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#映画感想文「キリエのうた」 岩井俊二版 海街diary

音楽劇ということになってますが、
ドラマパートは⭐︎4
ライブパートは⭐︎2
音をもっと計算して欲しかった

ドラマパートは岩井節全開

どこかで時間と空間の偶然が重なり合うファンタジーな岩井節全開
時間軸がバラバラで不安定なストーリーを、ハンディ多用の映像の揺れで構成する、計算されていて絶妙にアートです

裏主役は広瀬すず

岩井監督の広瀬すず好きがダダ漏れ
ドラマパートではイッコ=裏主役です

異邦人、迷い猫のようなキリエを妹分にしてプロデュースしようとするところ、
ダメ親に愛想つかしながら同じ道を行くところといい
海街diaryの長女のようなプロット

海街diaryより
見守る姉の役を演出したいはず

そんな海街の末娘を、結婚詐欺師にしてまで、なんとかお姉さんぽく描こうとしてますが、
気づくと女子高生を演じさせてしまう。。
うんうん、わかりますよ そのキモチ

大人の広瀬すず、監督みんなチャレンジしますが、妥協してますもん

海街dairy より
今回も24歳女子高生やってます


主役のアイナも初演技としては上々
why?な違和感がある表現で、お姉さんとして津波に流される直前の、世界が終わってしまう感は、演技、演出含めて詩的で秀逸

スワロウテイルのCHARAより圧倒的に演技できてます

スワロウテイルより
アイナのイメージは青

音が全くダメ 「映画の半分は音楽である」by 押井守

映画って目を瞑れば見ないはできるけど、聴かないはできないのだなーと実感

音楽劇ながら、路上含めライブパートはミキシングおかしくないか?ぐらいなバカ音

路上ライブの良さは、演奏の音をギリギリ抑えて、街の雑踏の中でアンプのノイズをうまく効果音にするような音表現なはず

スワロウの頃からは映画館の音響設備も変わっている
さらにCHARAとは声質が違うストレートな高音を大音量で流されても。。。
アイナの声がダメというのではなく、低音は拾えてたので、ライブ感を表現する音響センス、技術的な問題です

挙句、「歌声が大きくなった」とセリフでフォローする始末で制作サイドもわかっていそう
ラスト近く新宿のフェスシーン、映像はライブ感あって良いのですが、音に嫌気がさして、残り15分で退席しました。。

友情出演

演技上手?な監督さんたち

「ラストレター」の庵野さんに続き、
樋口シンジくんが友情出演されてます
ちょいボケないいお父さん役はピッタリかも

できれば、イッコの母の愛人は紀里谷さんでいって欲しかったかな
スワロウ繋がりで江口洋介さんチラで

かつての盟友小林武史と組んではみたが、30年も経てばそれぞれの表現はズレている
そんなアンバランスな作品

久々に途中退席したので⭐︎2です
この音が心地よい方なら⭐︎4かも
私は音が全く合わなかったですが…

ところで「キリエ」について

アイナ演じる主人公の名前ということになってますが、綴りがkyrieで東欧あたりの古い響きを感じて、調べてみると・・

キリエ(Kyrie)はギリシア語の κύριος(kyrios - 主(しゅ))の呼格κύριεをラテン文字で表わしたもので「主よ」を意味する。また、「キリエ」(もしくは「キリエ・エレイソン」)はキリスト教の礼拝における重要な祈りの一つ。日本のカトリック教会では第2バチカン公会議以降典礼の日本語化に伴い、憐れみの賛歌(あわれみのさんか)と呼ばれる。日本正教会では「主、憐れめよ」と訳される。

wikiより

確かにキリエの実家はクリスチャンで、十字架が映る

どこか運命に逆らわない姉「キリエ」
メインテーマ曲名は「憐れみの讃歌」
姉の名でその歌を歌う妹「キリエ」
物語の始まりの被災地への「祈り」

この作品はどこから始まったのだろう
題名すら螺旋的に組み込まれ、詩的で美しい




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