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その3−1 願書が仮説、面接と考査が検証(1.10版)

頂きましたご意見より文言など見直し1.10版として公開致しました。


ご家庭の思いを伝える難しさ

 先生方にご理解いただきたいご家庭の思いを思い返してください。
 
 前章までの取り組みとして、学園全体の考えを時系列かつ体系的に理解した上で、
・お子様の将来までも見据え、学園全体の考えと同じ方向を目指している
・日々の遊び日記からお子様の成長や変化を観察し、入園後のお子様の笑顔を確信している

 ということであり、情報量として多いだけではなく、それぞれ複雑な関係性があるのです。
 
 一方、受け手である先生方の立場を考えてみてください。
 普段は規則性がなく、予測が難しいお子様たちの遊びと向き合い、そこからお子様の変化や成長を敏感に感じ取り、保育士目線の評価を踏まえて臨場感をもって保護者にお伝えする、こういったことに日々尽力されています。定型的な説明や堅苦しい会話とは正反対の日常で活躍されているのです。
 
 また、そのような先生方にご家庭と幼稚園の「相思相愛な関係」をお伝えするオフィシャルな手段は、「願書」「面接」「考査」の3つしかなく、例えば願書では志望理由が200字ほど、面接時間は10分ほどと、制約が大きいのです。
 
 ですので、先生方の立場を考えながらこの制約を乗り切るには、「願書」「面接」「考査」それぞれの特徴を踏まえ、段階的な目的を定めて伝える必要があるのです。
 
 では最初にそれぞれの特徴を見ていきましょう。
 
・願書
 先生方へのファーストコンタクトです。ご両親、お子様の表情や雰囲気はわからず、幼稚園が提示した志望理由やお子様の性質など共通した質問に、すべてのご家庭が限られた文字数で回答します。
 
・面接
 先生方は事前に願書の記載内容を(おおむね)把握されています。先生方とご家族、お子様との初めての対面で、顔を突き合わせて先生方が気にされている点を限られた時間で対話します。
 
・考査
 主役はお子様です。内容はお子様の生活のほとんどを占めるは遊びの延長であり、考査の場は、遊具や配置など意図的に環境が整備されています。先生方は子供の遊びを観察します。
 
 これれの特徴を踏まえて、願書で相思相愛な関係を想像したいただき、面接でご家族に、考査でお子様に対してそれを実感していただくのです。

 そのために、願書では相思相愛な関係の全体像として簡潔なストーリーを、面接、考査では、教育方針などの内容を具体例を交えて伝えれば良いのです。

「願書」でご家族の思いを想像してもらう

 「願書」で書ける内容は、志望理由や教育方針、お子様の性質など限られています。また、先生方は、同じような内容の断片的な作文を、それも膨大な数を読まれます。この作業、日常のお仕事との性質の違いもあり、先生方は半ば辟易(へきえき)しているのではないでしょうか。ですから、「願書」では指定の記載範囲内で、ご家族の日常が想像できる文章にすることが必要になります。そのためには「願書」では、ストーリーを伝えます。先生方に今後の対面の場である面接や考査のコミュニケーションを想像してもらうのです。 

 ストーリーとは、前述の図で示した、ご入園前の教育方針などから将来像への展開に加えて、このように考えるに至ったご両親の生い立ちやご兄弟の成長、相思相愛と判断した根拠を補完し、それぞれの関係性を整理、簡略化した、いわばお子様の現時点の自叙伝です。
 これを願書に落とし込むことで、例えばお子様の性質やご家庭の教育方針など、どの要素を切り出してもそれはストーリーの一部となり、それぞれ因果関係で結ばれてます。ここに遊び日記などから切り出した逸話を交えることで、ご家族の思いをより鮮明に想像していただけるのです。

「面接」でご家族の思いを実感してもらう

 「願書」で幼稚園とご家族のお考えの親和性やお子様の良さを想像してもらっても、それは空想でしかなく、評価ではありません。初めての対面の機会であり、先生方が空想を確信に変える場が「面接」です。
 
 では、何を伝えれば良いのでしょうか。
 
 答えはご想像通り、これまでにご夫婦で議論されてきたご家庭独自のお考えそのもの、図の中段部分です。
 先生方はすでに「願書」でストーリーを把握されており、知りたいことはより具体的な内容です。ご家族にとっても、ご家族独自の思いであり、先生方とお顔を突き合わせた場で伝えたいことでしょう。具体的な対話内容の準備の仕方は次章でご説明します。
 
 また今後長いお付き合いが続く先生方との貴重な対話の機会です。時間は限られますが、気になることがあれば、対話の文脈の中から聞いてください。相思相愛と確信できているのです。ご両親が気になさることは、先生方にとっても入園前に聞きたかったことにほかなりません。

「考査」でお子様の笑顔を見てもらう

 最後に「考査」に関して、これは幼稚園により実技や課題の達成度を求めることもありますが、できたできないはその日の体調やご機嫌によって変わってきます
 それよりも「願書」で伝えたような、お子様が好きな遊びを楽しんでいるところを見てもらいましょう。先生方はご両親が気が付かなかったお子様の良さを見出し、お子様も新たな楽しみを発見するかもしれません。これについても次章以降で詳しくご説明いたします。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
次章では、より実践的な方法論をとして、願書でご家庭の思いをお伝えする方法をご説明致します。

 「親子で楽しむ お受験準備」全体にご興味を持っていただけましたら、
まずは目次をご参照ください。
その0 ご両親がまずやるべきこと
その1 相思相愛の幼稚園の探し方
その2 幼稚園の「評価視点」
その3 ご両親の準備 〜願書、面接、考査は三位一体〜
その4 当日の過ごし方

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