会社生活とりあえず終了
会社で働く日々は精神が消耗する。朝から満員電車に身を投じ、普段家族や友人であってもそこまで密着しないだろうとつっこみたくなるほどに見知らぬ赤の他人と身体を密着させ、時に香水や香料という名の人工臭や体臭などの汚臭を伴う過密空間の中で息を凝らし続けなければならない。その間にも人間の波がどっと去ってはどっと押し寄せを繰り返し、その度に誰かの凶器のような鞄やら持ち物やらが自分の脇腹をぐいぐい押し込み痛みのあまり顔を般若のようにしかめながら、身体をくねくねさせてなんとか凶器を自らの身体から遠ざけ耐え忍ぶ。やっとのことで目的の駅に着きさあ降りようと一歩ドアから足を踏み出せば後ろから押し合いへし合いものすごい数のひとの波が一気にホームになだれ込む。ほんの数秒でもぼーっとしようものならば前後左右斜めからぬりかべのような人びとに体当たりされ、しまいにはケガだってしかねない。ものすごい集中力で周りに神経を張り巡らせつつホームから階段を下りて改札に向かう。距離にして70メートル。その間、前から後ろから横から斜めから四方八方からものすごい人の数が自分に向かって突進してくる。ぶつからなかったらラッキー。足を踏んづけられて靴が脱げたり誰かの肩や鞄がぶつかって鈍痛に耐えることなどもはや日常茶飯事。しかもこの方々、十中八九他人にぶつかっても謝らない。そう、それが東京文化。ある外国人がつぶやいた。日本人は親切で礼儀正しいと聞いたが嘘ではないか、人にぶつかっても誰も謝らない。人間が多すぎる空間ではもはや人は人でなくなるのだ。人々はただのロボットと化し、ただひたすら目的地(会社)に向かうことだけを考え、周りのことなど見えなくなる。ぶつかるたびに謝っていたら定刻までに会社という名の目的地につけなくなるではないか!ロボ化した人間たちは何よりも会社にいくことが大事。暴風だろうが洪水だろうが大雪だろうが電車が動く限り(動かなくても)何かに憑りつかれたようにひたすら会社に向かうのだ。1分足りとて遅れてはならぬ。そう説明したらわかってもらえるだろうか、東京サラリー(ウー)マンの哀しき現実を。
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