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僕を誘惑するこの女は

どうしてもだめ?

ゆかりは甘く、うるんだ瞳で見上げた。

この女はどうしてこうも緩く隙をみせるのだろう。
うるんだ眼は僕をとらえて離さないし
その目に吸い込まれていくのに僕の視線は
Vカットの切り込まれたシャツの先に向かうし
隙のある女が香らせるバニラの香りとアルコールの香りが混ざって届く

なんでなんにも言ってくれないの?

近い。頬にゆかりの息がかかる
さっきよりもアルコールの香りを強く感じながら
意識はそんなことよりも自分の二の腕に集中する。
泳ぎまくっているであろう僕の目線は
黒の布が張られて作られた三角の隙間を捉えて逃れられない

僕の三角に手が入り込んできた

ゆかりの右手だ。
ゆかりは僕がどこをみているのかわかってる
何度言ってもゆかりは僕の妹だ。

こいつは明日になれば
「うっせぇバカ兄貴!」という憎たらしい妹。
持っている物は悪くないし
この状況も他の男からすればいわゆる”コロッと”行ってしまうんだろうが
色気も感じなければこの甘い匂いも鼻についてダルく感じる
ちょっと荷物を動かしただけで「私の物に触らないで」と
冷たい視線を送ってくるこいつ
今は俺が触んなと言ってやりたい。

僕を誘惑するこの女は一番憎たらしい僕の妹




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