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“継続は力なり”をチーム全体で推進する省エネ学習「一日一力」

小さなことを重ねることが、とんでもないところに行くただ一つの道(イチロー 262のメッセージ より)』

私が代表を務めるデザインスタジオ・エルでは、社内ブログ「一日一力」に毎日1人1つずつネタを持ち寄り、それをミーティングで発表・共有するという仕組みがあります。2007年から始めて13年、2020年6月5日現在でエントリー数は累計15877件になりました。メンバーの数に合致してるからちゃんとさぼらずやってきたことになります(笑)。

毎日の蓄積が大きな知の集積になるだけでなく、チーム間の情報共有・意思疎通・有機的な連携に一役買っています。このnoteでは、実際にどうやって運営しているか、またその効果について書いてみます。

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省エネ&ハイパワーな仕組み

毎朝、各メンバーの進捗状況を確認するミーティングを行っていますが、そのあとに「一日一力」の時間を設けています。時間にすると10〜15分程度です。やり方は、各メンバーがそれぞれ興味があるネタを事前にブログ(WordPress)に投稿してミーティングに臨む、たったそれだけです。当日朝に投稿する人もいれば、何日分かまとめて投稿しておくなど、人それぞれ。仕事柄毎日ネットに触れて情報をキャッチしているので、ネタが尽きるということはまずありえません。ブックマークレットを利用すれば、サイトの紹介はコピペだけで済みます。超簡単。

ネタは、webサイトのブックマーク、制作Tips、最新技術、マーケティング情報、企画ディレクション、webサービスなどが多い傾向。中には「失敗談」なんていう項目もあって、こういう共有も大事ですね。

このように、自分のネタをアップするのはわずかな時間。そのうえで毎日人数分のネタを享受できるという、一人当たりの労力からするとかなり省エネ&ハイパワーな仕組みといえます。


自分の引き出しは、意外と少ない

いろいろな職種が集まっているから、投稿内容もバリエーション豊か。中には全く理解できないような技術ネタなどちんぷんかんぷんなのもあります。しかし、それはそれで新鮮な刺激ですし、自分にはわからないというちょっとした焦りと知的好奇心を刺激されて、とてもいいことだと思います。

自分の引き出しにない情報・アイデアに触れることはとてもいいことです。デザインでそういう場面に直面すると、ときに不安になってためらってしまうことがありますが、まだ引き出しがないだけで、決してできないわけではありません。そういうきっかけを一緒に仕事をしているメンバーが持ち寄ってくれると考えれば、それこそ成長のチャンスが毎日転がっている状況といえるでしょう。


炎ではなくて、エンジンが大事。

投稿は義務ですが、たぶん誰も義務と思ってやっていません。それだけ有意義だとわかっているし、習慣化されています。どんなに忙しくても「投稿する」という意識をキャパシティの中に常に紛れこませる。これは、「時間を使うのではなく作る」の土台になります。継続するには習慣化が必要。習慣化されるとモチベーションは関係なくなります。常に回っているエンジンがあることが大事です。


探す、書く、話す、巻き込む。

もともとは情報共有と蓄積が目的でやっていましたが、それ以外にも力がつくポイントがあるのだな、と思っています。

・欲しい情報を探す:情報収集力
・簡単にまとめる「書く」アウトプット:要約力
・MTGで発表する「話す」アウトプット:プレゼン力
・新しいことをチームに取り入れる、人を動かす:巻き込み力
などです。

毎日インプット、アウトプット(書く/話す)しているわけですから、自然と引き出しが増えていきます。


「人を知る」ことができる

チームで仕事をしていく中で、メンバーのことを良く知るということは大切です。この仕組みによって「誰がどんな関心・アイデア・問題意識を持っているのかを、チーム全員が知っている」ことが最大のメリットだなと思っています。仕事で困ったときやだれかに相談したいと思ったときに、すぐに特定のメンバーの顔が浮かぶわけです。業務だけでは知りえない「この人はこんなことに興味あるんだ」がわかるのが、この学びの機会で得られる良さのひとつです。


相乗効果

この取り組みを続けていると、"自分のため"というより"みんなのため=チーム貢献"という意識につながり、それが行動につながるケースがあります。実際にこの仕組みから派生して、「研修やりたい」「サンプルコードまとめました」「新しい雛形作りました」というメンバーの主体的な行動もたくさん生まれています。リーダーとして、こんな嬉しいことはありません。


ディレクション力向上雑談会

一日一力から派生して、週末は少し時間をかけ、持ち回りで雑談する時間を作っています。テーマはディレクション。デザインやプログラミングは座学でも学べますが、ディレクションとはすなわち人間力であり、体系的に学んでいく難しさがあります。うちの会社は分業制ではないので、すべてのメンバーがクライアントと折衝します。

ディレクターってなんだろう? 自分に足りないところはなんだろう?を意識して、自分の「人間力」を高めていく。

・プロジェクトの意思決定ができる知識を身につける
・単独プレイヤーのスキルだけではなく、数人でチームを組んでそのリーダーとして高い品質でアウトプット出せるようになる

そういったことができる人材を目指し、自分が苦手なことや、うまくいかなかったことなどをテーマにしながら、それについて雑談しましょう、という時間です。ゆるっと「雑談会」とすることで、意外と自分の悩みをぶつけてくれたりするので、人間的な場だなと思います。ついでに僕の悩みもぶちこんだりします…。

学習の対象範囲を広げることで、各メンバーと話をする機会が増えてきたので、朝時間の栄養補給としてはかなりいい感じです。


まとめ

「一日一力」の仕組みが、空気のように毎日淡々と続いているのは、まさに文化。うちのチームは人数も少なく、それぞれの職域をカバーし合いながらやっているので、デザイナーもディレクターもマーケターもエンジニアも、あらゆる社内研修や勉強会は基本的に全員参加しています。それでも「自分には関係ない」という空気はなくて、こういう文化づくりは、これからも継続していきたいと思っています。

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