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パンチDEデート

おいでませ。玻璃です。

一目会ったその日から
恋の花咲くこともある
見知らぬあなたと 見知らぬあなたに
デートを取り持つ
パンチDEデート!!

昭和世代のあなたなら
「懐かしぃ~」と思わず叫んだかもしれない。

桂三枝さんと西川きよしさんが交互に言うこのセリフで始まる番組は、
子供の頃から放送されていた視聴者参加型の恋愛バラエティ『パンチDEデート』。

男女の登場から途中まではカーテン越しに仕切られていて、男性側にきよしさん、女性側に三枝さんが介添え人として付く。
それぞれに仕事や趣味、好きな異性のタイプをインタビューし、姿の見えない相手のイメージを膨らませていく。

後半に入ると「ごた〜いめ〜ん!」の掛け声でカーテンが上がり、対面後少しの間会話をする。
そしてラストは、それぞれスイッチを持って目を閉じる。
交際したい場合はスイッチ・オン。そうでないのならノー・タッチ。
その結果は、背後の大きなハート型の電光掲示板の点灯で判明する。
ハート全体が点灯すればお見合いは成功ということになる。

さて説明が長くなったが…。
私たちが高校生の頃、頻繁に行われていたのが友人の紹介による交際だ。
高校生ともなれば、とりあえず彼氏彼女が欲しい。
もちろん本気で好きな人と交際する方がいいに決まっている。
でもこの頃は、とりあえず誰かの彼氏、彼女になりたかった子が多かった。

私はと言えば、入学して「いいな」と思う男子がいなかったわけではない。
でもどう考えても相手は脈なしだ。

あんなデートしたいな。
毎日電話したりして…ふふふ。
という妄想にニャニヤしたものだ。

そんな土曜日の帰りの列車。
車両と車両の間を歩いて移動している私の目に、飛び込んできた水産高校の男子の姿が!!
丁度、車両終わりの踊り場のようなスペースで立って外を眺めている。
水産高校の特徴的な海軍のような青い制服は短ランボンタン。
でも、品がないわけではなくスッキリと着こなしている。
ポケットに両手を差し込んで壁にもたれかかり、過ぎていく窓の景色を目で追っている。

いつもの通学では見かけたことのない生徒だった。
おそらく彼はひとつ上の2年生だろう。
なぜ、彼は私の目をくぎ付けにしたのか?
当時大好きだったチェッカーズの尚之にそっくりだったからだ。

「え?マジ?誰?」

私は興奮気味で、友人のゆみちゃんの肩を揺すった。
ゆみちゃんは小6の時に「レッタン」と呼ばれていたあのゆみちゃんだ。

しばらく物陰からジーっと眺めていると、見たことのある長身の水産高校の学生が「尚之」に近づいて行った。

あれ?同じクラスのマサエの彼氏のフトシさんじゃない?

私は帰宅するなり、マサエに電話をした。
マサエの彼氏のフトシさんは萩市沖に浮かぶ大島の人。
普段は高校近くの寮で暮らしている。
私が見たその「尚之」も大島の人らしく、週末に島に帰るときだけ列車に乗るのだ。どうりで初見のはずだ。

彼の名前はヒロシくん。
すぐにマサエがフトシさんに聞いてくれて、今彼女はいないということが分かった。

フトシさんとマサエが三枝&きよしになって、パンチDEデートだ。
電光掲示板はハートを形作るのだろうか?
この続きはまた来週。

ではまたお会いしましょう。


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