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お茶に興味ゼロだったお茶屋アトツギが、お茶にハマった経緯。

こんにちは。播磨屋茶舗の赤松です。

今日は、私がどんな経緯でお茶にハマっていったのかについてお話します。
その経験が、9月1日にリニューアルオープンする本店のコンセプトにも深く関わっています。

きっかけは、茶業青年団

私は家業がお茶屋さんですが、2019年に入社するまでほとんどお茶のことを知りませんでしたし、興味もありませんでした。

しかし、きちんと勉強しないと今後の商品開発や接客に支障をきたすという危機感から、2022年に大阪茶業青年団に加入しました。そこで、茶審査技術競技大会に向けた練習を重ねるごとにお茶にハマっていきました。

茶業青年団
茶審査技術競技大会を中心に結束された、各地区団の茶業者の集まり。
関西には大阪や京都、滋賀、三重などの支部があります。
茶審査技術競技大会は年に一度開催され、合計100名以上で行われます。競技は、茶期・品種・産地・茶歌舞伎(利き茶)の4種目を審査し実施され、優勝者には農林水産大臣賞が授与されたり、得点数によって段位の授与があります。最高位は十段で全国に15名ほど。

何にハマったか

どんな側面にハマったかというと、「五感をフル活用しながらも、論理的な思考プロセスを踏んでお茶を鑑定していくこと」です。

週に一度、大阪団で勉強会が行われるのですが、鑑定のプロセス、考え方を先輩団員から体系的に解説してもらった時は、目から鱗でした。

たとえば、産地を当てる審査の場合。
特徴が良く似た3種類のお茶があるのですが、そのプロセスを説明します。
朝宮茶(滋賀)、宇治(京都)、大和(奈良)の3つのお茶は、地域が近いこともあり、パッと見た感じは良く似ています。
ではどのように鑑定するかというと、まずは宇治茶を当てに行きます。なぜなら最も特徴があるからです。宇治茶は「かぶせ香」という、抹茶や玉露と似た香りがします。
ここで大切なことはまず、宇治茶の特徴はかぶせ香(みる芽香という良いお茶特有の香りもします)がする、という事を知っていることです。そして次に大切なことは、かぶせ香を感知できる、ということです。かぶせ香がすると知っていても、目の前のお茶がかぶせ香が強いか弱いかを感知できないと選ぶことが出来ません。
そして3種類のお茶から、最もかぶせ香がするものを宇治茶の候補にします。その時に、外観も見ておきます。かぶせ香がするということは、お茶の外観は青みが強い色になります。また、京都は製造技術が非常に優れているため芽ぞろい(ぱっと見た時の葉の揃いかた。大小バラバラでないか、細かいものと粗いものが混在していないかなど)もきれいです。
香りだけ、もしくは外観だけではなかなか判断できませんが、セットでみることで確信が持てます。
次は、朝宮茶を当てに行きます。朝宮茶は山間で作られるため、かぶせ香に近い香りがしたり、芽ぞろいがよかったり、黄みがかっていない色になります。朝宮茶もかなり特徴的な香りがするようなので、その香りが感知できる人は、香りを軸に探します。
ここがお茶の奥深いところで、お茶の香りはとてつもない数の成分が複合してできており、人工的に化学物質だけで作ろうと思っても難しいそうです。それくらい繊細なので、特徴ある香りを感知できる人もいれば、分からない人もいます。朝宮茶の場合、香水のような香りと表現する人もいます。私自身、その香りが分かる日もあれば分からない日もあります。訓練していろんなお茶の香りを感知し、頭の中に地図を作り上げる一方で、香りが取れなければ外観で特徴をつかみます。

このようにお茶の鑑定は、自分の五感をフル活用してヒントを得る推理ゲームの側面があります。それがとてもおもしろいんです。生産地の知識や品種の知識などが加わるとさらに推理の質があがります。

このおもしろさにハマっていきました。

伝えたい価値

そこで、今回リニューアルオープンするお店で伝えたいことは何かというと「お茶の違いを理解する過程がとても楽しい!」ということです。

お茶にまったく興味のなかった私ですら毎週3時間かけて大阪に勉強しにいくくらいのおもしろいお茶ですが、一般的には味にフォーカスされていてそのおもしろさを伝えている人はあまりいないと思います。
おいしい、ということはもちろんとても価値のあることですし大切にするべき基本ですが、おいしい飲み物は世の中にあふれています。そんな中で、私がお茶屋としていま何を伝えたいかと思ったら、この推理の楽しさでした。

とても繊細で難解で、でも業界が成熟しているからこそできる面白さだと思います。
この難解さを理解できるように訓練を続けたいですし、お茶について知らない人たちに出来る限り簡単に分かりやすく、そしておもしろく届けたいと思っています。

コンセプト

「お茶の違いを理解する過程がとても楽しい!」ということを、昔のわたしのように、お茶についての知識はない方にこそ、届けられるお店にしたいと思っています。

だからこそ「お茶屋さん」という雰囲気を前面に出すのではなく、お菓子や雑貨も扱いカジュアルに買い物に来てもらいやすいお店にしたいと思います。
ティーバッグの商品もありますし、「本格的なお茶について知ろう!」と思って来るよりも、「なんとなくお店に行くうちにちょっとずつお茶に興味が湧いてきた」という状態が理想だなと思っています。

播磨屋茶舗は全国各地のお茶を揃えられることで、比較してお茶の違いを感じてもらいやすいです。試飲はもちろん、お茶当てゲームのようなサービスもできるように準備しています。

新店舗情報

このように、リニューアル後のお店では、お茶の違いを理解する過程を楽しんでいただけるように挑戦していきたいと思います。

播磨屋茶舗 本店(2023年9月1日オープン)
住所:〒670-0061 兵庫県姫路市西今宿1-12-7
電話:079-298-0007
アクセス:JR西日本 姫新線 播磨高岡駅より徒歩5分
営業時間:9時~16時
定休日:土・日・祝日
URL:https://harima-ya.jp/
SNS:https://www.instagram.com/harimayachaho/

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