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貿易入門①〜市場動向と輸送手段、課題〜

こんにちは。
Harbittという、輸出入業務管理SaaSのスタートアップの創業者です。

早速ですが、今回は、我々が事業領域としている「貿易」について、その市場動向や輸送手段、技術トレンド、業界課題等をまとめたいと思います。

〜あらかじめお断り〜
あくまで「貿易」という領域にあまり土地勘のない方を対象に、「基礎的な知識をインプットし、少しでも「貿易」に親近感をもって頂きたい」という趣旨の記事です。

世界の貿易額と成長率

まず、貿易の市場規模ってどれくらいか想像がつくでしょうか?

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(※WTO STATSよりHarbitt作成)

上のグラフが、1990年から2020年までの世界全体の貿易額と輸出総額の推移です。

グローバルでの貿易額は、輸出入合わせると年間で38兆USドル(コロナ前の19年の値。1ドル=110円とすると、4,180兆円!)という規模で、上記グラフと同期間のCAGR(年平均成長率)は5.5%です。
※データの集計方法まで確認できておらず輸出入とするとダブルカウントになってしまうのか不明のため、輸出のみの額も載せています。わかりやすく2分の1なのですが、それでも規模の大きい数字ですね。

CAGRについては参考までに、国内ITサービスの2020〜2025年のCAGRが2.4%と予想されています。集計期間は異なりますが、最近の国内ITサービスの2倍で成長を続けてきた領域なのです。
(※国内ITサービスの市場予測はIDCのこちらご参照)

日本の貿易と輸送手段

次に、日本の貿易について見てみましょう。
日本の貿易額は、136兆円程度あります(※税関公開資料より)。
規模感の参考として、例えば日本の建設業界の市場規模は50兆円(※国土交通省「建設投資見通し」より)です。

そして、日本は島国ですので、何かモノを貿易(輸出入)しようとすると、海か空から運ぶしかないのですが、海上輸送(海)と航空輸送(空)の利用割合はどの程度なのでしょうか?

<物量ベース、金額ベースでの貿易に占める海空比率>
物量ベース:海 vs 空 = 99.6% : 0.4%
金額ベース:海 vs 空 = 70% : 30%

(※日本の海運 SHIPPING NOW 2021-2022より)

こんな感じです。
つまり、実際のモノの動きで言うと、99%以上が船で運ばれていて、1%弱のごくわずかな物量が航空機で運ばれるわけです。
金額ベースにすると割合が変わってくるのは、ざっくりと説明すると、高価なものほど航空機で運ぶケースが多いということです。

99%のモノを日本に/日本から運んでいる船をもう少し細かく見ていくと、定期船と不定期船があります。

<海上輸送サービスのざっくりとした分類 定期船と不定期船>
定期船:あらかじめ決まった航路を決まった寄港スケジュールで運航されるもの。現在の外航海運においては、専らコンテナ船のこと
不定期船:顧客等の求めに応じた航路・スケジュールで運航されるもの。定期船以外のすべての船。自動車船、ドライバルク船等

※外航海運:国内と外国、または外国間を航行する船舶による輸送。
※自動車船:自動車や建設機械など自走できる貨物を専門に輸送するために設計された船。
※ドライバルク船:梱包されていない穀物・鉱石・セメントなどのばら積み貨物を船倉に入れて輸送するために設計された貨物船。

※上記定期船の説明文に書いた通り、現在では定期船というと専らコンテナ船のことを指すのですが、正確には在来(貨物)船と呼ばれる船なども存在します。「定期船」と書きながら「コンテナ船」のことを指すと不正確でやや違和感があるため、以下では「コンテナ船」という表現を使います。
「急にコンテナ船の話になったな…?」と思われるかもしれませんが、「コンテナ船≒定期船」ですので、そのようにご理解ください。

金額ベースで言えば、日本の(国際)海上輸送の70%程度がコンテナ船で運ばれています。
(※内閣官房日本経済再生総合事務局資料より)

コンテナ化と近年のトレンド

そのコンテナ船と言えば、コンテナは貿易、と言うか世界経済に革命を起こしました。
※ちなみに一応ですが、ここでの「コンテナ」はDockerのようなクラウド文脈でのコンテナではなく、物理的な箱の方ですw

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(※ONE(Ocean Network Express)HPより)

詳細はコンテナ物語(※)等に譲りますが、ざっくり言えば、

● 荷役(船への貨物の積み下ろし)効率を大幅に高めた
● 船の積載効率を大幅に高めた(一度に船で運べる量を大幅に高めた)
● 国際規格が作れるようになった/作った
● (結果、)貿易におけるQCDが大幅に高まった

といったような革命が起こりました。

ちなみに、コンテナ物語については「2ちゃんねる」開設者の西村博之さんもYoutubeで語られていますね。

先に見た通り、日本は海外との輸出入において、貨物を99%船で運んでいますので、他国に比べてもよりコンテナ化の恩恵を享受できた部分が大きいわけです。
コンテナ革命が起きず人力作業による大きな輸送コストとさらに長く読みにくいリードタイムがかかり続けていれば、輸出入競争力が現在よりも格段に低い状態に止まっていますので、ある意味では、島国日本が貿易大国になれたのは、このコンテナ革命のおかげと言うこともできるでしょう。
(…ちょっと言い過ぎですかねw)

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(※「コンテナ物語」の表紙画像)

コンテナ化以降のコンテナ船界隈の大きなトレンドはと言えば、

● 船舶の大型化
● 船社の経営統合・コンソーシアム化

大括りにするとこの2つでしょう。
(コンテナのおかげでたくさん積めるので船の大型化が可能になった…等々考えると、ここまでを含めてコンテナ革命とも言えるかもしれませんが。)


今回はまず、マクロな市場動向から輸送手段、コンテナ化等過去の流れを見てきました。
長くなってしまいますので一旦以上とし、続きは以下に別記事としてまとめています。


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