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研修転移に関するレビュー論文(1950~1980年代):論文レビュー

こんにちは、原田です。
今回は研修転移に関するレビュー論文をご紹介します。

研修転移とは、「組織の掲げる目標のために、仕事現場を離れた場所で、メンバーの学習目標を組織化し、個人の行動変化・現場の変化を導くこと(中原,2014)」です。
有意義であり、かつ組織目標にかなうこと、がポイントです。

今回は1950~1980年代の研究をまとめた論文(レビュー論文)をご紹介します。

今日の論文

TRANSFER OF TRAINING: A REVIEW AND DIRECTIONS FOR FUTURE RESEARCH
トレーニングの転移:レビューと今後の研究の方向性
Personnel Psychology, 1988年
Timothy T. Baldwin, J. Kevin Ford

サマリ

  • トレーニング研究者と実務者にとって、トレーニングの転移は極めて重要な課題である

  • 本論文は既存の転移研究を批評し、将来の研究の方向性を示すことを目的としている

  • 転移の条件には、学習した内容を職場に一般化し、職場での一定期間にわたり維持することが含まれる

  • トレーニングデザイン、訓練生、職場環境要因が転移条件に与える影響を検討し、研究ギャップを特定する

わかったこと:
トレーニングのプロセスモデル

下記は、トレーニングのインプット要因、トレーニング成果、転移条件の3つの主要な要素から構成されています。

P65

Training Inputs(トレーニングインプット)

  1. Trainee Characteristics(訓練生の特性)

    • Personality(性格)

    • Motivation(動機)

    • Ability(能力)

  2. Training Design(トレーニングデザイン)

    • Principles of Learning(学習原則)

    • Sequencing of Training Content(トレーニング内容の順序)

    • Job Relevance of Training Content(トレーニング内容の職務関連性)

  3. Work Environment(職場環境)

    • Supervisory Support(上司の支援)

    • Peer Support(同僚の支援)

    • Constraints and Opportunities(制約と機会)

Training Outcomes(トレーニング成果)

  • Learning(学習)

  • Retention(保持)

Conditions of Transfer(転移条件)

  1. Generalization(一般化)

    • トレーニングで学んだ内容を職場に適用すること

  2. Maintenance(維持)

    • 職場での一定期間にわたり学んだ内容を維持すること

論文から得た学びと活用場面

研修転移には、一般化と維持の2つの要素があることがわかりました。

研修がやりっぱなしになってしまうことは少なくないと思います。
時間や費用などリソースが限られている中でよりよい成果をあげるために、一度一般化できているか?維持できているか?確認してみるのはいかがでしょうか。

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