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【シーズンダブルは繰り返させぬ】ラ・リーガ第1節 FCバルセロナ対ラージョ・バジェカーノ マッチレビュー【22-23】
ついに!バルセロナが!帰ってくるぞ!
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デンべレの残留にレヴァンドフスキやラフィーニャなど前線に大駒を揃え、さらにケシエ、クリステンセンをチームに加えたバルセロナ。そしてさらにクンデも取って来たぜ!ベルナルドも欲しい!サイドバックどうするんだよ!などと、騒がしい夏を過ごしております。見ている側としては懐事情がどんなもんなのか分からないので、ちょっと不安ですが成り行きを見守るしかありません。本当、どうにかしてくださいね。
というド派手な動きを見せたがゆえに、今季のチャビバルサへかかる期待はとんでもないものに。それはもう、タイトル1つで満足できるのか?それでええんか?といった塩梅で、テコ入れの一環としてスポティファイ・カンプ・ノウと名前を新たにしたホームスタジアムでの初戦を落とす、なんてことがあっていいはずかありません。
対するは智将アンドニ・イラオラ率いる好チーム。昨シーズンはシーズンダブルの屈辱を味わわせてくれた因縁の相手はローン移籍やフリー移籍で低コストながら着実に補強を重ねており、アトレティックにいたウナイ・ロペス、アトレティコとアラベスからそれぞれ借りているカメージョとルジューヌがスタメンに名を連ねている。
リスク上等はお互い様
ラージョと試合するにあたって、バルセロナが狙いたいのは積極果敢なプレスをひっくり返すこと。ビルドアップでの繋ぎを押し込め、あわよくば引っかけてカウンターに転じようと向かってくる相手の勢いを逆手に取ることが重要になる。
ところが、メンバーを見てみると右のSBにはCBとしても器用とは言えないアラウホが。ひとりでプレス網を破壊できるフレンキーもスタメンには選ばれておらず、チャビは何を思ってこの11人を並べたのか、期待と不安が半分ずつといったところで試合が始まった。
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バルセロナのビルドアップはブスケツを頂点に置いたひし形が基本に。両SBはサイドに張り出し、浮き球でプレスの頭を超えるボールを狙う。この選択肢をちらつかせつつ、機を見てどんどんIHにボールを渡して前を向かせたい。
対するラージョは、バルサ対策で前提となる「ブスケツ封じ」をこなしつつ前進を防ぐことが求められる。そこで、SBへのボールはある程度捨てて中央をしっかり固めることに決めたイラオラ。サイドの選手を絞らせることでIHが使うスペースを狭め、前の2人に加えてウナイ・ロペスがブスケツのところまで前進。ペドリへのパスコースはトレホが管理しつつ、下がってくればウナイ・ロペスが捕まえることに。
この2人が右サイド(バルセロナの左サイド)に寄る場面が増えるため、カメージョはブスケツを捕まえる意識が強め。クリステンセンからアラウホに展開されるのは織り込み済みで、むしろここに誘導したいという考えが見え隠れする。直接レヴァンドフスキに出されると即座にDFラインを脅かされてしまうため、ここはCBが強めに潰す。ファールっぽくても潰す。
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この狙いが決まったシーンがこちら。GKからクリステンセンにボールが出た瞬間にカメージョが猛追し、戻す余裕を与えない。クリステンセンはサポートに来たガビへのパスを選択するが、後ろ向きで降りてくる選手が見逃すはずもなく。見事に挟み撃ちにされてロストし、精度は高くなかったもののカウンターの発動にまで繋げられてしまった。ちなみに、51分にカメージョにゴール半歩手前まで行かれたシーンも同じような形でのボールロストが原因になっている。
このようにビルドアップが詰まることも結構あったバルセロナだが、チャビは後ろの配置をいじることはしないまま。おそらくカウンターを食らうリスクより、一手でいきなり相手のDFラインを脅かせるというメリットのほうを取ったのだろう。実際に図のシーンでも、カウンターのボールを回収した流れから一気に相手ゴール前までなだれ込むことができていたので。
やっぱりすごいぜワンダーボーイ
とはいえ、バルセロナも嵌められた状況のまま無為にパスをまわし続けるわけにはいかない。整理された守備を破壊するには選手の移動だよね、ということでペドリを中心に解決策を探すことに。詰まった状況を1人で打開できるこの人はやっぱりバケモンですな。
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まず1つ。左にいたペドリが右サイドに出張し、ガビが空けたスペースでボールを受ける。シスとアルバロ・ガルシアは背中のガビ、ラフィーニャが気になって距離を詰められないまま。当然のように前を向くペドリ。
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ペドリはアルバロ・ガルシアに向かって突っかけ、アラウホを捨てざるを得ない状況を作り出す。そのままボールを離してさらに縦にランニングすると、自然とアラウホの眼前にブスケツへのパスコースが拓けるというわけだ。
当然これは狙われているが、ブスケツは寄せてくる2人を難なくいなしてフリーのエリック・ガルシアに。そこから一気に加速してデンべレにつけ、最後はラフィーニャのシュートで終わることに成功した。
その後も降りるガビからワンタッチでブスケツ、ペドリと繋いだところで寄せてくるカテナを悠々とかわして喝采を浴びるなど、会場を沸かせながら攻撃を加速させ続けた19歳。今シーズンもいなくてはならない存在になりそう。
点を取らなきゃ始まらん
さあ、プレスを剥がしたら次はフィニッシュの局面。レヴァンドフスキという超強力なストライカーを手に入れたバルセロナだが、流石に彼に全てを任せるわけにはいかない。せっかく3トップなんだから、WGが得点に絡むことは必要不可欠。特定の選手に依存しすぎる怖さも身に染みてるしね。
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そこで実装されたフィニッシュの形がこちら。WGのドリブルやペドリ、レヴァンドフスキのランニングで最終ラインを押し下げてスペースを作り、そこに逆サイドのWGが侵入してくる仕様。相手SHが付いてくることを防ぐ仕組みもばっちり。
ちなみにデンべレがボールを持っているときはアルバがサポート役に回り、ガビがSHをピン止めする役割を担う。アラウホは上がってくるときもあるものの、基本的にはアルバロ・ガルシアによるカウンターを警戒していたことが多いような。
そしてそして、ペドリとレヴァンドフスキはゴール前に飛び込むだけでなく、ポジションを交換しながら中央突破を図る場面もちょこちょこ。やはり天才同士は通じ合うというのか。
謎のラフィーニャ左サイド
このようにフィニッシュの形は作れていた。作れていたのにも関わらず、前半途中からチャビは左右のWGを入れ替えることに。昨シーズン無双した、デンべレの右サイド起用で、得点に向けてギアを入れたいバルセロナ。
しかし、この変更が結果的に停滞を招く一因だった気も。左足でボールを触りたいラフィーニャはアルバと動きが被りまくり、内側に入っても右足でうまくシュートを打つことができなかった。
後半にアンスが投入されてからまた得点の匂いが強まったように、ゴールを決められるWGの存在はチャビバルサにとって欠かせない存在。それを配置変更によってみすみす失うのはどうなのかなと。デンべレだって2人来ても余裕だ!みたいなキレキレモードじゃなかったしね。
フレンキーの躍動、しかし…
得点が欲しいバルセロナは60分にアンス、フレンキー、セルジ・ロベルトを投入しギアを上げていく。クリステンセンを下げてアラウホをCBに入れ、ロベルトをサイドに置くことで攻撃力アップを狙うチャビ。73分にはペドリに代わってケシエがリーガデビュー。82分にはアルバを下げてオーバメヤンを投入し、何が何でも1点を取りに行く姿勢を見せる。
後ろの人数が減り、アラウホが出しどころに困るなかで躍動したのがフレンキー・デ・ヨング。得意のドリブルで相手を剥がしまくり、一人でビルドアップを完結させかねない異能を示した。
しかしそれでも、ディミトリエフスキの活躍もあってゴールは生まれず。それどころか92分にはブスケツが疑惑のイエローカード2枚目で退場し、94分にはテア・シュテーゲンのセーブがなければあわや決勝点という場面まで作られてしまった。
結局、試合はそのまま終了。幸先よく勝ち点3を得てシーズンスタート!というわけにはいかなかった。それどころか、ブスケツがいきなり次節出場停止という厳しい状況に。昨年は得意にしていたレアル・ソシエダとの試合ですが、果たしてどうなるのだろうか。
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