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ブランディング・ワークショップ-3

このステップでは、最初に抽出した「好きなブランド」と、参加者全員で作成した「好きな理由」のチャートを重ねることで、ブランドが果たしている役割を体感して頂きます。「ブランドとは何か」といった明確な定義をするものではありませんが、ブランドへの認識の共有が進むはずです。

◆ チーム作業-2-2 / 「好きな理由」のグループに名前を付けてください。
(時間は10分~20分が目安です。)

「好きな理由」のグルーピングができたら、それぞれのグループに名前を付けてください。キャッチフレーズのようなかっこいいものにする必要はありません。グルーピングの段階で既に多くの言葉が出ているはずですから、それらをブラッシュアップすることで、簡潔で象徴的な名前ができるはずです。ネーミングのポイントは、グルーピングの際に感じた「~な感じ」を素直に言葉にすることです。抽象的な「きれい」よりも「キラキラな感じ」とか「胸騒ぎがするする」のような、「どんなきれいさなのか」を伝える言葉にすることが重要です。
「チーム作業」で上手く言葉が出ないときは、一旦「個人作業」に切り替えます。A4の台紙のグループのいずれかに付ける名前を個人個人で考え、ポストイットに書きだし提出します。適宜、時間を決めて行なってください。

◆ チーム作業-2-3 / 「好きな理由」グループの位置関係を決めてください。
(時間は10分~20分が目安です。)

グルーピングしたもののネーミングが決まったら、それぞれの位置関係を決め、チャート化してください。A4の台紙単位で動かして、感覚的に「近い」「遠い」を検討してみてください。集合的に重なるような場合もあるかもしれませんが、その場合はその意味が分かる様にポストイットに説明を付記して進めてください。
なかなか位置関係を決める作業が進まないときは「リレー方式」で順番を決め、必ずひとり1枚は台紙を動かすことをルール化して進めてみてください。一度動きだすと、次第に形ができていくはずです。
縦軸と横軸が「大きい⇔小さい」「温かい⇔冷たい」のような対語で構成される十文字のマトリクスにすることが基本的なまとめ方ですが、必ずしもそうならなくても、位置関係に何らかのルールを見出すことができればピラミッド型でも集合図でもフローでも構いません。

どうしても上手くチャート化できない場合は、次の3つの価値観で区分を参考にしてみて下さい。

・機能的価値観 / 商品の機能によって得られる便益そのものが好き
・感覚的価値観 / 商品の外観等のデザインによってもたらされる感覚が好き
・社会的価値観 / 商品を利用することによって生じる外部からの評価が好き

個々の価値観の詳細な説明は省きますが、人が何かを好むときの心理の違いとして覚えておくと良いでしょう。

◆ チーム作業-2-4 / 「好きな理由」のチャートにブランドを当てはめてください。
(時間は5分~10分が目安です。)

ここまでの作業で「好きな理由」のチャートが完成しました。これに、「個人作業-1-1」でポストイットに書き出した「好きなブランド」を当てはめてみてください。ひとつの理由にすんなり当てはまるブランドは少なく、おそらく「理由A」と「理由B」の中間とかいう感じになってくると思います。複数の「好きな理由」に関係する場合は、どちらの理由に近いかという距離感を大切にして貼り付けてください。「好きな理由」の模造紙が既にA4の用紙で埋まってしまい「好きなブランド」を貼り付ける余白が無い場合は、もう1枚の模造紙を上に重ねてレイヤー状態にして、「好きなブランド」との照合ができるようにしてください。

複数のチームで行う場合はプレゼンテーションの時間を設けて、お互いの経過や結果を発表するようにしてください。
これで、みなさんの頭の中にあった「好きなブランド」と「好きな理由」を一覧することができるようになりました。自分と近い感覚のものも遠い感覚のものもあると思いますが、それは市場における自分の感覚との距離でもあるわけです。自分が考えていたブランドというものが、どのような働きをしているのかを実感することができたのではないでしょうか。

お疲れさまでした。

ここまでがブランディング・ワークショップの「準備運動」です。みなさんの頭の中にあった「ブランド」というものに対するぼんやりとした感覚が、少しは晴れたのではないかと思います。作業に慣れて頂く意味もあり、身近なカテゴリーのブランドをネタにしました。自社ブランドや競合ブランドについて考える際は、この「STEP-1」「STEP-2」を再活用してください。

通常の私のワークショップでは、この後には「課題解決」のためのブランディング・ワークショップを行うのですが、それはまた別の機会にお伝えできればと思います。

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