短読⑦ 夏の雪みせて見せてと子どもらに囲まれてゐる若き手品師
はじめに
七首目は、秋月祐一さんの歌です。ご投稿ありがとうございました。歌の中の形容詞について掘り下げていきました。どうぞよろしくお願いします。
まず読んで思ったこと
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「世界観の完成された一首」というのは 、描きたいものが一首で過不足なく表現されているという意味合いでここでは使っています。短歌はある場面の瞬間を切り取ったものを表現するように思われたりしますが、正確にはその(比較的長い)前後の時間も言外でいうことができる表現でもあって、そういう意味でも「時間性」を感じさせる形式だよなあと思いました。
余談なのですが、占いでよく用いられるタロットカードの大アルカナと呼ばれる22枚のカードには「THE MAGICIAN」のカードがあります。マジシャン、日本語では魔術師と呼ばれることが多いです。このカードに描かれているのは、一人の魔術師の青年で、テーブルにいろんなアイテムを並べながら、これから人々をあっと言わせようと自信満々に意気込んでいる様子だと解釈されます。このマジシャンもやはり青年で、なにか創造的なことをするために必要なのは若さだというのが、意外と普遍的な発想であるのかなあと思いました(音声でもタロットカードのことを念頭に置いて話してはいます)。
人の属性について言及があるとき、大体は最も特徴的なことについて触れられると思うのですが、自分は持たないものや距離のあるものに目がいきやすい=特徴として捉えやすいのかもなあとも思いました。これが老いた手品師であれば、また違った展開になるような気もしましたが。いや、そうなると持たないものや距離のあるものに目がいくというのは不正確で、欠如であれ過剰であれ、自分が気にかけている属性に思わず惹きつけられてしまうのかもしれません。いずれにせよ、形容詞ひとつで、含みを凝縮できることの面白さを思いました。
参考サイト
・THE MAGICIAN:https://jingukan.co.jp/fortune-lab/the-magician/
企画趣旨はこちらから
https://note.com/harecono/n/n744d4c605855
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