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より賢くプレイする:戦術的思考を改善するためのガイド

はじめに

本記事はzyf氏によるplaying smarter: a guide to improving tactical thinkingの日本語訳になります。翻訳にあたり掲載許可はいただいております。
日本のユーザーの反応も楽しみにしているとのことなのでコメント・Twitterなどで感想を頂けますと幸いです。

フィジカルに頼らないスプラトゥーン上達への道しるべ 
by zyf (twitter: @zyfetc, discord: @zyf_) 
原文最終更新日: 2024年01月16日

シリーズ目次
→0 :より賢くプレイする:戦術的思考を改善するためのガイド
 
1a:盤面管理入門
 1b:物々交換、1対0、そしてリソース管理の技術
 1c:キーポジション、ボックス、その他:ポジションの取り方
 2a:ゲームの状態のフローチャート:試合の流れのメンタルモデル
 2b:フローチャートを使ってゲーム内で考える
 3 :フィードバックのループ:実験、Vodレビュー、習慣作り


序文

私が見る限り、スプラトゥーンに関する教育的なガイドコンテンツは、大きく3つのカテゴリに分類される。「コツやテクニック」、「武器のランク付け」、「特定のトピックに関する議論」(例えば、武器やマップ、ルールについて)がそれだ。
しかし、これまでのガイドやシリーズを見ても、プレイ経験以外の知識がほとんどない状態から始め、最終的には勝利するための高レベルの競技的な理解に到達するまでの道筋を示してくれるような、満足のいくガイドを見つけたことがない。
このドキュメントシリーズの最初の目標は、その不足を埋めることだ。スプラトゥーンについての事前知識がほとんどない状態から始め、プレイヤーとして成長し、上達するための道を示すことを目指す。

そのため、このドキュメントシリーズは、これまで見てきた他のガイドコンテンツとは大きく異なると感じるだろう。
このシリーズでは、特定の状況や武器に対する具体的なアドバイスを与えることはほとんどない。それには2つの理由がある。
第一に、そういった情報は他の場所で十分に手に入るからだ。
第二に、そうしたアドバイスは、このドキュメントの本質ではない。
なぜなら、ほとんどの人はそのようなアドバイスを適切に活用するための準備が整っていないと感じるからだ。

つまり、こういうことだ。Splatoonは複雑なゲームだ。1チーム4人で、武器やマップは何種類もあり、そしてあらゆる予測不可能な状況がある。現実には、誰かからもらったどんな有益なアドバイスも、すべての状況に適用されるわけではない。この文書の中でも、私は非常に頻繁に単純化した仮定をする。
これが意味するのは、本当に上達したいのであれば、自分の頭で考えること、つまり人から与えられたアドバイスや自分が思いついたアイデアについて批判的に考えること、そして自分自身の経験や観察から有意義に学ぶことができなければならないということだ。
その基本的なスキルがなければ、残念ながら、スプラトゥーンのアドバイスが(私からも他の人からも)間違った解釈をされ、間違った使い方をされるのを何度も見てきた。

その代わり、このドキュメント・シリーズの2つ目の、そして究極の目標は、批判的に考え、このゲームがどのように機能するかを自分自身で学ぶことができるように、実際の具体的なフレームワークを提供することである。
新しいプレイヤーがX帯に到達したり、さらなる上位に挑戦したりするための手助けになることを期待している。また、長年競技シーンで戦ってきたプレイヤーにも、少しでも有益なものと感じてもらえたらと思う。少なくとも、あなたが経験したことがあるけれども、うまく説明できなかったことを言葉にしてくれることを願っている。
[また、私のツイッターとディスコードのDMはオープンである(アカウントは上記参照)。]

概要と上達への計画

賢くプレイするとはどういうことか?

このドキュメントシリーズの最終的な目標は、このゲームをプレイする基本的な能力(S帯程度が適切な基準だと思われる)を持つ人に、「賢くプレイする」方法を自力で学ぶためのツールを提供することである。
「賢くプレイする」とはどういうことか、と疑問に思うかもしれない。
このことが最も誤解されているのは、戦術的なレベルにおいてである。私が「戦術的」と言うとき、具体的に何を意味しているかを説明するために、以下のように話を進めたい。

  • 試合中、思考力のある選手はいつでも、現在の状況に応じて意図的にどうプレイをするか判断している。 今後、私は「現在の状況」をゲームの状態と呼ぶことにする。「決断」とは、基本的にプレイヤー(あなた)が取ることにした行動で表される。

  • 「良い」行動とは、ゲームを勝利に近づける、あるいは少なくとも敗北から遠ざける可能性が高いアクションのことだ。

したがって、戦術的な意思決定は、一瞬で考えるレベルの判断より上のレイヤーに位置し、ギアや武器の編成選択といったより大きな戦略的な要素よりも下に位置する。それは、試合中に短期的な目標を設定し、その目標に沿って個々のプレイを進めるための指針である。
始める前に、私の目的は基本的に、正しいプレイの仕方を教えることではないことに注意してほしい。 実際、私自身も何が「正しい」かを完全に知っているわけではない。私が説明できるのは、より正しいプレイ方法を学ぶためのプロセスであり、その点については自信を持っている。

3つの柱

その最終目標を念頭に置いた上で、私の考えでは、試合中のより効果的な思考を身につける方法を理解するために必要な3つの柱がある。

柱1:概念的な語彙

最初に答えるべき基本的な質問は、「ゲームの状態をどのように理解し、それに対して自分ができることをどう整理するか?」ということだ。

このゲームを始めた人なら誰でも知っているように、プレイを始めたばかりの頃は、すべてを把握することは相当に難しい。
今でこそ感覚的に理解できるようになったかもしれないが、実際のところ、今でもまだ把握できていないだろう。おそらく試合の途中でまだ少し迷っているはずだ。
私もときどき迷うが、たいていは何が起きているのかかなり把握している。

いずれにせよ、まず必要なのは、スプラトゥーンの試合で何が起こっているのかを根本的に理解し、起こっていることを意味のある形で整理できるようになることだ。
この最初の柱の目的は、以下の「語彙」を構築することだ。

  • (a) ゲームの状態とは何か

  • (b) あなたが取ることのできる行動は何か。

柱2:意思決定のモデル化

ゲームを基本的なレベルで理解するための語彙と概念を手に入れたら、次のステップは「状態とアクション」をどう結びつけて、「何をするべきかをどう判断するか」という問いに答えることだ。
これは本質的に、試合がどういう流れで進むのかということに基づいている。この考え方を別の言葉で表すと、「何がうまくいき、何がうまくいかないかを判断するためのルール」をどのように認識し、そのルールがなぜそうなっているのかを理解することだと言える。
そして、その知識で武装した上で、特定の状況において何が良くて何が悪いかを単純化した仮定や直感・反応を持って試合に臨み、それに従って行動をしよう。

柱3:学習(振り返り)

問題は、もちろん、Twitterの投稿(私の投稿を含む)、コーチ、YouTubeなどで得たルールや指示が、必ずしも勝率を上げるわけではないということだ。ここで、最後の柱「どうやって学ぶか」という問いに行き着く。
私が理解している限り、これは継続的なプロセスであり、このゲームにおいてすべての答えを持っている人はいないと思う。
この問いに対する短い答えは、すでに述べたことに埋め込まれている。繰り返し反省をすることが必要であり、自分の行動が実際に勝利に貢献していないと感じたとき、それを認識する能力が求められる。詳しい話は後ほどするが、ここではその概要を示しておく。


柱を適用する実際の現実

スプラトゥーンが非常にスピーディーなゲームであることは誰もが知っていることだ。試合中は常に何かが起こり、状況は絶えず変化している。 実際に腰を落ち着けて、「うーん、これが現在のゲームの状態だから、こういうことをしたらどうなるかという自分のモデルを突き詰めて、どれをやるべきか決めよう」と冷静に計算する時間なんてまずない。そんなことは滅多に、いやほとんどない(笑)。 ほとんどの場合、あなたは非常に本能的にプレイしている。
正直なところ、「考えなしの本能」と「思考する本能」の決定的な違いは、自分が現在のゲーム全体の状況を意識的に把握し、それに基づいて反応しているかどうかにある。ただ単に目の前の状況に流されるのではなく、状況を読み、適切な反応を取ることが重要だ。
戦術的な意味で、実際に上達するプロセスは、基本的に悪い習慣を良い習慣で上書きし、以前はなかったところにさらに良い習慣を導入するプロセスに過ぎない。実際に考えるプロセスは、試合中ではなく、試合外で行われることが多い。
その詳細については、また後ほど。 今は、柱1の基本的なことから始める必要があるだろう。
この文書の残りの部分は、私が論じたいトピックの目次の役割を果たしている。それらは提示された順序で読まれることを意図しており、私は前のセクション/ページの概念が次のセクション/ページに引き継がれることを勝手に考えているが、別にどのような順序で読まれても構わない。


現行のドキュメント・シリーズ

注:リンクをクリックすると、サブページ/各章を読むことができます。
(英文タイトルは未翻訳です、完成次第追記していきます。)

概念的基礎(柱1)

この最初のトピックでは、試合がどのように進行するのか、そして私たちの行動がその流れにどのように影響を与えるのかを理解するための「語彙」を構築する:
an intro to map control(元記事)

bartering, 1v0s, and the art of resource management(元記事)

key areas, boxes, and more: how to position(元記事)

意思決定のモデル化(柱2)

この第2部では、実際のゲーム中に試合の流れを理解し、解釈するために学んだ概念をまとめ、そして、試合の流れを自分たちに有利な方向へ意図的にコントロールするための具体的な判断方法について説明する:
the game state flowchart: a mental model of match flow 
using the flowchart to think in-game 

経験から学ぶ(柱3)

the feedback loop: experiments, vod review, and habit-building

謝辞

このドキュメントはかなり大規模なプロジェクトだったが、執筆にあたって決して一人で取り組んだわけではない。そこで、いくつか感謝の言葉を述べたい。
まず、Vivian、Jenny、Thymeに感謝したい。彼女たちはこれらのトピックに関する実験台となってくれたし、そもそも私がこのドキュメントを執筆するモチベーションが保てたのは彼女たちのおかげである。
次に、Renには深い感謝を。これらの長い文章を毎回しっかりと読んでくれ、誠実でよく考え抜かれたフィードバックをくれただけでなく、面白い引用ツイートで後押しもしてくれた。
さらに、Healthy Diet Food Groupsの仲間たちにも感謝したい。彼らもドキュメントを読んでフィードバックをくれたり、私がこのドキュメントで述べたことを実際にやっているのかの検証をしてくれた。
そして、flcへ。この文書のほとんどの内容は、flc なしでは私は文字通り知ることも、説明することもできなかっただろう。なぜなら、彼は文字通り私に「科学的方法として考えてみて」と教えてくれた人であり、それ以来、私はそれを実践してきたからだ。
そして最後に、読者の皆さんへ。この記事が反響を呼んだり、実際に役に立ったというコメントが寄せられるのを見るのは素晴らしいことです。
 というわけで、ここまで書いてきたことが無駄ではなかったと感じさせてくれてありがとう(笑)。

これをもって、これ以上言うことはないだろう。質問、フィードバック、誤字脱字があれば、私のDMはオープンになっている。将来、トーナメントで飛び出す君たちに会えることを願っているよ。 読んでくれてありがとう!

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