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積ん読を解消したい人に、一つだけ言える私のテクニック

先日、佐賀県で講演した話の続きです(youtubeでアーカイブ見られるのでどうぞ)。

前回の話はこちら。

「雑学(クイズ)」がテーマなのですが、私は書籍編集者ということもあり、本についての話にかなり時間を割きました。「読書術」については名著がいっぱいあるのでなかなか新しく私が口を差し挟むことも本来多くはないのですが、「ここは言っておきたい」というポイントがあるので、それを改めてお伝えするのが今回のnoteです。

買ったら頭だけは読む

読書術にもいろいろあると思うのですが、私が実践していてかつ有効だと胸を張れるのはこのワザでしょうか。最近では「積ん読も立派な読書である」という主張もあってこれはこれで面白いのですが、やっぱり本は読んで味わうに越したことはありませんw とはいえ読むのはどうしたって限界があるわけで、そこで私が実践するのは「とにかく頭の数ページは買って読んでから積む」ということです。

ちょっと違う分野ですが、銭湯業界の方がお客様を増やすための施策として「子どもを積極的に呼ぶ」というのがあります。これはどういうことかというと、人はまったく入ったことのない種類の店や場所に入るのはものすごく抵抗を感じるが、一度入ったことがあればそのハードルは劇的に下がるという心理に拠るもので、要は「そういえば子どもの時、銭湯行ったな」と思う人はまた銭湯に来てくれることがあるけど、一度も行ったことがない人はそう簡単に来てくれない(レジャーの選択肢として頭の中の候補に挙がらない)ので、まずはその第一段階をクリアしてしまおうということなのです。

本も、書店ですごく興味が湧いた、あるいは誰それが薦めていて思わず買ったなど最初の出会いのときはそれなりにインパクトがありますが、買って漠然と家で放置してしまうと、このインパクトはゼロに戻ってしまい実際に読むのに高いハードルが出来上がってしまいます。そうなる前に少しでも読んでおいて、書評とかで目にしたときに頭の中で本のことが蘇りやすいように、あるいは「まだ読みさしだけど、あの本ってこういう感じだよね」とか人と話せるきっかけを作っておくのです。

昔、片岡鶴太郎さんにインタビューしたことがあるのですが、そのときに鶴太郎さんも「仕事はやりかけにしておく」と仰っていたので「それそれ!」と思ったことがあります。仕事は立ち上げるところが一番エネルギーがかかるので、そこをとにかく突破しておく、そうすると全体を俯瞰することもできるようになるし、全体として仕事もはかどるというわけです。

読書におけるそもそも論

ただ読書は効率がすべてというわけではないので、そこはフォローしておきたいところです。私のまわりで「本を読んでるなあ」と思う人でも、趣味の読書は「年100冊到底行かない(マンガ含まず)」と言っている人が多いように思います。そもそも小説とかであれば、それを読んでいる時間、本と一緒に過ごしている時間が大事だったりするので端折ること自体があり得ないわけです。

これは音楽を聴くときに10倍速で聞きまくってもまったく意味がないことをイメージしてもらえればと思います。たくさん読めるに越したことはないけれど、人はそうそうたくさん本は読めない・・・ということをもう少し出版関係者も意識するべきだし、言っておいた方がいいように思います。

もちろん仕事や研究であれば読むしかないし、読んで話が出来てようやくスタート地点という話はあります。なので速読を身につけて「積む前に読む」のが究極の技術かなと思い、速読セミナーに行きたいと思いつつも、行けずに今に至る私がおりますw

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