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笑窪

ハロー.この世界はどうして生きているだけで
悲しくも,嬉しくもなれるのに,
それだけでは足りないみたいに,
こんな風に,誰かを失ったりしても
それでもまだ続いていってしまうのだろう.
まるで何もない青いだけの空みたいに
私だけの痛みはジリジリと.
でも,きっと誰とも
分かち合えない血液みたいだ.

一緒にいるだけなんてつまらなくて,
一つになってしまえれば良いのにね,
なんて.海の底のヒトデがいうんだからね.
人間で良かったって心から思えて
もう二度と海には来ないでねってことなんだと
気付いて泣いた.
だってどれだけ握り締めても,
すり抜けていくの.
昨日も今日も,覚めても.

たいして覚えていないディナー.
キャンドルの灯が君の瞳みたいだなって思ったこと.
本当に熱いくせにすぐに消えてしまう.
いつか化石になりたいから
アスファルトにうめてもらうことはできないのかしら
と言ったら希死念慮だなんて言われたけど,
笑い返してしまったけど,
だって本当に明日死ぬかもしれないんだし,
もう死んでいるのかもしれないよ,その笑窪だって.

深く考えることをやめたんだ.
表面で,浅瀬で,パシャパシャはじける
水玉をながめていたいだけ
なのに,急かすみたいな大波で,
時計の針が追いかけてくるの.
だって君がはじめに拒んだのだから.
責任なんて言葉で痛みを繕っているだけ.
縫い合わせて,隠し通せそうもない,
こんな気分をみんなは絶望と呼んでいるの?
命に重さがあるとは思えないけど
たった数グラムだけ軽くなるらしい私の身体の,
一部だった,世界の終わりの少し手前
誰も支えてはくれない浅い呼吸.
支えようもない,知りようもない.
こうしてやっと,深海に戻れるのかもしれない.

ライトブルーのカーテンには隙間があって,
朝と夜を教えてくれるけど,
いつまでも白い世界だから
私は少し眠らせてもらおうと思うの.
握り返してくれない手のひらが少しだけ濡れて,
ああ雨なんだって思うことにして,
そこで終わり.

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