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仕事でつかえる会計学、その④

上場企業は、さまざまな報告書を提出している。ここに、まとめてみよう!

<上場企業の重要な提出書類一覧>

①有価証券報告書
②決算短信
➂アニュアルレポート
④コーポ―レートガバナンスに関する報告
⑤知的財産報告書
⑥CSR報告書
⑦環境報告書
⑧サステイナビリティ報告書
⑨人的資本に関する情報開示
⑩統合報告書およびサステイナビリティ報告基準へ

有価証券報告書とアニュアルレポートの違い

アニュアルレポートの発行目的は、企業がどのように持続し、発展しているかを投資家やステークホルダーに示して、経営や組織に対する理解を深めてもらうこと、そして、資金調達につなげることです。アニュアルレポートには規定のフォーマットがなく、内容を自由に構成することができます。米国の証券取引委員会では上場企業にアニュアルレポートの発行を義務付けています。アニュアルレポートを発行することで、グローバルな資金調達が可能になります。
有価証券報告書とは、法律に基づいて上場企業に提出が義務付けられている、企業情報の開示資料です。

コーポ―レート・ガバナンス報告書

コーポレート・ガバナンス報告書とは、証券取引所の定める適時開示制度の一環として上場会社が提出を求められるコーポレート・ガバナンスの状況を記載した報告書のこと。

知的財産報告書

任意開示であれば知的財産報告書、知的資産経営報告書などがある。または法定開示資料である有価証券報告書内にて、知的財産報告がなされる。有価証券報告書において、知的財産に関連した事業等のリスク、経営上の重要な契約等、研究開発活動は「事業の状況」で記載され、特許権や商標権などは無形資産として「経理の状況」の貸借対照表に記載されます。これらの記載は、企業間の比較可能性を担保するため、ひな形により開示の形式・内容・範囲が統一化されています。

CSR報告書

CSR報告書とは、各企業の環境・社会問題に対する取り組み(CSR活動)をまとめた報告書である。企業のCSR活動情報の開示は制度等で義務化されているわけではないが、CSR報告書を含めさまざまな形で非財務情報の1つとして自発的に開示されている。各企業のCSRに関する取り組みは、CSR報告書以外にもさまざまな形で公表されている。例として、環境・社会報告書や持続可能性(サステナビリティ)報告書といった名称で自社のCSR活動をまとめている企業が存在する。また企業の財務情報と非財務情報をまとめた統合報告書に企業のCSR活動の概要を記載するケースも近年では増加しており、それに伴いCSR報告書を廃止するケースもある。

環境報告書

発行する機関や企業が環境に対して取り組んでいる事柄を広く一般に開示する報告書である。環境情報の提供の促進等による特定事業者等の環境に配慮した事業活動の促進に関する法律(事業者の環境配慮促進法)によって、独立行政法人や、国立大学法人などにおいて発行が義務付けられている。

サステイナビリティ報告書

「サステナビリティレポート」は、持続可能な社会の実現に向けて、企業がどのような取り組みをしているかをまとめています。(=社会視点)。尚、「CSRレポート」は、自社が果たしている社会的責任について報告するものです。自社がビジネスを通じて社会や環境に与える責任という視点でまとめています。(=企業視点)

人的資本に関する情報開示

2020年8月、米国証券取引委員会(SEC)が上場企業に対して、人的資本に関する情報開示を義務付けました。日本でも、2021年6月に改定が行われた東証のコーポレートガバナンスコードの改定によって人的資本の情報開示について義務化されており、今後はどの企業も対応が必要になる可能性があるでしょう。東京証券取引所では、実効的なコーポレートガバナンスの実現に資する主要な原則を取りまとめた「コーポレートガバナンス・コード」を定めています。2021年6月の改定で、下記2点の人的資本内容の開示の義務化が明記されました。① 取締役会の機能発揮(プライム市場上場企業において、独立社外取締役を3分の1以上選任)、② 企業の中核人材の多様性の確保(管理職における多様性の確保(女性・外国人・中途採用者の登用)への考え方と測定可能な自主目標の設定)。

<参考>

法定開示とは、公開会社に対して、金融商品取引法や会社法といった法律により義務づけられている情報開示のことをいいます。
適時開示とは、上場企業に対して、証券取引所のルールにより義務づけられている情報開示をいいます。正確性に配慮しつつも、速報性を重視して適時適切に公表することが求められています。
任意開示とは、企業によって自主的に任意で行われる情報開示をいいます。


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