこします。ハイ最高です。ありがとうございます。そんなかんじで安心したら、もうそこからはお惣菜に一直線。

 ちなみに。ミールスのお惣菜は原則、まぜてたべるもの。「単品でたべるものではないんですよ」と行きつけのお店のひとにおしえてもらった。でもぼくはそのお店のひとの目をぬすんで、お惣菜単品をスプーンですくい、お米を経由させずひとくちいただく。で、心のなかで「ん~まぁ、うん。そっか」「あんまよくわかんない」などとニコニコしながらひとしきりやって、それから「でもこれがまざるとうめえんだよなあ~!」とお米にぶっかけ、まぜにまぜる。そしてたべおわったら「いやぼくはわかってる」「このスープがいい仕事をした」「ぼくの目はごまかせない」などとさもわかったようなクチをたたいていたいのだ。

 それってつまり茶島雄介さんを観て「目立たないけど、チャジはいい仕事をするなぁ」「ぼくだけはわかってるぞ」とお調子のってるときとなんもかわらない。結局サッカーだろうと食であろうと、おのれの"やりクチ"はかわらんもんである。

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