力の種類。開放と収縮。

身体を動かすには力が必要です。この身体を動かす力を大まかに分けると二種類になります。
一つは、開放のチカラ。もう一つは、収縮のチカラです。

開放のチカラとは、伸ばす力。
朝、寝覚めに大きく伸びをするときの力です。

収縮のチカラとは、内側に抱え込む力。
トイレでいきむときにぐーっと入れるような力です。

お寺の入り口を守っている仁王像。この仁王像は阿形(あぎょう)と吽形(うんぎょう)の二つが対になっています。
大きく口を開けているのが阿(あ)。阿は宇宙の始まり。
口を閉じているのが吽(うん)。吽は宇宙の終わりを表します。

このが、開放のチカラで。収縮のチカラになります。
寝起きに伸びをするときは、「あーっ」と声が出てしまいますよね。トイレでいきっているときは、「うーん」と声が出します。

ここでちょっと簡単な実験をしてみましょう。
まず腕を身体の正面に伸ばしてみてください。片腕でも両腕でも構いません。
腕を伸ばしたまま、掌を正面に向けてみます。そして口を大きく開けて「あっ」と言ってみてください。
どうです? 掌からなにかエネルギーのようなものが出たような気がしませんか?

次に同じように腕を前に伸ばしたまま、今度は手を握って拳を正面に向けてください。そして「うんっ」と言ってみてください。
さきほどと違い、今度は身体の内側に力がこもったような感じがしませんか。

一方は、なにかを発するような力。もう一方は、何かを溜めるような力。同じような姿勢でも、手の形や言葉の出し方で力の種類が変わる、おもしろいですよね。

もう一つ実験してみましょう。
今度は、椅子に座るか、その場でしゃがんでみてください。
最初は、手を上にあげながら「あっ」と言って立ち上がってみてください。
どうです? スッと立ち上がれたのではないでしょうか。
次に、また座るかしゃがむ姿勢から、今度は「うんっ」と言いながら立ち上がってみてください。
今度は、身体にグッと力が入って、その力で立ち上がったような感じがしませんか?

この力の違いをきちんと捉えることが、自分の身体をうまく動かすコツになります。

余談ですが。トイレでいきったあとにでてくるものが「うん◯」であることや。動物がしたものを「糞(ふん)」と呼ぶのは、もしかすると収縮のチカラのときに出る「うん」という言葉と関係がありそうな。そんな気がしています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?