短読② しょうがないことは枝葉がなくなってただ一本のきみを愛そう
はじめに
二首目は、牧瀬幾多さんの歌です。ご投稿ありがとうございました。言葉遊びの部分をどう解釈するかを考えました。どうぞよろしくお願いします。
まず読んで思ったこと
さらに読む
音声では文法の部分がうまく説明できなかったのですが、基本の形が「しょうがないことはAだ」としたときに、「しょうがないことはAで、だから〜〜だ」とか「しょうがないことはAで、でも〜〜だ」という言い方であれば、もっと文としての意味はスムーズにとれるのかなと思いました。あるいは「枝葉がなくなることは、しょうがなくて」のような形とか。もしくは助詞を「に」に変えるとか(例:しょうがないことに枝葉がなくなったただ一本のきみを愛そう)。
つまり、「しょうがないこと」と「枝葉がなくなること」と「きみを愛すること」の3つの事柄の関係性が絡み合っていることで、どんなニュアンスで接続しているかが読み取りづらいのかもしれないなと思いました。詩を読解するにあたって、書かれたテキストの意味を全て理解する必要はないと思っているのですが、一方でこの書かれたものの意味を分かりたいという欲望があり、語のイメージや文法の用法などを駆使して解釈を試みようとするのが、詩の面白さだとも思っています。ただここでは読解を優先させたいので、添削的なこととはいったん脇におきます。
言葉遊びに着目するならば、「しょうがない」ことは「枝葉/しょうがなくなって」という、「しょうがないことはしょうがないんだ」という意味合いが含まれていると解釈する余地もありそうです。
でもいったん「きみ=木」だとして「丸裸の一本の木を愛するってどんなこと?」ということを考えたときに、ありのまま、もっといえば丸裸をみっともない状態も含めたものとして捉えれば、そういったさらけ出した、対象の本質的な部分を愛したいという願望でもあるのかなと思います。初めは下の句がとてもストレートなので、そのまま相聞歌として読むよりも「きみ=木」の歌として読んだ方が面白いのかなと思ったのですが、「きみ=木」の歌という読みを経由することが、この歌のもつイメージを浮き彫りにして、結果的に相聞歌としての奥行きをもたらしてくれるように思いました。
参考リンク
副助詞「は」:upwrite blog 日本語文法 助詞 副助詞「は」
企画趣旨はこちらから
https://note.com/harecono/n/n744d4c605855
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