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下呂温泉で夫婦で過ごした時間と。

下呂温泉は900年台に発見され、紆余曲折しているものの歴史のある温泉。わたしは初めて下呂温泉に行った。

私は観光レポートを書くことが苦手だと思う。だからここでは下呂温泉の観光スポットとか、お店の紹介とかはない。今回の旅行での出来事と、この旅行で思ったことを書いてみようと思う。

下呂温泉までは車で向かった。だんだんと山あいを走っていく。雨量がいくつを超えたら道路は封鎖される看板を複数見た。左右を高い高い山がそびえる。遠くは見えない。透明で透き通るエメラルドグリーンのようなきれいな川が道沿いをぬって流れている。

だんだんと山に囲まれていくことが、ここから簡単には戻れない気がして、少し不安にさせた。山の緑はとてもきれいだけど、遠くの町が見渡せない状況がなんだか不安だった。

水がきれいなのだろう、酒造がぽつんとあった。
道路と川と並走するのは電車の線路。この山並みの景色を見ながらゆっくり電車に運ばれるのもいいだろうなと思った。普段使う電車とこの路線は一つの路線として繋がっているのだけれど、雨量が多くて遅延するのはこの山の中を走っているからだと分かった。山の中から都会のビルまで走る電車。車窓から見える景色は全然違うだろう。


どんどんと山合いを進み下呂温泉につく。
温泉街は川を中心に温泉宿が立ち並び、パッと開けているように感じる。もちろチェーン店などは見当たらない。山合いの高いところに旅館を建てているところも多い。きっと下呂温泉街を眺めることができていいだろう。

下呂温泉街はいたるところで温泉が湧いている。触ってみると熱い。夏のような暑い日に熱い温泉は、ただ熱いだけだった。駅前から温泉街に向かう道は、緑が多く軽井沢のようにも見えた。お土産屋さんがいくつか並ぶ。新緑の季節だったからか、そこまで道が観光客であふれて進めないという感じではなかった。それでも、宿を予約する時はほとんどが満室になっていたので、宿泊客はたくさんいるのだろう。ゆっくりお土産を見たり、散策をすることができたと思う。

大きな川に橋が架かっている。ここから左右に温泉街を眺めることができる。橋の始まりの下に温泉がある。川べりに温泉。冷たい水のとなりに暖かい温泉が湧いているなんて不思議だ。日差しが強いからか入っている人がいなかったけど、翌日には足湯をしている人であふれていた。

橋を渡ると、大きな川に合流する小さい川沿いを散策できる道や、足湯に入りながら食べられるプリン、飛騨のお土産、美濃焼の陶器のお皿やアクセサリー、さるぼぼがたくさん飾られた神社、飛騨牛コロッケや鶏肉のけいちゃんグルメなどのお店が点々と並んでいる。立ち寄り湯や足湯も至るところにあり、温泉を楽しむことができるだろう。
私たちが行ったときは、どこも足湯はいっぱいで入れそうになかった。今回は宿で温泉を楽しめるし、それはそれでいいかなと思った。いろいろな宿の温泉を楽しみたい人は、湯めぐり切手という手形を買うと、複数の立ち寄り湯をめぐることができる。温泉好きなら挑戦してみたいところ。

新緑の季節なのに、気温は夏のように熱かった。歩いて散策してやや疲れたなと感じたところで、宿にチェックイン。

外から建物全体を見ても客室が多いなと思っていたが、歴史のある宿で、ロビーも広くてお土産売り場もあった。
早速部屋に行くと和室で広々としていた。下呂温泉の川沿いの景色が見えて下呂温泉の景色を終日楽しめそうだ。

すこし休憩をしてからさっそく大浴場へと向かう。お風呂の床が畳になっていて肌触りがいい。温泉のお湯はぬるめだった。熱いとすぐにのぼせそうでゆっくり浸かっていられないけど、ここはゆっくりと入ることができた。お湯も透明で肌がつるつるに感じる。お風呂からも川沿いの景色を眺めることができる。ゆっくりぼーっとする時間を過ごした。


夕食までの時間は、二人で子どもの名前をあれこれ調べてしまった。旅行に来たのに!だからこそ?

夕食は半個室で食べることができた。半個室なだけで、周りの目線を機にせず落ち着いて食べられる。私は普段、隣の席の人のことや周囲の視線が気になってしまうことがあるので(じっと見てくる人はいないのだけれど)パーソナルスペースが近いお店の席などは躊躇する。半個室は夫婦二人だけでゆっくり食事を食べることができてよかった。ただ、オープンスペースの席だと、窓から夕暮れから夜景に変わっていく景色を眺めながら、夕食を食べていたので、そちらもいいなと思った。

夫は岐阜のお酒をおともに。お刺身や、岐阜の野菜や飛騨牛などをコースで楽しんだ。釜めしは炊き上がるまでに30分くらいあって、コースの後半にちょうどよく炊き上がる。1人お茶碗2杯分くらいあったので、最後の最後で一気にお腹が腹10分目になった。これ以上は食べられないというところで、別腹のデザートを食べて食事は終了。バイキングで好きなものを食べるものいいけれど、コース料理はゆっくり席に座って、次々に料理を楽しめるのがいい。ゆっくりと2人で料理を楽しむことができたと思う。どれもこれもおいしかった。料理のしおりは持ち帰って手帳に貼ることにする。


部屋に帰り、温泉といきたいところだったけど、お腹がいっぱい過ぎて動く気が起きない。2人で冷たい水を飲みながら、家族のことや子どものこと、個人的にこれからやりたいことなどをなんやかんや話した。まさか、そんな話をするなんて思ってもいなかったから、旅行に来てよかったと思った。夫はいつもやりたいことがないと言っているけれど、本当はやりたいことあったんだなと思った。やりたいことを実行できるように一緒に行動していきたいと思った。

その後は再び温泉を楽しんだ。熱すぎないお風呂だったのでゆっくり入りやすい。夜はあちこちの温泉宿やホテルの夜景を眺めた。


そういえば、下呂温泉で宿を探すときに、湯之島館という木造の建物の温泉も気になっていた。四万温泉の積善館や法師温泉の長寿館もそうだけど、木造の歴史ある建物はとても魅力的に感じる。その時に立てた建物が今も変わらずあり続けること、いい。

その、湯之島館は写真を見て、山の中にひっそりと建っているのだと思っていたのだけれど、駅から温泉街に向かって歩いているときに見えたのだ。
山の斜面の上に「湯之島館」とでっかい看板があるのを。その看板の下に確かに木造の建物が見えている。
橋の上から、「あれが湯之島館か!!!!」とワクワクした。
すごく山の上の方にあるけど行けるのだろうか。お風呂は入れなくても、ここまで来たし建物は見ておきたいと思った。明日行ってみよう。

宿に泊まると必ずと言っていいほど、寝ているときに、汗びっしょりになる。みんなはそんなことないのだろうか。浴衣で寝るのもなれないし、パジャマをもっていけば快適に寝られるのかな。


翌日も朝風呂を楽しみ、朝食バイキングで飛騨牛カレーやプリンを食べて、お土産を購入。時間にゆとりがあったので、もう1回お風呂に入ってから出発!温泉も十分に楽しめた。

2日目は、湯之島館とその近くにある温泉寺に行くことにした。道を調べてみるとそんなに遠くなかったけれど、観光地の道を車で行く必要があり、人がたくさんいるので運転は要注意。坂をグングンと登る。斜面も急で民家の間の道を走っていく。この日も暑かったので歩いていくときつかったと思う。

温泉寺を通り越して、先に一番てっぺんにあるだろう、湯之島館を観に行く。木造の建物、お庭などが素敵だ。お風呂は現代的な建物のように見えたけど、見ることができてよかった。いつか泊まってみたい。

その後は温泉寺へ。駐車場からはお寺まで歩いて下っていく。実は温泉街からは階段を上ると温泉寺に行くことができるようになっていた。私たちは上から来たので、温泉寺の入り口の門から、温泉街へと続く何百段の階段を見下ろした。温泉寺では朝ヨガをやっていたようだった。この辺はとても静かで、自然の鳥や風、森の音しかしない。集中してヨガができそうだ。
温泉寺から、下呂温泉の町並みを見下ろして、帰宅することに。

帰りは行きで寄らなかった道の駅によって帰ることにした。道の駅ではテラス席で川を眺めながらそばを食べられた。旅行に来たな~と感じた。新緑の緑と直線的な岩、川がきれいだった。
石碑があって、過去にここの川は氾濫して水害が起きたようだ。とても静かに見える川が氾濫し人の命を奪うなんて想像できないけれど、そんな自然と共存しているということ。だから、雨量が超えると道路が通行止めになったりするのだろうと思った。


ここに住んでいたら、四方が山。きれいな川。名古屋までも3時間くらいはかかるだろう。途中の道にチェーン店などはなかった。それでも所々で民家が並んでいて。ずいぶんと昔、はやっていただろう道沿いの飲食店は蔦がからまり荒廃している。日々どのように暮らしているのだろうかと興味がわいた。自然がいっぱいで身体にはよさそうだけれど、仕事や学校などはどこにいくのだろうかと気になった。

ありきたりとは言ってはいけないけど、チェーン店など量産的な街並みで暮らすことと、こんな自然にあふれた景色の中で暮らすことでは、感性も変わるだろうと思ってしまう。私は毎日、海が見えるところに住んでいた。海がそばにあることが当たり前だった。だから、こんなに高い山に囲まれていることに慣れていないのだと思う。だから行きの道で不安に感じたのかもしれない。そのまち、場所にしかない景色がどこにもある。


だから、また、旅行をしたい。

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