病を未然に防ぐために

東洋医学には「虚実」という考え方があります。

 健康な人が徐々に病気になると「正気=病に抵抗する力」と「邪気=病を起こすもの」が戦います。
 体内に「正気」が「邪気」より多ければ、その人は「実」の状態で病気は大事に至らず元気に。
 一方、「正気」より「邪気」が多ければ、その人は「虚」の状態で病気の回復は遅くなります。
 健康は人には「邪気」の勢いを殺して治療すれば病気は回復します。

 ところが「正気」が健康人より少ない人が現代人には多いようです。
 例えば、疲れがとれにくい、食べたら胃もたれしやすい、ぐっすり眠れない、など“病気とはいえないが何となく不調”な方が多い。このような方は体質的に「虚」の状態で、他の人が元気なのに季節の変わり目に風邪を引いたりする人などが、これに該当します。
 虚証になる「正気」が衰える原因は人によって様々ですが、多分にライフスタイルが影響していると思われます。

 東洋医学の治療では「虚証」に対して気血などを補う「補法」の治療を施します。一方で健康な人が「邪気」の勢いに負けて病気になった人には「邪気」を体から追い出す「瀉法」を行います。
 つまり、体に過剰なものがあれば排泄し(瀉法)、足りないものを補い(補法)、身体内部のバランスをとって病を癒し、健康を保っていく、というのが東洋医学の考え方。
 この考え方は、気功法にも適用されていて、動功は瀉法で静功は補法とされています。
 
 動功では動作をもって邪気などの体内に溜まった不要な気を掃除して、内気の流れを活発にしていく。
 静功は外部からの気のエネルギーを取り込み、体内を循環させて心身を養っていく。
 動功、静功が陰陽の関係となり、相互に補完し合いながら養生という目的をはたしていくのです。

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