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1990年代の組織変革に関するレビュー論文:論文レビュー

こんにちは、原田です。

VUCA時代、組織変革を必要としている企業は多いのではないでしょうか?変革を進めるため何を考えていくべきなのか、探索の地図になりそうなレビュー論文をご紹介します。


今日の論文

Organizational Change: A Review of Theory and Research in the 1990s
組織変革:1990年代における理論と研究のレビュー
Journal of Management, 1999

サマリ

  • 過去9年間(1990年~1998年初頭)の理論的および実証的な組織変革文献のレビュー論文

  • すべての変革努力に共通する4つの研究テーマを扱う
    (a) 現代の組織変革の内容に焦点を当てた内容問題
    (b) 組織の外部および内部環境に存在する力または条件に焦点を当てたコンテクスト問題
    (c) 意図された変革の実施中に行われる行動に対処するプロセス問題
    (d) 組織変革努力で一般的に評価される結果を扱う基準問題

  • 変革に対する感情的および行動的反応を監視する研究も実施

わかったこと

内容・コンテクスト・プロセス・基準に関する論文レビュー

①内容研究

  • Burke-Litwinモデル(1992): 個人および組織のパフォーマンスを予測し、組織の条件(原因)と結果の効果を扱う。変革的な要因(リーダーシップ、文化、使命、戦略など)と取引的な要因(管理実践、構造、システム、タスク要件、個人のスキルなど)を区別し、150項目の診断質問票を提供

  • Vollmanモデル(1996): 変革の規模を表す8×6マトリックスで、戦略的意図、能力、プロセス、リソース、出力、戦略的対応、課題、学習能力の8つの側面を詳細に示す

②コンテクスト研究

  • Meyer, Brooks, and Goes(1990): 病院業界の1960年代から1980年代における変化をまとめ、競争圧力の高まりに対する反応を分析

  • Kelly and Amburgey(1991): 1978年の航空業界の規制緩和に対する組織の慣性とモメンタムを調査し、戦略的再編成の影響を評価

  • Haveman(1992): カリフォルニアの貯蓄貸付業界に対する立法および技術変化の影響を調査し、短期的な財務パフォーマンスおよび長期的な生存率に対する影響を評価

  • Fox-Wolfgramm, Boal, and Hunt(1998): テキサスの2つの銀行に対するCommunity Re-Investment Act(CRA)の影響を分析し、組織のアイデンティティとイメージに応じた変化の持続可能性を評価

③プロセス研究

Lewin(1947)のモデルを基に、Judson(1991)、Kotter(1995)、Galpin(1996)、Armenakis et al.(1999)の複数フェーズモデルが検討

  • Judson(1991): 変革の分析と計画、コミュニケーション、新行動の受け入れ、現状から目標状態への変更、新状態の統合と制度化の5フェーズを含むモデルを提案

  • Kotter(1995): 変革の緊急性の確立、強力な連合の形成、ビジョンの創造と伝達、ビジョンに沿った行動の推進、短期的な勝利の計画と創出、改善の統合、新アプローチの制度化の8ステップを提案

  • Galpin(1996): 変革の必要性の確立、ビジョンの開発と伝達、現状の診断と分析、推奨事項の生成と詳細化、パイロットテスト、展開準備、展開、変革の測定、強化、精緻化の9ウェッジを含むホイールモデルを提案

  • Armenakis et al.(1999): 変革の準備の創造と採用・制度化を容易にする2つのモデルを提案し、説得的コミュニケーション、積極的参加、人的資源管理、象徴的活動、普及実践、情報管理、正式な支援活動などの影響戦略を特定

④基準研究

組織変革の成果を評価するための従来の成功/失敗基準(利益、マーケットシェア)に加え、感情的および行動的反応(ストレス、シニシズム、組織コミットメント)が評価されました。

  • Clarke et al.(1996): 変革に対する受容性と抵抗の評価を通じて、個人の自己利益が脅かされる場合の抵抗の可能性を調査。

  • Kanter(1991): 25か国の約12,000人のマネージャーの調査結果を報告し、従業員の忠誠心のシフトと組織変革への影響を分析。

  • Dean, Brandes, and Dharwadkar(1998): 従業員のシニシズムを概念化し、組織変革に対する信頼と満足度への影響を調査。

  • Schabracq and Cooper(1998): 組織変革によるストレスの原因とその影響を分析し、新しい役割の学習の困難さを調査。

論文から得た学びと活用場面

組織変革研究は内容・コンテクスト・プロセス・基準の側面から、時代の変化に合わせて研究が進んできたことがわかりました。同時に、組織変革と言えばKotter(1995)というイメージがあったので、飛びついてしまっていたなあと猛省です…笑
改めて現状を整理するサーチライトを探しにくる場として、このようなレビュー論文は有効だと改めて感じました。

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