記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

舞台「やがて君になる」 '19/5/10

漫画1巻と燈子ちゃんがお姉ちゃんが亡くなってて、姉を演じようとしている、ということだけ知った状態でみた、やがて君になる舞台の感想。帰りの電車の中で書きなぐったライブな感じをお楽しみください。

面白かった!!!!
ストーリーがそもそも!!!面白い!!!
めっちゃ良い話!!!

開幕した時は、侑ちゃんが漫画で読んだ印象より熱い感じなんだなぁ、とか思った。
旧友と三人での会話のテンポがいい。
燈子ちゃんの声が通る感じいい。

佐伯さんのこのプライドの塊っぽい感じ最高ーー!!!めっちゃツエーーー!!!みたいな。しばらく出てくるだけで笑顔になってた。
佐伯さんは燈子ちゃんを好きだとはぜんぜん思ってなかったので、途中で燈子が好きって言い出したのびっくりしたし、本当に振る舞いや葛藤が燈子のこと好きなんだなって思って、めっちゃ佐伯ちゃんの底知れぬ奥深さがいいと思った。そんな芝居をした役者がいい…頑張れ磯部ちゃん。
鼻にかかったようなお高い声の出し方とか、悠然としてプライドが高そうな仕草とかめっちゃよかったぞ。

「君は変わらないで。」を含む一連の燈子と侑の約束とか、そこに至るまでの侑の動機を見ていて、侑がめちゃくちゃ心配だった。
燈子が言うのは「あなたは自分に何も要求しなくてとても都合が良いから好き。その都合のいいまま居てくれなきゃ嫌いになる。」(し怖い声出すし不機嫌になる)っていう、めちゃくちゃ侑を縛り付けて、最高に自分の都合のいい人間でいてくれ、て要求だったじゃないですか。それに対して、舞台の上手と下手から一歩ずつ近づきながら、全てにイエスと答えていく侑がめちゃくちゃ心配だった。だってそんなのしんどいもん。メンタルブレイクしちゃう。

そいや現代の学校を舞台にした恋愛などを軸にした劇って初めて見たのね(たぶん)。謎があったり独自の設定がある舞台は、それの理解も物語の楽しみポイントだけど、こういう話は人の内面がそのまま不思議な謎になるんだなって思った。この前読んだ漫画の描き方?で、漫画で延々に描き続けられるテーマはその人物がいかに魅力的かだけであって、その魅力的な人物がサッカーやったりしてるシーンを描くという、というのが読者を引き込むもので面白さなんだ、て言ってたんだけど、シンプルな設定の舞台だったからそれがよくわかった気がする。

同級生ちゃんが書いた脚本、主人公のキャラ設定がこうなんつーかお前いい賞獲るよ…とか思ったわ。なんや急に弟と父ちゃんが違うとか、ビビるわ。
あの劇中劇もよかったね……。本作のテーマと(当たり前だけど)めちゃくちゃよくリンクしてて。

燈子が乗り越えられなかったものの根底には、お姉さんの死を受け入れられない、が強いのかなと思った。お姉ちゃんが17歳で自分が10歳の時に亡くなったお姉ちゃんでしょう? 7歳も違えば何でもできるように見えるし、だってお姉ちゃんは制服を着て学校に通って両親と大人っぽい会話をして、きっと燈子ちゃんにもめちゃくちゃ優しくしてくれたんでしょ…。なかなか受け入れられないよね。周りに言われた「お姉ちゃんのように」て言うのも、事故で周りも動転してる時に、そんなに強い意味で言ったわけじゃない可能性もあるし(漫画には描写あるかもだけど舞台にはないからわからん。でも悪い人がいない舞台だったので、悪い両親じゃないと思うんだよな。)

カフェ店員(女)がモブにしてはイケボ過ぎて不自然すぎて吹いた。いや、立道さんだってわかってたから重要な役だってのは理解してたけど、初出の時は吹いた。
それにしても、高校の先生(女)とカフェ店員(女)が「ただいま」て言ったあとの数秒の動きで、あコイツら絶対付き合ってる、て思わせる芝居上手すぎませんか?????そりゃ佐伯ちゃんも舞台のど真ん中で無言で凝視するわ。私も凝視だよ。
話の途中で、この二人は幸せな結末を暗示してる人物達なんだなって気付いた。そのカフェで侑が同級生達との会話で「好きってずっと言われてたら好きになるかもだよ!」とか言われてるシーンも、これ後の暗示やなって思ったから、そんなに遅くないところで、気付いたかも。いつかは忘れた。

佐伯さんが燈子のこと好きっていうのマジ驚いたわ(2回目)。自分のことが好きな人だと思ってた。でも燈子のことをよく考えてて、自分自身は恐れを持った子なんだね…って。でも関係を変えようとするのが怖いくらいに長く一緒にいて、大きな思いが燈子に対してあるのかなぁって、上手で独白してるシーンで思いました。

侑が漫画一巻の印象より熱く感じたけど、本当に熱かったね。

そいや、中川は闇の生き物なので、「人間は自分で思わない限りは変わらない」と思っているんだけど、燈子が劇終わってちょっと変わったねて言われてる時に、まぁちょっとここでは説明するのは難しいことを思ったのね。でももうちょっとシーンが進んで燈子を見てるうちに「燈子が自分で変わることを望んだんだな。」て感じて、なんかめちゃくちゃ良い話だなって思った。

劇の脚本に違和感がある、て上手で二人で話してるシーンで、確かにあるんだよなて。
記憶喪失した子が人の話に出てくる中むかしの自分像から1つの自分を選ぼうとするけど、結局記憶を失った自分が新しく自分を作っていく、その姿はみんなに受け入れられる。めちゃくちゃ良いストーリーだな。堂島が常にいいやつメーター振り切れてる。
人間には人間関係の中でいろんな顔があることを肯定してて、それは燈子の同級生向ける完璧な自分も、侑に頼る自分も、侑にも出せない不安定な自分も、どれも良いんだよ、て受け入れてくれている、てことかなと。
あと新しい自分をここから作っていく、ていうのが脚本を変えるに至る侑とか佐伯さんの感情にある「自分も過ごした時間が燈子にとって意味のないものであって欲しくない」にリンクしてて、めちゃくちゃ良い劇中劇だったね。
脚本の同級生ちゃんは天才かな?早く新人賞とりなよ。

脚本を変えよう、と言い出した侑の勇気が本当にかっこいいよね。キャラクターの熱さはここに繋がってたんや。

めっちゃ良いラストだった……。
やーーー書き切らないわ。

やがて君になる、て侑が燈子に向けた言葉なんだろうな。「君は自分自身になるんだよ」て。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?