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桃にまつわる日本神話と桃太郎の元ネタ伝承について

はいどうも!鍼灸院Harista31 院長 齋藤です。
皆さん、桃はお好きですか?

何を突然と思われた方もいらっしゃるかと思います(笑)
まじめな話、桃には古代の日本では不老長寿の果物であったり日本神話では黄泉の国から逃げ帰る伊邪那美命を救って神様の名前をもらったり、または皆さんもご存知のおとぎ話、〈桃太郎〉にも関連したりと日本ではちょー愛されている果物の〈桃〉今回はこの桃についてのお話です。

ももといえば先日ご結婚を発表された
ももクロ.....

取り乱しました.....
ももと言えば、桃の産地、桃太郎発祥の地の一説としても岡山県が有名ですよね!!
「日本のももの元祖」ともいわれる白桃(はくとう)を岡山県の大久保重五郎氏が発見したものによると農林水産省のHPにも記載があります。
現在は山梨県や福島県でも盛んに生産されているそうです。


以前は観賞用として栽培されていたが明治時代以降に食用として広く日本でも生産されるようになったそうですが、弥生時代の遺跡から種が出てきたり、古事記、日本書記などにも登場し日本の文化には古くから根付いていた果物である事がわかる。

桃の起源は中国にあり、2500年前の中国では既に栽培され桃(蟠桃)を食べた仙人の里を統治する女性(西王母)が不老不死となった説話があることから桃は「仙果」とも呼ばれ、花や葉、枝にも邪気をはらう効果があると考えられてきました。
日本でも鬼を恐れさせるといわれ、これが昔話「ももたろう」につながったという説もあります。
また、西王母は3/3が誕生日ということもあり
後に桃の節句(桃の花の開花時期)ひな祭りともされたといいます。
※ちなみに西王母が食べた〈蟠桃〉という平べったい桃は最遊記にも登場するそう。

蟠桃と西王母(モンスト版)

さてさて、それでは日本神話ではどのような登場をするのか見てみましょう!!
日本神話では冒頭の伊邪那岐命、伊邪那美命の国産み伝説〜黄泉の国の悲劇の件で出てくるのでした。
ここではだいぶ端折って話します。
伊邪那岐命、伊邪那美命の二柱の神により沢山の神々が産まれ、日本の島々も誕生しました。
そんな中で伊邪那美命は火の神(火之迦具土神)を産んだ事により大火傷をおい黄泉の国に旅立ってしまいました。

志々雄真実の秘剣カグツチ

愛する妻を失った伊邪那岐命は黄泉の国に向かいます。
黄泉の国に着いた頃、伊邪那美命はすでに黄泉の国の物を食してしまい、元には戻れない状況でした。それでも戻って来て欲しいと懇願する伊邪那岐命に「黄泉の国の神々に相談するので待っていて欲しい」と黄泉の国の御殿の前で
伊邪那岐命を待たせて伊邪那美命は御殿の中に入って行きました。
しかし、ずいぶんと待ち、待ちきれなくなった伊邪那岐命は御殿の奥に入って行ってしまいました。
そこで身体中からウジが湧き変わり果てた姿の伊邪那美命を目撃してしまいます。
驚いた伊邪那岐命は逃げ出してしまいます。
醜い姿を見られ恥をかかされたと思い伊邪那美命は激怒し、伊邪那岐命を醜女と雷神の軍を率いて追いかけます。
やっとの思いで黄泉の国と現世の境にある〈黄泉比良坂〉まで逃げてきた所で追いかけてきた雷神に向かい、そこに生えていた桃を3つ手に取り伊邪那岐命が投げつけました。
桃を投げつけられた雷神、黄泉の国の軍勢はそれ以上追って来なくなり、伊邪那岐命は助かる事が出来ました。

島根県松江市に実際にある黄泉比良坂。
え?!ここがあの世とこの世の境?!

伊邪那岐命は自分を助けてくれた〈桃〉に対して現世の民達も悪い物から守ってくれるようにと〈意富加牟豆美/おおかむづみ〉という大いなる神の実という意味を持つ神名を与えました。
この事から桃が〈魔除け〉の役割を持つ事になりました。
古代日本では桃も魔除けの神様なんですね。

さて、では桃太郎はいったい何だったのでしょうか?
桃太郎は諸説あるのでどこ発祥の地かは未だ確定する物では無いのですが、作中に登場する〈吉備団子〉の吉備という地域の伝承から岡山県が有力視されます。
※桃太郎神社は愛知県、大月桃太郎伝説は山梨県と他にも発祥の候補地は沢山ありますがここでは岡山県に沿って話を進めます。

桃太郎と言えば筆者世代はコチラ。
筆者はこれで地理、社会学を学んだ。

桃太郎伝説を語るにはまずは岡山県南部、吉備地方に伝わる大鬼と呼ばれた〈温羅/うら〉をご紹介致します。
〈温羅〉は1700年前の岡山県(吉備国)に朝鮮半島の百済から来たとされています(渡来人説)4mの長身で髪や髭は赤かったと言われます。凶悪な性格で吉備国の婦女子や金品を強奪していたとされ、山の上に〈鬼ノ城〉と呼ばれる居城を構えていたとされます。

鬼ヶ島のモデル鬼ノ城、ちゃんとありました(笑)
日本100名城にもランクイン‼︎


この状況をよしとしない朝廷が討伐のための使い〈イセサリヒコノミコト〉を送ります。
イセサリヒコノミコトは弓で応戦、巨大な岩を投げつけて温羅は跳ね除けますが、2本同時に矢を放ったイセサリヒコノミコトの矢が温羅の左目に命中し、大量に流れ出た血で川が出来、それが血吸川と呼ばれるようになりました。
傷を負った温羅は〈雉〉に変化して逃げます。
しかし、なんとイセサリヒコノミコトも神通力で鷹に変化して追いかけます!!※ガッチャマンか!!追いつかれると思った温羅は今度は鯉に姿を変え川に逃げ込みます。イセサリヒコノミコトも神通力で水鳥に変化して鯉になった温羅をすくい、捉えてしまいました。
桃→デカイ鬼→飛ぶ→鯉
ん〜....はて、、、なんか聞いた事あるような

現代で最も有名な鬼

温羅を討伐したイセサリヒコノミコトは吉備国を守った事から〈吉備津彦命〉と呼ばれました。
吉備津彦命は温羅の首をはねて、さらし首にしましたが温羅の首は鋭い眼光で睨みつけ晒し首になってもなお、唸り声で吠えつづけました。
住民からの声もあり、家臣の〈犬飼武/イヌカイタケル〉に命じて犬に首を食わせ、髑髏を地中深くに埋めました。
それでもなお吠えつづけたため吉備津彦命は吉備津神社にある釜殿(かなえどの)と言う🏠にある竈の下に温羅の髑髏を埋めました。
それでもなお温羅の唸り声は吠え止ま無かった。
首をはねられてもなお暴れるラスボス感が黒髭エドワードティーチみたい(笑)

海軍とのラスト。撃たれても斬られてもなかなか
倒れなかったティーチ。

ある晩、吉備津彦命の夢枕に温羅がたち、釜殿に供物を炊き、ちゃんと祀るようにと告げたそうです。
目が覚めた吉備津彦命はすぐに実行して祀る事にした後に唸り声は止んだと伝承があります。
いつの世も亡くなった方を祀るのは大切です。

絵本も販売されてました。

ちなみに、吉備津神社では釜を炊き鳴り響く音で吉凶を占う〈鳴釜神事〉というものがあるそうです。また温羅にまつわる、うらじゃ祭りというのもあるそうです。
さて、ここからはこのお話のラスト。
温羅にまつわる地域の歴史的なお話。
岡山県のある吉備国ではその昔、朝鮮半島からの渡来人によって製鉄の技術が発展していたそうです。
この地域では鉄のもとになる砂鉄がよく採れ、血吸川が赤かったのはこの川に鉄分が多く赤く見える現象だったと考察されています。
また、製鉄技術を持った吉備国は大和朝廷からすれば強大な力を持った〈敵〉として討伐し、日本の平定を目指したとも考えられます。
また、ジブリにおける製鉄を持っていた地域と言えば〈もののけ姫〉の〈たたらば〉が有名ですよね。あれも製鉄の過程で片目がやられたり、ハンセン病患者さんの描写ではないか?と諸説ありますね。
その上でたたらばも山の中の要塞であった描写も否めない点です。

山の中の湖に浮かぶ要塞のようなたたらば

歴史上、日本においても日本という国が統一されていく過程では朝廷側に古代日本における地域の豪族が蔑視され〈鬼〉や〈妖怪〉と呼ばれたという考察がされていたりもしますが、その証拠に鬼や妖怪と呼ばれる対象がご当地では信仰の対象だったりもします。
ここで言えば〈温羅〉が岡山県ではうら様と言われていたり、岐阜県では朝廷につかわされた難波猫武振熊に両面宿儺が討伐されたのに地元では宿儺様と言われ祀られいて岐阜の飛騨を守っていたと言う伝承もある。

有名な両面宿儺と飛騨の宿儺さま

これにとどまらず、神武天皇における神武東征や天照大神の国譲りにおいても神話上は伝説的な描かれ方をしていても、真実は朝廷側からみた単なる戦による勝利した側が神話を作るためにカッコつけて話を書いて伝承してきたとも取れる。

現世ですら、イラク戦争は大量破壊兵器を持つとされて脅威になるとアメリカ軍がイラクを制圧したが、大量破壊兵器などは見つからず、あの戦争は間違いだったとアメリカが認めるものの、〈間違い〉を認めたく無い従属日本は未だ間違いとは認めずに、戦争に対しての歴史を正しく伝えていない側面がある。
実のところ、日本政府はそういった都合の悪い事は昔の政治をしていた先輩のメンツでも守るかの如く歴史の訂正は極端にしない体質を持つ。※あくまで筆者の感想です。疑問に感じた方はご自身で調べてください。

戦は勝者側が都合よく書き換える。
神話においては特にそうなのかもしれません。
伝承される、鬼やヒーローにもどっち目線から描かれているのかによって違った味わい深さが見えてくるかもしれませんね。

次回以降は、桃太郎から紐解く陰陽思想や五行思想をお伝えしたいと思います。

あ、桃については糖尿病予防にもなるので皆さん、時々食べたほうがイイですよ!

それではまた。

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