蝉と蟻
暑い夏の日
午後二時
濡れたシャツが背中に張り付く
図書館へ行くと休みだった
月曜日か
近くの公園へ
公園には誰もいない
大きな木の下でひと休みする
見上げると蝉が鳴いている
手の届く距離だ
ミーンミーンミーンミーンミーン
水筒を取り出して冷たいお茶を飲む
蝉は鳴いている
ずっと鳴いている
ミーンミーンミーンミーンミーン
僕は蝉を見ている
もう一度お茶を飲む
蝉が鳴き止んだ
風が吹くと
蝉は木から落ちた
理解するまでに時間がかかった
そうか蝉は死んだのだ
お茶を飲もうとすると水筒は空だった
痛っ
右足の脛を見ると
脛の毛の合間を蟻が歩いてた
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