【超短小説】年雄とイヤフォン

まただ。

イヤフォンが壊れた。

年雄はため息をついた。

年雄はよくイヤフォンを買う。

壊れたよりも、無くす方が多い。

今使っているイヤフォンは無くさずもった方だ。

ただ、無くさないなら無くさないで壊れる。

壊れにくい、値段の高いのを買えばすぐ無くす。

無くすから、安いのを買うか?

高いの買って無くすか?

どちらにせよ、年雄はイヤフォンを買う。

買う。

買う。

よく買う。

コレクターでもないのに。

「イヤフォンなんかいらねーよ!」

なんて、反抗期を迎えた中学生のように怒鳴り散らしたい。

でも買う。

好きだから。

耳元で聴こえる音が。

次は高いか?安いか?

財布のみぞ知る。

浜本年雄40歳。

無くさなきゃいい問題。

ただ、難問。

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