
実技1【過去問私的解説&ヒント】第55回気象予報士試験
ここでは独学で実技試験を突破した晴野(はれの)が、令和3年1月の「第55回気象予報士試験の実技1」を「自分だったらこう解くよ!」という内容でお伝えします。
問1(3)まで無料で公開しております。
出版社が出してる「過去問解説」とは違い、「晴野的過去問解答までの道のり」を私一人で書いており、誰かの監修は受けておりません。
私の考え方が必ずしも正解とは限らないことをご了承の上、ご利用ください。

もし第55回気象予報士試験の問題と解答を持っていなければ、まずこちらでダウンロードしてください。
模範解答に関しても「気象予報士試験・問題と解答のダウンロード」で手に入ります。

問1:8日9時の天気図を理解する
【問題文】図1 は地上天気図,図2 は気象衛星水蒸気画像,図3 と図4 は高層天気図,図5 は オサン(韓国)の状態曲線と風の鉛直分布で,時刻はいずれも 8日 9 時である。これらを 用いて以下の問いに答えよ。
問1(1)地上天気図をよむ!
(1) 8日9時の日本付近の気象概況について述べた次の文章の空欄( ① )〜( ⑩ )に入る 適切な語句または数値を答えよ。ただし,①⑤5は 16 方位,③は 8方位,②⑥⑧は整数, ⑩は符号を付した数値を答え,④⑦⑨は下枠の中から最も適切な語句を 1 つ選んで答えよ。
8 日 9 時の地上天気図では,対馬海峡に中心気圧 1008hPa の前線を伴った発 達中の低気圧があり,20 ノットの速さで( ① )へ進んでいる。この低気圧の中 心から温暖前線が関東の南へのび,寒冷前線が南⻄諸島に沿って台湾の近くま でのびている。
北海道のはるか東に,中心気圧( ② )hPa の高気圧があり,北日本に張り出 している。東日本と北日本には高気圧縁辺の( ③ )風が吹きつけ,脊梁山脈の 風上側に気圧の( ④ )が形成されている。
鹿児島では,( ⑤ )の風が( ⑥ )ノットの強さで吹き,( ⑦ )による雨が降っ ている。前( ⑧ )時間における気圧変化傾向は( ⑨ ),気圧変化量は( ⑩ )hPa であった。

図1より、対馬海峡の低気圧の進行方向は「北東」か…16方位で答える問題だから、「東北東」かな?

①の模範解答は「東北東(北東)」。
あなたも正解だったでしょう!(о´∀`о)
次!
②北海道のはるか東にある高気圧は「1044hPa」!

模範解答も「1044」!
次!
③東日本と北日本には、高気圧縁辺の「南東(8方位で答える)」の風が吹いています。

模範解答は「南東(東)」!
・・・模範解答の方位(範囲)、ゆるいw
次!
④脊梁山脈の風上側に気圧の何ができているのか?
・尾根
・鞍部
・谷
の中から選んで答えます。
この部分は気圧が高い方から低い方へ食い込む形なので「尾根」ですね。

模範解答も「尾根」!
次!
地上観測記入形式の天気記号を読む問題です。
(▶︎地上観測記入形式(天気記号)の見方)
⑤鹿児島では「南東(16方位)」の風が

⑥「10ノット」の強さで吹き

⑦しゅう雨が降っていて(▶︎天気記号)、下層の雲は積雲か雄大積雲(▶︎雲記号)です。
選択肢は
・対流雲
・層状雲
だから、答えは「対流雲」ですね。

⑧前「3」時間です。(▶︎用語集)
⑨下降後、一定になってるし、選択肢にもあるので「下降後一定」ですね。

⑩気圧変化量は「-2.2」。

模範解答も
⑤ 南東
⑥ 10
⑦ 対流雲
⑧ 3
⑨ 下降後一定
⑩ -2.2

問1(2)水蒸気画像をよむ!
【問題文】図2で小笠原諸島の東方に見られる破線で囲まれた領域(ここでは「明域Q」と呼ぶ) に関連して以下の問いに答えよ。
① 明域Q内における船舶A(北緯30°東経147°付近)の高層観測値に基づき,この地 点における 500hPa 面と 300hPa 面に挟まれた気層における温度風の風向を 16 方 位で答えよ。
明域Qの500hPaの風はこれ↓

明域Qの300hPaの風はこれ↓

風向・風速の変化を見ると、次の図のようになってます。↓

答えは「北北東(16方位)」ですね。
模範解答も「北北東」。
風速を考慮しないと、「北東」って答えちゃうから気をつけてね。
(о´∀`о)
【問題文】② ①に基づき,次のア〜エから,船舶 A の上空 500hPa 面と 300hPa 面に挟まれた 気層の平均的な温度場に関する記述として最も適切なものを 1 つ選び,記号で答えよ。
ア:船舶 A の東側は⻄側より低温である。
イ:船舶 A の⻄側は東側より低温である。
ウ:船舶 A の南側は北側より低温である。
エ:船舶 A の北側は南側より低温である。
北半球の温度風は、右手に暖気・左手に寒気の向きで吹きます。
風向が北北東なので・・・
アの「船舶 A の東側は⻄側より低温である。」が最も適切ですね。

模範解答も「ア」。
【問題文】③ 明域 Q に対応するじょう乱の名称を簡潔に答えよ。
明域 Qでは、水蒸気が集まり
対流性の雲が観測されていて
地上天気図・500hPa天気図では見られませんが
300hPa天気図では等高度線から、ここに低気圧があるんだろうなぁとわかります。(流れから切り離されてはいないけど)
500hPa天気図では、−12℃の等温線が南側へ蛇行し低温場となっています。
一方、地上天気図では「弱い気圧の尾根」?という感じで、低気圧の「て」の字もないように見えます。
まとめると
・上層で低気圧性の流れ
・中層で気温が低い
・下層で正体が見えず
・・・これって「寒冷渦」ですかね…。
模範解答も「寒冷渦」。

問1(3)強風軸を描こう
【問題文】(3) 図3にみられる300hPa面の強風軸のうち,8日9時に対馬海峡にある地上低気圧の 発達に最も関連の深いもの 1 本について,風速 80 ノット以上の区間のみを,流れの向 きを示す矢印付きの実線で解答図に記入せよ。
この問題は図3の等風速線を見ればすぐわかりますね。

図2の水蒸気画像に見られる強風軸の南側に特徴的な雲(シーラスストリークやトランスバースライン)とも一致します。
シーラスストリークっぽい雲の北側ラインはここ↓

トレーシングペーパーに上の赤線を描いて、300hPaの天気図と重ねると・・・こうなります。↓

青:強風域から見た強風軸
赤:水蒸気画像から見た強風軸
そして模範解答の強風軸は「青:強風域から見た強風軸」とほぼ一緒です。

↑青と青でわかりにくいですが( ˊᵕˋ ; )
暗い青:模範解答
明るい青:強風域から見た強風軸
試験本番では衛星画像を見てチェック!なんて不要ですが
天気図だけ見てて「ごちゃごちゃしてわかんない〜」なんてパニックになった時は、衛星画像を見ると落ち着いて解答できるかも。

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