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かわらないおじさんたち(vsガンバ大阪)

 おじさんたちが、びっくりするほどかわってなくて、わらってしまった。

 ことしのホーム最終戦であるところのガンバ大阪戦。エディオンスタジアムでおこなわれる最後のゲーム、そしてなによりぼくと同い年の林卓人さんの引退が発表された直後。神聖なゲームである。もすこしおごそかに観にゃあバチがあたるぞ、ともおもったが、ぼくはついふきだしてしまった。だってイメージそのまんまだったんだもの、ぜんぜんゲームに出てなかったおじさんたちが。

 スタメンの青山敏弘さん。競り合い直前、相手をひっぱったり小突いたり、ファウルしてきた相手DFに容赦なくカードを要求したりするシビアなところも、コーナーキックのとき、ニア寄りのペナ外で仁王立ちしてるのところも、まんま。ずっと試合に出てました、みたいな顔をして、6番はピッチに立っていた。もちろんサイドをかえるパスやロブパス、ぼくの大スキなワンタッチパスもそのまんまだった。

 途中から出てきた柴崎晃誠先生と柏好文さんもあいもかわらず、だった。先生のなんの違和感なく試合になじめる巧さや、シュートをきれいにポストに当てたりするところ、柏好文さんのカットインをにおわせる持ちかた、ちょっとしたワンタッチパスをしくじっちゃうところ、これまでぼくが観てきた彼らそのものだった。

 そして満を持して登場した林卓人さん。入るなり積極的に声を出していた。森﨑和幸さんのいうところの「卓人の調子のバロメータ」キックのほうは、緊張していたんでしょう、ちょっと冴えないかんじだったけれど「このハイボールキャッチしてくれたらたすかるなー」ってボールを、両手であたりまえみたいにキャッチしていた。バチンと手のひらと手のひらでボールをはさみこんで、難なくふところにおさめる彼をながめながら、かわらんなあとしみじみした。

 かわらないってすごいことだ。そのウラには、一般人の生活とは一線を画した、プロアスリートとしての過酷な日々がひそんでいる。尋常じゃないプレッシャー。しかもそれを何年、何十年もくりかえすわけだ。気が遠くなる。つづけることをなによりの苦手とするぼくには、もはやおとぎ話である。ちょっとストイックがすぎる。

 ものごとというのは得てして、やりすぎたり、行きすぎたりするとわらえてしまうもの。ぼくはだから、わらってしまった。すげえな、ぜんぜんかわらないでいやがるよこのおじさんたち。

 いやまあ卓人さん以外みんな年下ですけど。

 ついでにいうと、卓人さんのセレモニーのあとの写真撮影のとき、DAZNで解説も担当していたわれらがアンバサダーが、あたりまえのように卓人さんのアゴをつまんでいるのを観て「あなたもかわんねえな!」とまたまたふきだしてしまった。

 サプライズでいらっしゃったハンジェさんも、おかわりなさそうでなにより。町田ゼルビア、J1昇格おめでとうございます。三木谷さんもこのたび栄冠つかんだわけだし、藤田さんもこれから覇道をつきすすむんでしょうかね。イヤですねえ。くやしいくやしい。

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