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<お受験コラム>そもそもお受験とは

これから幼稚園受験に臨む方、臨もうか迷っている方に、お受験の心得をお伝えします。「お受験準備編」との重複もありますが、エッセンスをまとめていますので、概要を理解する上で参考になる内容です。


ご家族にとってのお受験

お子様自身の認識は?

  ご両親が「この子の将来のために名門幼稚園に入れたい」と決意したとしても、当のお子様はその意味を理解することができません。まだ3歳、4歳の時期ですから、過去と未来を正しく区別して認知することができない段階です。したがって、どんなにご両親が目線を合わせて説明したとしても、お子様に「よし、がんばろう」という意識を持ってもらうことは不可能です。
 
 最初にご両親が意識しなければならないのは、「子供は受験の意義や意味をまったく理解しない」という事実を前提にすることです。

お受験準備を楽しい時間に

 昨今は中学校受験だけではなく、小学校受験までも加熱しており、直近の受験者数の伸び率は、中学校受験を凌ぎます。このような受験の低年齢化の流れは当然幼稚園受験へも向かっており、またこの「低年齢化」は、お子様への過度な指導ご両親の精神的な負担など、ネガティブな面を想像させます。

 しかし、園児を預かる側の幼稚園の立場を想像してみてください。園児の年齢不相応な仕上がりやご両親の疲弊した姿などネガティブな方向性は決して歓迎していません。これは幼稚園の「評価視点」を理解すれば明確です。先生方はむしろ、遊びの延長として考査を楽しむお子様の笑顔や、お子様の成長を中心に話し合ったご家族の考えを期待しているのです。

幼稚園の「評価視点」はどこにあるか

お教室では短所ばかりが目に入る

 お受験準備としてお受験教室に通われている方も多いと思います。お受験の難所と言われ、ご家族だけでは対応が難しい「母子分離」などの指導の代行や、各幼稚園が好むお子様像などの知見など、ブラックボックス化している幼稚園受験を前にしたお母さま、お父さまにとっては安心を提供してくれます。
 
 気がかりなのは、お受験教室でのお子様の様子を見るうちに、ご両親が「あの子はできるのに、うちの子はできない」と、お子様の欠点を感じてしまうことです。
 
 子供たちは千差万別で、得意不得意はさまざまです。すぐにほかの子と仲良くなれる子もいれば、引っ込み思案で孤立してしまう子もいます。平均台を1人で渡れる子もいれば、親が手を引いても渡ろうとしない子もいます。でも、お子様がうまくできないからといって、叱ったり、訓練したり、できる振りをさせることはやめましょう。
 
 お子様にとってお受験は遊びの延長であり、楽しい時間です。欠点を見つけるよりも、楽しいと感じること、興味を感じていることを見つけ、それを伸ばしてあげる視点を忘れないでください。そして、これこそが幼稚園の先生の視点でもあるのです。

幼稚園の視点はお子様の良さを見つけること

 幼稚園での生活の中心は遊びです。ただし、そこでは保育の狙い(教育の意図)をふまえた環境が整備され、先生方の指導で園児たちは自発的に遊び、時間をかけて遊びを学びにつなげていきます。これがご家庭での遊びやお教室での指導との大きな違いです。
 幼稚園の先生方は、園児自ら遊びに取り組めるよう、遊びの入口として興味の変化を、それこそプロフェッショナルとして注意深く見ています。幼稚園の先生の視点を考えてみてください。それは決してお子様の欠点を探すことではありません。むしろ、お子様が楽しいと感じ、興味を感じることを見つけることなのです。
 
 お母さま、お父さまもお子様の日々の遊びからお子様の興味を感じとり、その変化にお気づきください。3〜4歳のお子様は、観察力が高まり遊びの内容に発展性を見せます。また知的な興味が高まり、今までにないような質問をし始めるのもこの時期です。お子様の変化に応え、遊びを縦に横に広げてください。

幼稚園の考えとご家庭の考えが同じベクトルを向いているか

 いわゆるお受験の対象となる幼稚園の多くは、設立から50〜100年以上の歴史があります。長い年月をかけて独自の教育理念を守り、その考え方をご家庭の理解のもと、保育で実践し、園児、先生、ご家族で歴史を築いてきました。また、ほとんどの幼稚園が、いわゆる延長保育などを実施しておらず、お子様は入園しても多くの時間をご家族と過ごします。つまり、幼稚園の伝統的な保育の実践にはご家族の協力が不可欠なのです。
 だからこそ先生方は、お子様だけではなく、これから園の歴史を共に築き、お子様の成長を共に支えるご家族の考えを知りたいのです。先生方は幼稚園や学園全体の理念および教育方針を深く理解されているだけではなく、保育の現場で実践しています。これを基軸として、各ご家庭の教育方針などから、お互いに協調していけるかということを評価するのです。 

お受験準備のステップ

 お受験は「ご縁」と言いますが、意図するところは、お互いの事を深く理解した上での出会いなのです。ですから、お受験に向けて、まずはお子様、ご家族の考え、幼稚園の考えのそれぞれの整理が必要です。

「遊び日記」をつけてお子様の変化/成長を知る

 「遊び日記」とは、お子様の遊びの内容や反応、ご両親の気付きなどの継続的な記録です。使い方などは次章で説明しますが、「遊び日記」を活用することで、お子様の興味の深まり出来ることの幅を客観的に知るだけでは無く、次の「遊び」の広がりにも繋がります。またご両親で読み返せば、お母様、お父様のお子様に対する視点や思いの違いも見えてきます。ぜひ「遊び日記」を習慣化してみてください。

価値観の変化を見据えお子様の将来を妄想する

 日々社会に接しているお母様、お父様の今までの仕事や地域活動などを通じて感じる価値観の変化に着目してください。「昔はなかったなぁ」と思えること、それ自体価値観の変化への気づきに繋がり、こういった気づきを積み重ねることで漠然と将来を予測します。次に、お子様の「こうなってほしい」という社会との関わり方を妄想してみてください。
 これは、お父様、お母様双方で行い、お互いの意見を尊重しながら「お子様の将来像」として文章に残しておきましょう。

我が家の教育方針を形にする

 お子様の変化を継続的に理解し、将来を妄想すれば、すでに教育方針の大枠は固まります。あとは躾を含めたお子様への接し方として心掛けていることを纏めてください。

幼稚園のお考えを構造的に理解する

 幼稚園のwebサイトを眺めてください。そして幼稚園の、出来れば学園全体のお考えを以下の概念で整理してみてください。
- 「理念」(目指していること)
- 「方針」(心掛けていること)
- 「実践」(保育/教育の特色)
 ここまで分析すれば、更に知りたい事が出てきますので、分析結果を手に幼稚園の説明会で個別に質問してみてください。

相思相愛の幼稚園を見つける

 お子様、ご家族の考えを整理すると、お子様の現在地と将来の目的地が繋がります。次に目的地に向け、ご両親の考えと幼稚園の考えが同じ方向であるかを検証してください。入園後のお子様の笑顔が想像出来、幼稚園の考えに具体に共感出来る点があり、学園卒業後のお子様の社会での活躍が想像出来れば、それが相思相愛な幼稚園なのです。


 相思相愛な幼稚園に出会ったら、ご家族の思いをストーリーに展開して、願書面接でそれぞれ幼稚園にお伝えすれば良いのです。

 
 お受験準備は、お子様への過度な指導やご両親の精神的負担などとは無縁の世界で、むしろ親子関係が深まるかけがえのない時間であるということがお分かり頂けたと思います。

 「親子で楽しむ お受験準備」全体にご興味を持っていただけましたら、
まずは目次をご参照ください。
その0 ご両親がまずやるべきこと
その1 相思相愛の幼稚園の探し方
その2 幼稚園の「評価視点」
その3 ご両親の準備 〜願書、面接、考査は三位一体〜
その4 当日の過ごし方

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