リフレクションを中心とした経験学習支援:論文レビュー
こんにちは、原田です。
今回は、リフレクションを中心とした経験学習支援に関する論文です。
経験学習理論において、リフレクションは個人学習を促進する重要な要素とされている。しかし、部下のリフレクションを他者がどのように支援すべきかに関する研究は少ない。本研究は、このギャップを埋めることを目的としている。
今日の論文
リフレクションを中心とした経験学習支援
The Support for Experiential Learning Focusing on Reflection
日本労務学会誌 Vol. 22 No. 1(2021)
Masaki Nagata
サマリ
本研究は、A社のマネジャーによる部下育成行動を質的に分析し、リフレクションを中心とした経験学習支援のあり方を検討
インタビューを通じて、リフレクションの支援プロセスを明確化し、その有効性について考察
方法
大手保険会社A社のマネジャー17名を対象に、半構造化インタビューを実施
データはグラウンデッド・セオリー・アプローチ(GTA)を用いて分析され、部下指導におけるリフレクション支援プロセスを明らかにする
※GTAはデータ全体から理論を生成する手法であり、M-GTAは特に「人々の意味づけ」を中心に据えた修正版アプローチ
わかったこと:
リフレクションを中心とした経験学習支援
成長支援の準備
マネジャーはまず、部下が安心して学べる環境を整えるために、心理的安全性を提供する。失敗を許容し、自由な対話を促すことで、部下がリフレクションを行いやすい環境を作る。また、部下の特徴やキャリアビジョンを把握し、成長のための土台を整えている仕事のアサインメント
次に、部下にストレッチ経験(成長を促す挑戦的な仕事)を与え、その仕事に意味を持たせる。具体的には、期待を表明し、成長を促すための指導を行い、部下が自信を持って仕事に取り組めるようにサポートするリフレクション支援
最後に、リフレクション支援のプロセスにおいて、マネジャーは事実の確認や業務の分析を通して部下の内省を促し、教訓化を支援する。この段階では、成功・失敗の経験から学びを得るよう促し、さらに部下の自信を高めるために承認の言葉を与える
論文から得た学びと活用場面
リフレクション支援は、部下にとって成長のための重要なプロセスであり、特にマネジャーが心理的安全を提供することが前提となることが分かりました。また、部下が経験を振り返り、教訓化するプロセスが、仕事の質を向上させる一助となることが示唆されています。
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