はじめに
15首目は、広里ふかささんの歌です。ご投稿ありがとうございました。省略されていることから歌を掘り下げました。どうぞよろしくお願いします。
まず読んで思ったこと
さらに読む
叶わない恋というのを考えたとき、推しへの恋愛感情もこういうものなのかもしれないなと思いました。推しが別の人を愛したとしても応援し続けるみたいな感じ。でも、好きな人の幸福を応援することがすなわち自分の別の幸福(例えば自分が好きな人と結ばれる)につながらないとき、すっきりはしない、なんとなく心残りがある感じがあるように思いました。でもそれをあからさまに出すことは、この歌の人にとっては美しくない態度でもあるような気がします。
言いたいけど言い難い、というとき、省略の効果って出やすいのかもしれません。単純に定型(57577)の音に合わせるため、なのかもしれないのですが、助詞を抜くとどこかたどたどしさのようなものも出てくるし、「誰に何を」といった部分も明確に言わないことで、読者に想像させて余韻を残すことができる。やりすぎると、逆に何がどうなっているのかわからないことになるので、その塩梅も作る側の腕の見せ所になるんだなと思いました。
恋の歌って、言葉にすればするほど野暮になるというか、情緒とか余韻で感じていくものだと思うので、じわーっと歌に身を浸していくことが一番良い読み方なのかもしれません。
企画趣旨はこちらから
https://note.com/harecono/n/n744d4c605855