【超短小説】年雄と空いてる席

年雄は喫茶店に入った。

本を読むためだ。

だから長居する予定。

お店に入ると「空いてる席にどうぞ」と言われた。

1人なので、1人が似合う席。

・・・ない。

4人席しかない。

どうする年雄。

広くゆったり座れるのはいいが、2人以上の客が来れば、「なんだあいつ」と思われる。

落ち着かない。

ちょっと待って1人用の席にするか?

気にせず座るか。

どっち?

「空いてる席にどうぞ」と言われたからいいじゃないか。

空いてるんだし。

「空いてる席にどうぞって言ったけど、そこ座るかね?」

なんて思われたら嫌だな。

年雄、立ち往生。

どうせなら「こちらの席へどうぞ」と促してほしかった。

気の小ささは生まれつき。

浜本年雄40歳。

どうせなら、豪快に4人席に座ってやる!

ドスン!

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