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【これまでの答え合わせをしよう】ラ・リーガ第24節 RCDエスパニョール対FCバルセロナ マッチレビュー
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チャビが就任して初めての「シーズン2戦目」となるエスパニョールとの対戦。このマッチレビューを始めたのもチャビの就任と同時だったので、お互いに成長を見せつけたい試合でございます。
ということで前回のレビューを貼りつつ、試合へと入っていきましょう。
サイドバックの立ち位置、どうする?
スタメンは基本的にアトレティコ戦を踏襲しつつ、出場停止のアウヴェスのところにデストがそのまま入る構成に。となると、前節で大爆発したアウヴェスがやっていたタスクをそのままデストがこなせるかどうかがカギになる。つまり、デストが内側に入り、ブスケツを助けることができるのかどうか。
ちなみに、以前はアルバが内側に入って長い時間を過ごしていた日もあった。あったのだが、今回の試合ではその選択肢はほぼ除外していい。前節からデスト以外の選手を変えていないので、左右で役割を変更するのが難しいためだ。例えばトラオレはインサイドに閉じ込めても活きないし、ガビやフレンキーの配置を固定してもあまり良いことはない。
アウヴェスがやっていたことについてはこちらに詳しく書いているので、まだ読んでないよって方は是非。
いきなりのゴール
そこでデストがどうするかを見ていくはずだったのだが、試合開始から1分15秒でいきなりバルセロナが先制。フリーで蹴ったピケのロングフィードがトラオレに入ったところからチャンスが始まった。一度トラオレのパスはカットされるもブスケツがすぐさま回収し、フレンキー、アルバと繋いでクロスからペドリがゲット。
トラオレがカットインしてきた時にエスパニョールは3,4人で囲みに来ており、右寄りでパスをカットしたエレーラがボールを預けられる選手は誰もいなかった。唯一目についたであろうプアドはペナルティーアーク付近におり、そこへのパスがずれるとそのまま寄せてきていたブスケツにボールが渡ってしまう。
そこからのペドリのポジショニング、そしてアルバのクロスは完璧としか言いようがない。トランジションのところで引っかかったのでダルデルは少し前目で漂っており、ペドロサはトラオレを気にして最終ラインまで下がってくることができず。CBのカブレラがフェランに釣られてしまった時点で勝負は決まってしまった。
ホームチームの意地①
いきなりビハインドを背負ってしまったエスパニョールは、観客の後押しを感じながら攻めにかかる。基本的にはバルセロナがボールを持つ展開になるが、彼らがボールを持った際にはキックのうまいダルデル、エースのデ・トマスを軸に両SBもどんどん前に出てくる姿勢を見せた。
デ・トマスはかなり広範囲に動くのだが、彼が空けたスペースに左サイドのヴィリエナ、右のIHのエレーラが入り込んでくることでDFラインを上げさせない。ダルデルが1列下がってボールを受けるので、逆サイドの2人はタッチライン際で待機し、ボールが来れば縦関係での打開を狙ってくる。
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対するバルセロナは、IHを1人前に押し出した442のブロックを敷く。プレスに行くときには脚力のあるフレンキーを前に出すことが多いが、撤退するとペドリを前に置く形になるのが特徴。これはダルデルが下がっていくことに対応する側面もあったりするのではないかと思われる。(フェランがいちいち横ずれするのは効率が悪い)
カウンターを受けるときはデストが内に入っているケースは稀で、アラウホが縦に突撃して対応するケースが目立った。これはアラウホの機動力を生かしたくてそうしているというより、デストの立ち位置が定まっていなかったことに起因する。
アイドルの背中は遠い
エスパニョールは、ボール非保持でははっきりと4-5のラインを引いた撤退の姿勢を見せてきた。デ・トマスは基本的にブスケツを監視しており、こちらの2CB はほぼノープレッシャーでボールを触ることができる。ピケが持った時にはいちおう寄せてくるデ・トマスだが、それくらいで動じるピケではないのだ。
こうなると、SBが低い位置にいる必要がない。左サイドのアルバはガビ、フレンキーとのトライアングルで配置を入れ替えながら前進していた(後述)が、右サイドのデストはそうはいかない。WGのトラオレはガビとは違い、タッチラインを踏んでこそ輝く選手だからだ。
そこで冒頭で述べたようにインサイドに入ってくる動きが必要になるのだが、これがなかなか難しい。アウヴェスはブスケツと並列に近い立ち位置を取っていたが、デストはさらに前、インサイドハーフのようなポジションを取る場面が目立った。また、前の選手がボールを持ったらそれを追い越す動きが染みついており、トラオレの内側を駆け抜けていくシーンも何度か。
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こうなると、当初の目的だった「ブスケツを助ける」という役割を果たすことができなくなる。また、高い位置を取ってしまうと、マークしてくる選手(この場合だとヴィリエナ)を釣ることができず、右CBから右WGへのパスルートも作りにくくなる。
そこで、もともとインサイドハーフの位置にいるペドリが色んな位置に動いてボールを前進させることになった。ブスケツの脇に降りてきたり、トップ下のような位置で受けて反転したりと、様々な局面に関わりながらボールを前進させてみせた。
くるくる回る三角形
対照的に、前節と顔ぶれが変わらない左サイドはうまく3人が入れ替わりながらボールを前進させていくことができていた。この3人の特徴は誰もがDFラインの背後を取れること、そして配置を入れ替えても守備強度が担保できることである。例えばWGのガビがDFラインの手前にいる状態でカウンターを食らったとしても、彼はきちんと戦ってくれるので安心して見ていられる。
そう、ガビの闘う姿勢には特筆すべきものがある。対面の選手には絶対負けてやるもんか、という意地が見え隠れしており、この日も幾度となくアレイシ・ビダルに挑みかかっていた。体をぶつけることを厭わないどころか、球際の競り合いで勝ってしまうのが彼の凄いところである。
閑話休題。先ほど例に挙げたシーンは33分付近のビルドアップだが、この場面ではアラウホが右サイドからの前進を諦め、ピケにボールを戻している。ピケが少し前へ進むとデ・トマスがゆっくり寄せてくるが、エスパニョールの右SHを務めるプアドはアルバに押し下げられている。結果、フレンキーが完全にフリーでボールを持つことに成功。
同時にガビが下がってくるので、プアドは引き返して持ち場に戻ろうとする。エレーラはフレンキーに寄せてくるが、彼もガビを気にして微妙にサイドにずれる。空いたアルバのケアは右SBのアレイシ・ビダルが行い、見かけ上パスコースはなくなったように見える。
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しかし、フレンキーがドリブルで持ち上がると同時に、フェランがするすると降りてきてボールを受ける。いきなり刺すのではなく、少し前進することでケイディ・バレが食い付いてスペースが生まれたのだ。
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フェランは駆け上がるフレンキーにワンタッチでパスを返し、自身はそのままゴール前へ。アレイシ・ビダルとプアドはガビに釣られていたため、フレンキーへの寄せが少し遅れる。フレンキーはこれまたワンタッチでアルバにスルーパスを供給した。ここはケイディ・バレが死ぬ気で追いついてクロスをブロックしたが、左サイドの3人がそれぞれポジションを移動したことで生まれたギャップを上手く利用した攻撃だった。
ちなみに、ペドリはこのタイミングでゴール前に突撃している。こういうところでさぼらないからこそ、開始から1分そこそこであの先制ゴールが生まれたのだった。
ホームチームの意地②
その後もバルセロナは次々とチャンスを作っていった。作っていったのだが、なかなかゴールが決まらない展開が続く。そうしているうちに時間が経っていき、このまま後半に入ろうかというタイミングでやっとスコアが動いたのだった。
残念なのは、これはエスパニョール側の得点だということである。デ・トマスがロングフィードを収めて時間を作り、遅れて入ってきたダルデルが右足でズドン。途中から左サイドにいたプアドが駆け上がったことでデストが釣られ、ペドリが1列ずれたことでぽっかり空いたスペースを使われての失点。
CR7のアレを模したパフォーマンスはいまいち様になっていなかったが、そういう部分にしか難癖をつけられないほどに素晴らしいシュートだった。ちょっと前にムニアインにも同じようなゴラッソを叩き込まれたが、こういう得点は試合の流れを変える力を持っている。それを決めたのがホームチームで、舞台がダービーならなおさらだ。
バルセロナ側からすると、ゴールが決まりそうな場面はいくつも作れていただけに残念な失点だった。その優位が一発で吹き飛んでしまったのは痛恨だったし、相手が息を吹き返した状態でハーフタイムに突入することになってしまったのだ。
ホームチームの意地③
既に3500字を超えているので、後半は駆け足で。バルセロナは負傷したアラウホに代えてエリック・ガルシアをピッチに。ただでさえCBの途中出場は難しいのに、彼は負傷明けでいきなりの出場になってしまった。
55分、ガビがついにネットを揺らした。のだが、これはオフサイドで取り消しに。ここで勝利を確信したクレは多かったはずだし、これが決まっていれば「今日はガビの試合だった」と言われていたに違いない。
62分、エスパニョール、バルセロナともに選手交代。エスパニョールは、既にイエローカードを1枚ずつ貰っていたヴィリエナとケイディ・バレを下げる。バルセロナはフレンキーに代えてオーバメヤンを投入し、ガビが中盤に、フェランが左のWGにそれぞれ配置を変更。守りたいエスパニョールと勝ち越したいバルセロナの思惑が見て取れる。
しかし、そのわずか2分後にゴールが生まれる。歓喜に沸いたのは、これまたエスパニョール側のベンチだった。深い位置からダルデルが一気にDFラインの裏へボールを供給し、フリーで抜け出したデ・トマスが蹴りこむ。彼をマークしていたエリック・ガルシアはヘディングで跳ね返す姿勢を見せたものの、目測を誤ってしまい置き去りに。
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ダルデルが蹴る瞬間に、裏へ抜ける動きを見せたのはデ・トマスのみ。それに反応していたのもエリック・ガルシアだけで、DFラインから彼ら2人だけが飛び出した状態になっていた。前半のゴールシーンのようにキープされるのを嫌がったのかもしれないが、一瞬の判断の遅れが命取りに。この後にも明らかにずれたタイミングでスライディングをかましていたので、コンディションが完全に整っていなかったのかもしれない。少なくとも、自分がイメージしたように体が動いていなさそうではあった。
最後までダービーらしく
ついに得たリードを守り切りたいエスパニョールは、ゴール前にバスを置いて守る守る。このままで終わっていいわけがないバルセロナは、バランスを崩すことを承知で攻めにかかる。ガビ、アルバに代えてニコとデンべレという交代にもその姿勢が表れていた。なんとデストが左端になる3バックで、両翼にデンべレとトラオレというファイヤーフォーメーションだ。
しかしスコアは変わらないまま、時計の針は進んでいく。89分にはペドリに代えてルーク・デ・ヨングを投入し、両サイドが突破してクロス!という姿勢がより明確に。6分のアディショナルタイムの中で何とかして結果を残したい。
91分、ピケとニコ・メラメドが小競り合いになる。ニコ・メラメドはここで2枚のカードをもらいあえなく退場。ピケも2枚目となるイエローカードを提示されてしまい、残りの5分は10人同士での試合となった。
ピケがいなくなってしまったので、バルセロナの最終ラインは右からエリック・ガルシア、ニコ、デストの3枚に。しかし相手も1人いなくなったので、デ・トマスも中盤のラインまで下がって守備に参加。
そして95分と41秒、ルーク・デ・ヨングの素晴らしいゴールが突き刺さった。脱帽です。結果で自らの価値を証明し続ける、まさにストライカーという一撃。
右サイドでトラオレがボールを持つと、パスを出したエリック・ガルシアがそのまま外側を駆け上がる。大外のペドロサだけでなくトラオレと対面するデ・トマスとダルデルもつられて下がってしまい、トラオレは完全にフリーでクロスを上げることができた。
ともに1G1Aを記録したエスパニョールの2人は精力的に守備に参加していたのだが、最後の最後で不慣れさが露呈してしまう結果に。これで1勝1敗とはとても言えないが、ミスを挽回しようと走ったエリック・ガルシアのささやかな勝利だった。
2022/2/14 La Liga Santander Matchday 24
RCD Espanyol 2-2 FC Barcelona
Referee : Alejandro J. Hernandez Hernandez
VAR : Jose Luis Gonzalez Gonzalez
Stadium : RCDE Stadium
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