チーム形成初期は凝集性がパフォーマンスを高めるために重要?!:論文レビュー
こんにちは、原田です。
今回は新しく作られたチームの凝集性とパフォーマンスに関する論文です。
この論文では凝集性(cohesion)は「チームメンバーがタスクや目標、そしてお互いに対して共有するコミットメントや魅力」と定義づけられています。(参考文献は以下の通り)
LePine et al. (2008): 「チームメンバーがチームやそのメンバー、そしてチームのタスクに対して抱く魅力とコミットメント」
Festinger (1950): 「グループに留まるためにメンバーに作用するすべての力の結果」
Carron (1982): 「グループがその目標や目的の追求において一体となって団結し続けようとする傾向を反映する動的プロセス」
今日の論文
Exploring the Dynamic Team Cohesion–Performance and Coordination–Performance Relationships of Newly Formed Teams
新規に形成されたチームにおけるチーム凝集性-パフォーマンスおよびコーディネーション-パフォーマンスの動的関係の探求
Michael T. Braun, Steve W. J. Kozlowski, Tara A. (Rench) Brown, and Richard P. DeShon
サマリ
新しく形成されたチームにおける凝集性とパフォーマンス、コーディネーション(独立した行動の順序とタイミングを調整すること)とパフォーマンスの関係を理解するため、実験室での設計を使用して複数の仮説をテスト
結果、凝集性が後続のパフォーマンスを予測し、パフォーマンスが後続の凝集性を予測するという相互関係を示した
また、コーディネーションが後続のパフォーマンスを予測するが、パフォーマンスは後続のコーディネーションを予測しないことが判明
チームの相互作用が増えると、凝集性とコーディネーションの重要性は弱まるが、凝集性の相対的重要性は増加
方法
42の3人チームが実験室でのインタラクティブなリソースフォレージングシミュレーション(チームメンバーが仮想環境内でリソースを見つけて収集するタスクをシミュレートした実験)を使用
10回のタスクエピソードを実施し、各エピソード後に凝集性とコーディネーションの測定が行われた
わかったこと①:
凝集性とコーディネーションとパフォーマンスの関係性
凝集性とコーディネーションがパフォーマンスに及ぼす影響は確認されましたが、パフォーマンスがコーディネーションに与える影響は見られませんでした。
H1: 凝集性が高い新規チームは、凝集性が低いチームよりも高いパフォーマンスを示す。
→支持H2: コーディネーションが高い新規チームは、コーディネーションが低いチームよりも高いパフォーマンスを示す。
→支持H3: あるタスクエピソードでパフォーマンスが高い新規チームは、次のエピソードでより高い凝集性を示す。
→支持H4: あるタスクエピソードでパフォーマンスが高い新規チームは、次のエピソードでより高いコーディネーションを示す。
→不支持。パフォーマンスはその後のコーディネーションには影響を与えない
わかったこと②:
パフォーマンス、凝集性、コーディネーション間の非対称的な相互関係
凝集性 はパフォーマンスに対して正の影響を与え、パフォーマンスが向上すると、後続のタスクエピソードでの凝集性も向上する
コーディネーション もパフォーマンスに対して正の影響を与えますが、パフォーマンスが向上してもその後のコーディネーションには影響を与えない
論文から得た学びと活用場面
チーム形成初期の段階での凝集性とコーディネーションの向上が、チームのパフォーマンスを最大化するために重要であることがわかりました。
プロジェクトチーム発足時などは、凝集性に着目した組織内トレーニングや介入をやってみるのがよいかもしれません。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?