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息子だけジガルデ・セルを取り逃した話。


日曜日の朝、それも早朝のことだ。
私と4才の息子は別の部屋で眠っている。息子は夫と眠る。
だから、息子が朝目が覚めると、早く起きている私の部屋に来て「おはよッ。ママ、カワイイねぇ」と毎朝抱きついてくる。

最近はオウムよりは多く話すようになった息子である。
ちなみに保育園でも女の子に「〇〇ちゃん、かわいいねぇ」とナンパしているそうだ。あと鼻もほじらなくなった。
女関係は、ママは少しだけ将来が心配になった。

親子で楽しめるゲームの話の前に少しだけ恋愛についてのことを書いておきたい。

夫のモテモテ伝説

夫は中学高校(陸上部)とそれはそれはモテモテだったと本人が言っていた。
廊下を歩けば窓際に女の子が集まり、体育祭で400m走を走れば写ルンです(↑時代を感じる)で写真をバシャバシャ撮られたと自分で言っていた。そしてそれを売られていたそうだ。部活の大会には関係のない生徒が押し寄せ、競技場の一角がファンの女の子で埋まったそうで。

自己申告なのでかなり真偽が怪しいと思った私は、職場の夫と同世代の職員でたまたま同じ学校だった人を発見しその真実を確認した。

「ホントだよ、すごかったんだから。アイツほとんど話さないし女子に絡まないのに超モテてた。バレンタインの日はデカめの袋持ってきてて殺意しか覚えなかったね」「もうね、先輩後輩含めて女の子たち大熱狂で大変だった。俺を含めて男子は嫉妬しかしてなかったからね。でもアイツのすごいところは誰も彼女を作らなかったところだと思う。」と衝撃の返答があった。

夫よ、ごめんよ疑って。なぜ誰とも付き合わなかったのか今度機会があれば問い詰めたい。

そういえば近所の子が毎年バレンタインチョコを学校で渡さずに、家に持ってくる子がいたと姑が言っていた。夫が要らないから断ってっていうけど可哀想だから私が受け取ってホワイトデーも代わりに渡しにいったという。

それに何度もう色んな女の子から自宅に電話がかかってきて、何回も居留守を使って姑が断っていたという。終いに姑がブチ切れて「用があるなら学校で話なさい」と言って電話を切ったそうだ。
こえぇ母ちゃんがいる、夫のモテモテ伝説はそこで終焉を迎えたようだった。社会人になってからのことは聞いていない。ただ真面目に仕事をしていたら私と出会ってトントン拍子で結婚まで走り抜けただけだ。

ママの中学高校の恋愛事情

かくいう私にも中学高校の6年間は第1次モテ期だった。奇遇にも私も陸上部だった。私も自己申告なので信じてもらえないかもしれないけど、ほぼ事実。
中学の部活ではスターティングブロックでスタート練習時のケツが超絶エロいと噂され、野球部の隣で練習していたので、ベンチに座っている男子生徒からの視線をヒシヒシと感じた。パンツのラインが見えるとか言われて嫌だったのを覚えている。先生に報告すると練習はユニフォームではなくハーフパンツを履くことになった。中学時代に男子はエロいもんだと学んだ。

2年の時に後輩から「次のレースで1位になれたら付き合ってもらえませんか?」と言われて先輩として後輩のレースは全力を尽くして欲しかったので「…頑張って」とだけ言い、彼が1500mを走っている時に全員で応援していたにも関わらず「次の直線で抜けー!直線でさせー!」と私の競馬の怒声にしか聞こえない応援通りに、彼は直線でブーストし順位を一気に上げた。
ゴールした後に彼の耳には「私の声しか聞こえなかった」と衝撃の発言を受けた。結局5着くらいでゴールした。

マジで信じてもらえないかもしれないが、高校に進学してすぐに男子が群がってきた。敏感な年頃もあり、女子からの視線が怖いので春の遠足は欠席した。イベント時は回避行動がとれない。日常では「ずっと片思いだけど好きな人がいるから…」と断り続けた。女子からいじめられなかったのは不幸中の幸いである。女子との人間関係を築けてから学校行事に比較的楽しく参加できるようになった。

仲の良い女子から、「コンタクトはずして、眼鏡かけたら?」と言われてこれは妙案だと思った。当時、度がキツイ眼鏡はマジで牛乳の瓶底みたいな眼鏡しか売っていなかった。現在、レンズの圧縮をしてもそこそこの厚さを誇る私の視力の悪さはアダとなった。

フレームは濃い目の赤色にした。エヴァ弐号機みたいな存在感を放つ瓶底眼鏡。目が1/3くらいにちっさく見える。重たくて頭痛がした。逆魚眼レンズ状態、これがまずかった。部活の時だけコンタクトにつけかえた。

この状態が眼鏡が好きだという、私を含むアニメ好きなオタク層にhitした。
真希波マリみたいだと何度も言われた。だが、メンタルは完全に陰気な碇シンジだった私は、告白を断り続けた。いっそ女子高へ行けばよかった。合格はしていたけれど公立高校にも合格したためそちらに進学した。

どこでバイトをしているのかを聞きつけられて色んな学年の男子がバイト先にも来るようになった。「弁当屋やぞ家に晩飯あるやろ…」と思っていた。レジを打つ時に電話番号とメアドとmixiの検索ワードを書いた紙(時代を感じる)を渡してくるので、店長に相談して同世代の客が来た時は調理専門にしてもらった。揚げ物をあげるのが異常なまでにうまくなった。

予備校に行けば、ひと月も経てば他校の生徒も気が付けばこっちをチラチラと見ていた。女子からのイビリ予防に私はいつも予備校の隣のショッピングモールのマックに逃げ、1人でチーズバーガーを食べるのが至福のひと時だったのに、つけられてジュースを差し入れられてしまい、話しかけられて答えない訳にはいかなかった。根が陰気な私は陽キャについていけず、適当に返事をしていた。頷く赤べこみたいだったと思う。

次の日から休憩時間には単語帳を持っていって話かけられないようにしようと思っていたら、私のお気に入りのマックに先に並んでいた男子がダブルチーズバーガーを奢ってくれた。並んでいたら「2つ注文したから席、先に座って待ってて」と、ますます無視するわけにもいかなくなってしまった。

このままではいけないと思い、友人の薦めてくれた瓶底眼鏡を装着し、予備校の休憩室で持参したおにぎりと予備校の備品のポットで入れたカップみそ汁を3倍速で食べ、自習室で勉強をして過ごすようにした。本当は同じ中学出身の女の子と並んでおしゃべりしてゆっくり食べたかった。

休みの日も家ではゲームや漫画の誘惑が多く、予備校の自習室を使用していた。しかし、ついに浪人生までもが私に告白するようになり、講師から「このままじゃ色恋に浮かれた男子どもが勉強に集中出来なくなるから、講師室の机を使いなさいと言ってきた」そうすれば今度はバイトのチューター(国立大学の医学部に通うバイトの先生)がデートに誘ってきた。もう家で勉強するのが一番集中出来ることに気が付いた。

そんな私のバレンタイン事情は毎年、一つだけを用意した。高校の帰り道に出身中学へ行き、好きだった先生に渡しに行っていた。先生は「困るんだよ」と言いながら毎年、高級ホテルのお菓子だけじゃなくて、テディベア付きのお返しをホワイトデーにくれた。在学中にもこっそり渡したが、ホワイトデーには「しっかり勉強しろよくらい」しか言ってくれなかった。

卒業生になり消え物じゃないものをくれるようになった大人な対応が、カッコよくて、一層、同世代の男子を遠ざけるようになった。この頃からもう年上が好きだった。

今もそのテディベアは括られていた青いリボンを含めて大切に飾ってある。はじめて買った車に乗せていた、今は家に大切に飾ってある。
もちろん夫には内緒だ。
次の年には本、写真立てとどれも小じゃれたものだった。
写真立てには卒業式に先生と2人で撮ってもらった最後のセーラー服の写真を入れて飾った。それを机の片隅に置いて受験勉強に励んだ。
叶うことのない恋愛を追いかけることが一番幸せなんだと知った。

息子の場合

そんな具合の夫婦から産まれた息子だ。遺伝子をヒシヒシと感じる。
ただ一つ私たちと違うのは息子は女子に対しても男子に対しても積極的であることだ。陰気と陰気が交わると陽気になるのか。数学もマイナスとマイナスを足すとプラスになるように。

息子が藤森慎吾さんみたいに「君カワウィーネェ!!」とちゃらちゃら言っている未来が見える。多分カラオケでは合いの手を入れる。
正直、親バカだが、親の目から見ても息子の顔立ちは不細工寄りではない。
同世代の集合写真を見るとかなり小顔で本当に女の子みたいな顔立ちをしている。

保育園では、朝送って行けばたくさん女の子が出てきてくれて「〇〇君のママ~♪お仕事頑張ってね」と言ってくれる。「ありがとねッ!行ってきます!(無職)」(ホンマは家帰って家事やねん…)と答える間に、息子が脱いだ靴をいそいそを靴箱に片付けてくれる子がいる。
息子に、「靴くらい自分で靴箱に入れられるようにならないとモテないぞ~」ってい言っていたのに、天地がひっくり返ったような衝撃を受けた。

世話を焼きたい女の子もいるのだ。保育園の先生からの話では息子はかなりお世話されている。カブト虫の観察でゼリーの蓋をうまくめくれずメソメソ泣いた息子をヨシヨシしてくれて、代わりに開けてくれて「はい、これ入れてあげて、カブちゃんにあげよぉ~ね」と息子に手渡してくれて、しかも虫かごの中にある空になった方のカップは同時に回収してくれる面倒見の良いお姉ちゃんのような同級生もいた。

頼むから二股とか三股とかするとんでもねぇすけこまし野郎にだけはならんとってくれと願う。誠実な大人に成長してほしいと強く希望している。
女遊びを覚えたらどうしようと心配事が尽きない。
でもまだ4才だ。カワイイもんだ。

ポケモンGO with 息子(親子で楽しめるゲーム)


今朝は「チョコパンだよ」とお皿に乗せたミニパンを見て「わ~ちょちょだ~」と喜んで両手に抱えて頬張っていた。「おいちぃ」と言う。
今日は「公園で蝉の抜け殻行く?」と聞いてみた。

しばらくしてから、「ママ、ポケモン、行く」というので、出かけることにした。いい傾向である。幼い頃からポケモンで洗脳に近いことをしているだけはある。将来性抜群だ、自転車の後ろに乗せて、テザリングでつないだ息子のスマホは動作が若干遅く、「ママ、ゆっくり走って」とちょっときつめの先輩のように言われる。

最近実装されたルート機能が楽しいらしい。ルートのことを「電車いこーよ」と言い、私は自転車に付けるスマホホルダーで同じルートを選択し、道を間違えないように走る。

息子はガタンゴトン~♪ガタンゴトン~♪と楽しそうだ。歩くのが本来の趣旨のゲームなのだが、安全に配慮しているので見逃してほしいところだ。私はプラプラを繋いで自動捕獲と自動ポケスト回しをしているのでハンドルを離さない。本当にただ、息子の為に人力で走っている。

ルートのゴール付近に小さな緑色のキューブが出ることがある。
ジガルデ・セルだ。今最も熱い。
私のスマホで出たので自転車を停めてキューブをタップしてGETした。
息子の方にも、「これちょんちょんしな」と言って「ちょんちょん!!」と一生懸命画面をタップしているのだが、うまく触れていないそのうちにGPSがバグってゴールしてしまった。誤爆ゴールインだった。

「ぎゃあああーーーーーー!!!消えたよーーーーー!!!」息子無念の大絶叫。私の背中を叩き、「ママが前に進むから…。」いや一歩も動いてまへんがな。GPSの誤作動だと説明しても分かる年ではないので、もう一回逆ルートで行ってみようと何とかなだめて、来た道を今度は逆方向に走る。スタート地点とゴール地点を入れ替える機能があるのだ。

今度こそと思い、走っていると道を間違えて勝手に一時停止になった。
しかも再開するには一時停止する位置に戻らなければいけない。悪戦苦闘しながら、右往左往して再開した。

ゴールが見えてきた。今度こそ、「緑のセル取ってな!」というと「うん!」と頷く。ゴール付近で一度立ち止まり歩くくらいにちょろちょろと動く。
…セルは出なかった。嘘やん。
後ろでブルブル震えてギャン泣き寸前の息子がそこにはいた。すでにちょっと泣いていた。「…ないねぇ」と呟く。悲しそうだった。今日は諦めて帰ろうかと言うと、「もう一回行ってよぉぉぉぉぉおおおおおお!!!」と懇願された。

しばらく悩んだがまた3.5㎞かぁ…と思うと帰宅したかった。またタマゴが割れてしまう…。「今日はもう疲れたのでママは帰りたい」と言った。

「動け!動け!動いてよぉ!」と必死のパッチで頼んでくる。
その台詞にトウジ(テレビ版)やアスカ(破)が乗っていると言って、いつまでも戦わないシンジ君が、親であるゲンドウに無理矢理ダミープラグに切り替えられた時にエントリープラグの中でハンドルをガチャガチャするシーンを思い出してしまった。

お茶を飲んで、フゥー...と腹をくくる。
親のバカヂカラでもう一回だけ行くことにした。これも親バカとも言う。
「次で最後にしてよ」と約束して走る。
しんどい、あ、タマゴが割れた。
海外産のアマルスが生まれる。普通色。

走っている間も、「チゴラスは怪獣、プロト~ガは亀さんよぉ」と楽しそうにしている。多分捕獲しているのだろう。あとで交換してもらお。

なんとかしてゴール付近に辿り着き、また目を皿のようにしてジガルデ・セルを探す。結局、見つからなかった。もう足はパンパンだ。変える方向に向かった時、息子が泣いた。
「もう一回行ってよぉぉぉぉぉおおおおおお!!!」(2回目)とママの急所である背中を文字通りバシバシ叩いてくる。

ごめん…無理です。
人間ってのは体力の限界ってもんがあんねん、多少無理が効くのは1回くらいなもんですわ。

ホントまだまだ朝も早い時間に近所迷惑なことに「うわわああああああぁぁぁぁん!」鼻水まで垂らしワンワン泣く息子。
ガタンゴトン~♪ガタンゴトン~♪と言ってたのが嘘のようだ。

「また、保育園の帰りの涼しい夕方に行こうね。」と約束する。
納得はしていない様子だったが、口をへの字にして黙ってアマルスやチゴラスを狩っている。そういえばレジドラゴに逃げられた時も大号泣だった。

ひとしきり泣いたら、財布でも落としたんか?ってくらいブルーな感じになり、無言でそこらへんのポケモンを狩るのだ。そうゆう習性がある。人間はそうやって立ち直っていくのかと感心する。

「ママっ…捕まえられたのに」と決まって言う。経験値の差がありまんねん、それは仕方ないねん。あなたがお腹の中に入っている時からやってますからねぇ。

なんやかんやで楽しんでいる。
未来のエリートトレーナーを鍛えている。
鼻水たらしが女ったらたらしにならないことを祈る。

せめて、ルートの開始と終了を押すボタンくらいつけて欲しい。
誤爆のゴールが無いように。
ジガルデ・セルは儚く脆い…まだ実装されて間もないからきっと改善されると思う。ナイアンティックは進化を続けている。

セル拾い損ねた同じような人、友達になろうぜ!(サトシの声で言ってみたい)

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