
実技2【過去問私的解説&ヒント】第54回気象予報士試験
ここでは独学で実技試験を突破した晴野(はれの)が、令和2年8月の「第54回気象予報士試験の実技2」を「自分だったらこう解くよ!」という晴野流過去問解説をお伝えします。
問1(3)まで無料で公開しております。
出版社が出してる「過去問解説」とは違い、「晴野的過去問解答までの道のり」を私一人で書いており、誰かの監修は受けておりません。
私の考え方が必ずしも正解とは限らないことをご了承の上、ご利用ください。
もし第54回気象予報士試験の問題と解答を持っていなければ、まずこちらでダウンロードしてください。
↓ ↓ ↓
模範解答に関しても「気象予報士試験・問題と解答のダウンロード」で手に入ります。
問1:台風解析
問1(1)地上天気図を読み解く!
地上天気図によると、非常に強い台風が九州に接近中である。
台風の中心は、鹿児島の(①)およそ(②)kmの位置にあり、(③)ノットの速さで(④)へ進んでいる。
台風がこの速度を維持すれば、中心が鹿児島に最も近づくのは25日の(⑤)時頃とみられる。
地上天気図で、この台風の最も外側にある閉じた等圧線の値は(⑥)hPaであり、その半径は中心の南東側で約(⑦)海里である。
この台風により15m/s以上の強風が吹いている可能性のある領域は、中心の南東側より北西側で(⑧)。
沿海州北部の沿岸には、中心気圧が(⑨)hPaの高気圧があって北日本を覆い、一部は関東地方に張り出している。
関東地方から小笠原諸島の西にかけては南北に伸びる気圧の(⑩)となっており、それを北から南へたどっていくと、東よりの風が西寄りの風に変わるところがある。その部分を気圧の(⑪)といい、そこでの気圧は1010hPaより(⑫)。
私の解答は・・・
①南西
南南西というより、「南西」ですね。↓
模範解答も「南西」です。
鹿児島と台風の中心との距離・・・私の答えは②280(km)。
模範解答も「280(km)」で.
距離を求める方法って、「天気図上の測りたい距離」を「緯度10°の距離」と比較して求めますよね。
こんな風に↓
緯度10°は600海里(約1100km)
長さは緯度10°の15/60なので
600海里×15÷60 = 150海里=277.800km
※1海里=1.852km
1の位は四捨五入して良いから、②「280km」です。
模範解答も②「280」kmです!
③と④の答えは、書いてあるまんまなので
③「20」(ノット)の速さで④「北東」へ進んでいる。
模範解答も「③20」,「④北東」。
次の「台風が鹿児島に最接近する時間」は、台風の速度20ノットで距離150海里を割って求めます。
150 ÷ 20 = 7.5時間後
初期時刻は24日の9時だから、鹿児島に最接近するのは25日の4時半・・・だけどここは()時で答える問題だから四捨五入で25日の5時頃か?
というわけで⑤の答えは「5」。
模範解答も⑤「5」!
次はこの台風の一番外側にある閉じた等圧線は⑥「1000」hPa線。
台風の中心から、この1000hPaの等圧線(南東側)までの半径は
18/60 × 600海里 = 180海里・・・⑦
模範解答も「180」海里!
選択式問題:この台風により15m/s以上の強風が吹いている可能性のある領域は、中心の南東側より北西側で(⑧狭い)。
南東側より北西側の方が等圧線の幅も広いし、強風域は狭いと考えていいですね。
模範解答も「狭い」です。
沿海州北部の沿岸には、中心気圧が(⑨1020)hPaの高気圧があって北日本を覆い、一部は関東地方に張り出している。
模範解答も⑨「1020」hPaです!
次!
関東地方から小笠原諸島の西にかけては南北に伸びる気圧の(⑩尾根)となっており…
低気圧と低気圧(台風)との間は、相対的に気圧が高く「気圧の尾根」です。
模範解答も「⑩尾根」です!
次!
⑩の気圧の尾根を北から南へたどっていくと、東よりの風が西寄りの風に変わるところ・・・はい、ありますね。
この風向きが変わっているところは、高気圧ではあるんですが・・・
この部分を気圧の⑪「鞍部(あんぶ)」と言います。
高気圧のだけどやや気圧が下がっているところです。
(※気圧の鞍部とは?)
だから気圧は1010hPaより⑫「低い」です!
模範解答も⑪「鞍部」、⑫「低い」でした。
問1(2)850hPa風速と相当温位の特徴
使うのは
・図2
答えるのは
・「850hPa面の風速分布」風速が最大となる位置とその風速値(50字)
・「850hPa面の相当温位分布の特徴」(15字)
着目すべきは
・台風中心を取り巻く風速分布
「風速が最大となる位置」は→台風の中心のすぐ東側。
「最大風速」は→80ノット
「台風中心を取り巻く風速分布」は→台風の進行方向右側で風速が強くなっている。
これをまとめると、「台風の進行方向右側で風速が強く、中心のすぐ東側の位置で最大風速80ノットの風が予測されている。」(47字)
「相当温位の分布」は→「台風の中心ほど相当温位が高い。」(15字)
模範解答はこちら↓
・風速分布:台風の進行方向の右側で風速が強くなっており、中心のすぐ東で最も強い80ノットが予測されている。(47字)
・相当温位分布:中心部の相当温位が最も高い。(14字)
問1(3)高気圧のタイプまで見極める!
使うのは図1,3,4。
注目するのは「沿海州北部の沿岸」,「アムール川中流域」
答えるのは「2つの気圧の高い領域に関連する850hPa面の温度分布の共通点」。(30字)
注目する場所は
・図4
・三陸沿岸から関東地方にかけての温度分布
・沿海州の沿岸から朝鮮半島の東岸にかけての温度分布
なので等温線の共通点を見れば良いんですね。
二つの場所の温度分布の共通点は、等温線が南に凸状になっていることです。
というわけで「二つの気圧の高い領域で等温線が南に蛇行し、低い温度場となっている。」(33字)
模範解答は、「気圧の尾根付近は850hPa面の温度場の谷になっている。」(28字)
「温度場の谷」!この表現、覚えておきましょー!!!
答えるのは
・高気圧の850hPa面での中心を緯度と経度で(1°刻みで)
・地上から850hPa面までの高気圧中心の軸の傾き方向(8方位)
・高気圧中心の軸の傾きと850hPa面での温度場との関係(35字程度)
高気圧の850hPa面での中心は
緯度:53°,東経:125°
軸の傾きを見るために、高気圧の中心をトレーシングペーパーを使って比べます。
上の天気図より、地上高気圧の中心から850hPa面の高気圧の中心を結ぶ軸は、上層ほど「北東」に傾いている。
模範解答も「軸の傾きの方向:北東」です!
次、高気圧の軸の傾きの方向と850hPa面の温度分布との対応関係は、地上の高気圧中心側の気温が低く、850hPa面の高気圧中心側が気温が高いです。
というわけで、「高気圧の中心の軸は、地上から850hPa面に向かって高温側に傾いている。」(36字)
模範解答は「高気圧中心の軸は、地上から850hPa面にかけて高温側に傾いている。」(34字)
つまり、地上に2つの並んだ高気圧があるんだけど、850hPa面で見ると、片方には高気圧がないんですよ。
その理由は?ってことです。
地上に高気圧があるのに、850hPa面にないってことはこういうこと。↓
850hPa面に高気圧がない沿岸部の高気圧の方は、背が「低い」。
そして上層の空気が重くない分、「下層の空気は重い」=「下層の気温が低い」。
模範解答も、ア「低い」,イ「下層の気温が低い」!
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