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こんな暮らしもあったのかもしれない。

「我が家に犬をお迎えするかもしれない。」という案がここ数日浮上していました。

近所のとある知人が亡くなりました。彼女が犬を飼っていたので、この犬を誰が引き取るか?ということが家族の中では関心事でした。飼い主だった彼女のことはもちろん、犬のことも知っていた。愛嬌があって可愛いわんちゃん。飼い主を失った今さぞ心細いだろう。この子の行く末はどうなるのだろう?と皆で心配していたんです。



小学生から大人になるまで、犬を飼っていたので犬好きです。最初に犬を飼ったのは小学校低学年くらいのころ。知人から譲り受けたマルチーズのオスで「チロ」という名前でした。父はこの頃多忙でほとんど家にいなかったので、私と母からすれば新しい家族。嬉しかったのだけど飼い方があまりわかっていなかった。だから今思えばちょっときつく叩いてしまったり、夜寝る時や留守番の際はゲージの中でしか自由がなかったから、かわいそうなことをしたなって思います。この子は飼って2年くらいで事故にあって亡くなっちゃいました。この時私が小3か4くらい。悲しかったしたくさん泣いたけどそこまで深くは記憶にないんです。


その後小5か6の時に、再び犬をお迎えする機会に恵まれました。この時も奇しくもマルチーズで今度はメス。安直なネーミングですが、先代の名残もあって今度は「チコ」という名前をつけました。チコはこのあと12年くらい生きます。私が11か12の頃から12年だから、ちょうど我が家の激動を共にします。私が中2の時に夜逃げしているので、この子もやっぱりおいてはゆけない。家族だから。厚かましいことは承知だけど、親戚の家に身を寄せていた期間もこの子は一緒でした。ただやっぱり「こんな時に犬なんて連れてきて〜」的な嫌味を言われてしまうわけで。そんな苦楽を共にした仲です。

親戚の家を出て引っ越してからは、私たちの家族の一員としてチコはすっかり馴染んでいました。父は失業していて、新たな事業に向けて家にいる時間が増えたから、チコのことをよく可愛がっていました。私も一人っ子でしたから妹のような存在でしたし、母は一番チコのことを可愛がっていたからチコも母へのなつき度合いは別格でした。最後の2年ほどは心臓が悪くてよく発作を起こしていました。私が社会人2年目くらいの頃かな?心臓の持病が原因で病院で息を引き取った。父が亡くなって数年後の話だったので、また大事な家族が亡くなってしまったという気持ちでした。




犬をどういう風に扱うか、どういう位置付けで飼うか?それは人にとっていろいろなのだけど、私にとって犬は家族です。また飼うことがあるとすれば子どもをもう一人持つのと変わらない。だって予防接種やらいろいろでお金と手間がかかるし、たくさん愛情もそそぎたいし、一緒にすごしたいし。家族を一人増やすのと変わらない。だから犬は好きだけど簡単に飼おう!とは思えず慎重になっていました。そんな時に降って湧いたのが冒頭の話。


この子、もしも誰も飼い手がいないのであれば、どうなるのだろうか?保健所に連れて行かれることだけは、避けたい。夫に相談するも渋い表情をしていました。夫は私以上に犬好きだけど、慎重になっていたようです。子どもたちの前では極力話をしないようにしました。実際子どもたちが犬を欲しがっているかどうかはわからないけど、これはあくまでこちらの考えの一つだから、内緒にしておこうと思ったんです。期待させて飼わないことになったらかわいそうだから。

そんなことをあれこれ考えていましたが昨日、この子は、飼い主の親戚の知り合いでフレンチブルドッグの愛好家にもらわれていくことがわかりました。よかった。保健所へ連れて行かれなくてよかった。フレンチブルドッグを飼い慣れている人がもらい主でよかった。一安心。夫ともその話をしていたら、

「よかったなぁ。フレンチブルドッグはそれなりに大きいけど外では飼えない。温度管理が大事らしい。散歩もある程度やってあげないといけない。そこまで寿命が長くない。だからいざもらうとなってもうちで飼えるのかを心配していた」とのこと。やけに詳しいなと思っていたら、どうやらここ数日熱心にフレンチブルドッグの飼い方を調べていたらしい。夫は反応は薄いけど私の話は一応聞いていますし、影でこっそり色々考えたり心配しています。そういう人なんです。


フレンチブルドッグのあの子とうちの二人の子どもが寄り添いじゃれている。そんな姿を妄想して、「こういう暮らしもいいよな」って一瞬だけ心の中で静かに思い描いていた。叶わない話になってしまったけど、これでよかったんだ。今はあの子がもらわれた先で、心穏やかに過ごせたらいいなとしか思っていません。こんな小さな気持ちはきっとそのうち忘れてしまうだろうから感じたことを残しておきたくて、今日のnoteを書きました。

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浜田 綾(コトバノ):ライター
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