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黒い刺客!そいつはデビルガンダム級


随分と時間は過ぎたというのに
恐怖体験は
時々夢という形をとって
帰ってくるものだ。
あんな経験
そうそう出来るもんじゃない。
否、しなくていい。


黒いあいつの話です。
苦手な方は 以降
ご遠慮下さい。






独りで戦うには巨大すぎた!





そいつは 玄関すぐの廊下。
ド真ん中にいたんだ。

息を飲む。

いきなりだった。

自宅廊下。
薄暗い中に
巨大なシルエットが浮かぶ。

そいつは動かない。

目が逸らせない。
逸らしたら
次の瞬間 きっと見失う。

急速に下がる体温。
嫌な汗すら出ない。

廊下の棚に手を伸ばす。

緊急用の、
アイテムを
各種取り揃えて並べた棚。

そいつは一歩踏み出した。

・・・ドスッ。

足音は
デカかった。


殺虫剤なんて
意味ないぞ!




実戦経験から
殺虫剤よりも効果があるのは
スーパーハードヘアスプレーだ。

ー動きを止めなくてはー

丸1本噴射しなくなるまで吹き付け
固める!

動かなくなってから
見たことも聞いたこともない
その巨大な黒いヤツの
サイズを測ってやった。


長さ30cm超。
体高3cm超。
でけえ・・・

ドスコーイ!


足音が既に オカシイ。
板の上を踏みしめるように歩く。

「ド、ド、ド、ド・・・」



機動戦士ガンダムの歌詞で
「巨大な敵を 撃てよ!撃てよ!撃てよ!」って
あったな。

MSに例えるのなら
『機動武闘伝・Gガンダム』のラストに出てくる
デビルガンダム超級のサイズ。
歴代のロボットアニメには
もっと巨大なロボも出ていた気もするが
すぐには思い出せなかった。

あいつは
DG細胞に侵食されてしまったのか?!

スーパーハードヘアスプレーで
ガッチガチに固め
動きを封じはしたのだが
間違いなく生きている。
口の中まで見えてしまった。

ガクガクブルブル・・・

造形関係で使う凝固剤も
上から掛けた。
凝固剤で固めると
捨てる時に聞こえる
あいつのガサガサいう
恐ろしい音が聞こえなくていい。
凝固剤がない時は
液体ノリに
小麦粉や片栗粉を振りかけると
やはりガサガサ音が
かなり小さい。

完全に動かなく・・・きっと動かない。

もう動かない!
そう信じよう・・・

このあたりで測ったのだが・・・だが
怖いったら 怖い!
動いたら怖すぎる。


あいつとの戦闘では 
相手を倒すのは大変過ぎる。
しかし!
動きを封じてしまえば
戦闘は回避できる。


オブジェにも見えなくもない
黒いデビルガンダム級の巨体。

その周囲の床や壁を
バンバン叩いて威嚇するのも忘れない。

生きたオブジェから
仲間へ恐怖に満ちた悲鳴が
伝わっている。

これは殺虫剤メーカーの
研究開発室から
研究データとして上がっていた話なので
確かだろう。

その証拠に
この一件以来
我が部屋ではデビルガンダムの姿を
見掛ける事はなくなった。


東京の都心部 某所

築30年超のビル
3LDK
5万円(電気・水道・ガス代込み/更新料無し)

季節を問わず頻繁に
デビルガンダム級の
巨体は出現する。

歯をむいて飛び掛かってくる。
複数同時に目撃し
戦闘中、噛まれ
重傷を負ったという
他の住人の証言も有。
住人間での通称は
「ここのラスボス」


恐怖と戦いながら
がんばって捨てた。
デビルガンダム級の巨大なあいつ。
ずっしりと重い。


『機動武闘伝・Gガンダム』
初めて観た時に
「デビルガンダム」が怖かった。

真っ黒い機体だった。
あいつが巨大になったら
このくらい怖いのかも知れん。
思うんじゃなかった。


追)あのビルは
まだ現存している。

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