まっしろなおしまい

わたしとわたし以外
根こそぎ全部
ありとあらゆる全ての
まっしろなおしまい
あの日からここまで

叫べども叫べども
震わせる声帯すら持たずに
母なる沈黙に
ただ揺蕩う

溶けゆくからだに
せめてもの愛を
せめてもの祈りを乗せて

わたしへのではなく
わたしからの
あなたからのではなく
あなたへの
どうかどうか
波音と共に
また抱きしめて貰えますように
また微笑んでくれますように

不意の体温は
何度目かの秋
わたし以外のわたしの全て
攫われることなく
残った温度

あなたにもわたしにも
まっしろなおしまい
悔しいけれど
悲しいけれど
最期もあなたからの
最期こそわたしからの
まっしろなありがとう
まっしろなさよなら

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